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雁字搦め

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ソーアの乱入などいろいろあったものの「それでは、改めて仕切り直しましょうか」とのエーペレスの一言で、改めて佇まいを直し二人は話を続けることにした。
そうと決まれば二人はこれまでの微妙な雰囲気はどこへやら、すっかり真顔になりスイッチを切り替えている。

まず行うのはオミトとエーペレスのお互いの情報交換である。本来なら手紙で事足りるはずであるが、ショウの追放以降、彼に近しい人間に関してはいつの間にやら手紙などがは検閲されてしまっていた。ショウとのやり取りが極秘裏に行われていないかの確認でもあるが、国内同士のやり取りにおいても、徒党を組んで国に仇なさないようにと考えられ検閲されていた。
手紙でのやり取りに限度がある以上、結局最も確実に内密なやり取りをするのは、安全な場所で直接会って話をする・・・これ以外に無かったのだ。だからオミトが直接エーペレスのいるマルセイユ領までやってきた。

ソーアの戦女神の詰所は一応セキュリティーもそれなりに備わっているため、もしオミトに国からの監視がついていたとしても、ここでのやり取りなら盗み聞きの心配もなさそうだ。


ーーーーー



「・・・そんなことが・・・」


オミトがルーデルの近況、それなら道中偶然出会った騎士団の荷馬車とその詰み荷について語ると、エーペレスは目を見張り驚いていた。オミトからしてみても、ルーデルの近況程度であまり大きなネタはないだろうくらいに考えていただけに、ここまでの道中であった死人の種というネタについては降って湧いたような話題だ。
それだけでも大きな話題だが、死人の種についてルーデルの黒の騎士団のブラホードが関わっている可能性についても話すと、流石のエーペレスも大きく動揺してみせた。


「はぁ・・・王家が死人の種に関わっている、だけならあちらを突っつくネタにできたのに・・・まさか黒の騎士団も加担しているかもしれないとなると、到底このネタは使えないわね。それどころか・・・」


「諸外国、どころかラルス教団にこの事実を知られただけで、亡国の危機になりますな」


「えぇ・・・危なっかしくて使えないわ、これ」


ラルス教の聖騎士団は死人の種をとびきり危険視し、その排除に躍起になっている。
かつて国家ぐるみで死人の種の研究を行った国がラルス教の怒りを買い、聖騎士団に攻め込まれて滅んでいる。ランドールとてもし攻め込まれれば十日と持つかわからない。


「いろいろ事態が前進するかと思ったけど、もしかしたら先に片付けないといけない問題が出来たかもしれないわね」


そう言ってエーペレスは溜め息をついた。
王家の追い落としどころか、逆に追い詰めればルーデルの騎士団から裏切り者が大規模に出てくる可能性が出てきたからだ。攻勢から一転、一旦立ち止まらなければならなくなったことにエーペレスは苛立ち、思わず爪を噛んでいた。
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