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超絶今更

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極秘依頼は文字通り極秘だ。
死人の種についての依頼は誰が受けたか、なんてことは恐らくギルド内でも一部の人にしかわからない。
だがドレッド達アミルカの護衛としては、彼女の身に関わる人間のチェックをするのは当然だろう。多分その過程で俺が死人の種についての依頼を受けていることを知っていたのだ。


「もしかしたら街で会うこともあるかもしれないが、聖女様のことは他言無用だ。知られるといろいろと大変なことになるのでな。これは君以外の極秘依頼を受ける冒険者にも言えることだ」


「ああ」


「まぁ基本的に聖騎士団からも護衛がついているので、万が一にも問題はないが、それでも戦場でもし聖女様に危険が迫れば最優先で助けてもらいたい」


「ああ」


「ちなみに、本当に万が一にも君たち冒険者の命と聖女様の命が天秤にかかった状況になった場合、我々は悩むまでもなく聖女様の命を優先する選択をする。それも肝に銘じておいてもらいたい。それだけ聖女様の存在は大事なものなんだ」


「ああ」


「・・・話を聞いているかい?」


「ああ」



ロクフェルがあれこれ話かけてくるが、俺はどうにも集中できないでいた。
不審に思われるかもしれないと思いつつ、アミルカから目が離せない。向こうも俯いてはいるが、チラチラと視線がこちらに向いているのを感じる。そしてそんな俺達を横目に見ながら、ドレッドは笑いをこらえているかのように口元をほんの僅かに歪めていた。



「我々聖騎士団はこの町の外で陣を張り、そこを拠点として行動をするつもりだ。聖女様もそうなされる。もし何か用事があるなら、リーダーである君だけなら通すので陣のほうへ訪ねてきてもらいたい」


「・・・わかった」


聖騎士団はそれなりの規模で来ているようで、町の施設を陣取ることはしないようだ。それにしても俺だけなら陣を訊ねれば、アミルカに会えるかもしれないということか?会いに行く理由はどうつけようか迷うが・・・
そんな特典があるのなら流れとはいえ冒険者サイドのリーダーになったのは良かったことかもしれない。


「今日のところは話は以上だ。それではこれからよろしく頼む」


ロクフェルがそう言って求めてくる握手に俺は快く応じる。
聖騎士団の偉いさんとなるともっと鼻にかけてくるような人間かと警戒したが、ロクフェルはそうではない。若いからなのだろうか。

そうして俺達は解散し、俺はギルド併設の酒場で待つザイル達と合流することにする。
別れ際ドレッドが「またな」と口の動きだけで伝えてきた気がした。アミルカは視線を僅かに投げかけるだけで何も言わなかった。


「・・・アニキ、ぼーっとしてどうしたんすか?」


どうにも昨日今日といろいろとあり過ぎて頭が疲れていた。
昨日別れたと思った人が翌日に思わぬ形で再会した。わけがわからない。
これはすぐにでも話を聞き出したいが、さてどうしたもんかと俺は頭を悩ませた。


っていうかアミルカが聖女様って何だよ!?

超絶今更にして、俺は時間差でその事実に物凄く驚愕した。
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