国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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既に倫理的にはアウト

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「・・・という話だったのヨ」


そう言ってローザは俺が煎れたミルクティーに口をつける。

随分長い説明に感じたが、アミルカの婚約者というロクフェルという男が危険なやつであるということはわかった。


「ロクフェルは公爵家のサポートだけなく自分でも聖騎士団の中で地位を確立してるからね。もうアミルカの立場じゃ婚約解消できないのよ。万策尽きてるわ」


ローザがそう言って溜め息をつく。
もしかしたらこれまでアミルカの婚約解消のためにいろいろと手を尽くしてきたのかもしれない。


「ま、確かに騎士としては出来そうな感じはした。覇気も十分だ。きっと、それなりに地獄を見てきたんだろうなって思うわ。けど、家名を捨てたといっておきながらまだ実家の力に頼っているのはいただけねぇな」


ロクフェル・・・強かだとは思うが、俺とは相いれないタイプの人間かもな。まぁ軟弱なラルスやリュートよりはマシだけど。


「とまぁ、そういうわけでアミルカをあの男から救い出せるのはショウしかいないと思ったわけなのよ」


ん?流れ変わったな。


「いや、ロクフェルが危ないやつなのもわかるし、アミルカを助けたい気持ちも理解できるが、そこで何で俺なんだ。倫理的にも立場的にもかなり無理があるだろうが」


少なくともアミルカとロクフェルの婚約は表向きには至って問題のない婚約になっている。そこに部外者の一般人である俺が横恋慕なんてした日には俺は教団を含め世間すら敵に回すことになる。・・・あと、ランドールにいるソーアに知られたら殺されるかもしれん。

・・・今思えば、勢いや空気もあったとはいえ、そういったものを匂わされながらも良く俺はアミルカとあそこまでいってしまったものだと思ってしまう。少なくとも倫理的にはアウトな気がするし。
というかあのことをロクフェルに知られたらかなり危険なのでは・・・?



「なんだろうね・・・やっぱ、アミルカが心から気を許した男だからかな。ショウにはどこか期待してしまうのよ」


そう言ってローザは微かに笑うが、そんなことを言われても俺にどうしろというのか。


「とりあえず現状は立場的に万が一アミルカと二人で会っていたところを見られたとしても、何かしら説明のしようはあるじゃない?共同戦線の相手というのもあるし、いきなり斬られることはないと思うわ。・・・多分ね」


多分とぼそりと言ったのが聞こえたが、ロクフェルが聞いた通りの人間ならそんな理性が働くのかは怪しいところである。


「ロクフェルねぇ・・・」


アミルカのことは置いておいても、ロクフェルは今後ともに死線をくぐらねばならぬ仲間だ。
ローザが言うような危険人物だとしても、とりあえず俺がアミルカと接点を持っていることを知られなければどうということはないだろう。だが、もしアミルカと俺が接する機会が出来てしまったら?そして俺と彼女の間にある何かを感じ取ってしまったら?

そのときは俺を排除しにかかるのだろうか。
あるいは釘を刺してくるのだろうか。

ローザからロクフェルのことを聞いて、良かったのか返って面倒になったのかわからなくなってきた。
いずれにせよ明日から彼と接するようになるわけだ。一体どうなってしまうのか・・・

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