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恋敵?からのお誘い

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聖騎士団がオークヨークに到着して数日後。流石聖騎士団は流石プロ中のプロというべきか、死人の種に関わる案件に彼らが参加するようになってからは、恐ろしい勢いで摘発が進んでいた。

腕自慢の武装隊商ですら聖騎士団の旗が立っているのを見るや、逃げるかすぐさま投降するといった有様で、俺達冒険者のように武力制圧するといった例はほとんど見られなかった。
やはり聖騎士団の看板は密輸業者とて恐ろしいらしい。

正直なところ俺ら冒険者の手なんて要らないのでは?と思いがちだが、聖騎士団はやはりどうあっても目立つ。動きがあれば即座にそれを察知して迂回しようとする密輸業者もおり、目立たない俺らがそういった奴らの裏をかいて殲滅するということが必要だった。
持ちつ持たれつ、俺ら冒険者は前より仕事量が減って楽になり、聖騎士団は痒い所に手が届くように俺達を使う。こういった図が出来上がり、あっという間に1か月が経過していた。






「と、いうかどれだけ死人の種が出回っているって話だよ・・・」


聖騎士団数百人が動き、日々ひっきりなしに死人の種が摘発されていく中で、それでもなお終わりが見えない現状に俺は疑問を投げかけていた。


「さぁ、どんなもんかな。お陰で俺達は大儲けだが」


俺の目の前でややにやけ顔でワインに口をつけているのはギルドマスターだ。
俺はリーダーとしてこの日の活動内容を報告するためにギルドマスターの仕事室へ立ち寄っていた。


「ここ最近で死人の種案件の仕事は従来の数倍・・・いや、十数倍にまで膨れ上がっている。ギルドは過去最高の利益を出しているし、俺としては有難くて涙が出るね」


ギルドマスターはそう言って口につけたワインを飲み干した。


「こうして俺が飲んでいるワインだって、昨年飲んでいたやつよりも10倍以上値段がするやつだ。以前はこんなワインなんてチビチビ飲んで俺だって、今は躊躇い無くぐいっと飲めるようになった。本当、いつも頑張ってくれているお前さんには感謝しているんだぜ」


ギルドマスターはワインで例えて今のギルドの景気の良さを教えてくれる。俺とて使う暇もないような報酬が貯まりに貯まり、いよいよちょっとした家が買えるくらいの貯蓄がある。別に金があるならそれはそれでいいのだが、それは俺が理想とする暮らしではない。もう少し地味でもいいから、のんびりと俺は暮らしたいのだ。
ちなみに忙しいからなのかわからないが、あれからアミルカにはまだ一度も会っていない。


「明日は仕事は無いはずだから、ゆっくり休んでくれ」


そう言ってギルドマスターは俺を見送った後、またワインを一本開けていた。



「はぁ、なんでこんなに忙しいんだよ」


以前よりははるかに楽になったが、それでも忙しいことには変わりがなかった。摘発が進んでいるのに、こうまで死人の種の密輸が減らないのは何故だ?俺は呆然として仕事室のドアの前で突っ立っていた。
そのときだった。


「なんでこんなに忙しいか?どうせだったら一杯飲みながらでも教えようか」


何時の間にかすぐそこに立っていたロクフェルが、俺を酒の席に誘いに来た。
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