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誰得の老兵のモテ期
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オミトが詰所にやってきてから一時間ほど・・・
ようやく落ち着いたエーペレスが青い顔をしながらオミトの目の前にやってきた。
短時間に浴びるほど酒を飲んだためか、どうにも具合が悪そうだ。
「何かあれば呼んでください」とソーアはオミト達に気を利かせて人払いをし、今は休憩室はオミトとエーペレスの二人だけだ。
「さっきはごめんなさい。あの・・・なんと言っていいか・・・」
オミトに見せた醜態のことでよほどバツが悪いのか、エーペレスの言葉は珍しく歯切れが悪い。
どうやら泥酔こそしていたが醜態を見せていたときの記憶はしっかりと残っているようで、意識がはっきりした今それらが猛烈に彼女の羞恥心を煽り立てているのだろうとオミトは思った。
「・・・まぁ、お気になさらず」
気の利いたことの言えないオミトは、ただそれだけ言うしかなかった。
才色兼備なエーペレスは、奇行が目立ちこそしたが失敗らしい失敗を見せたことはなかった。そんな彼女の大失敗を目にしてしまったオミトは、居たたまれない気持ちで胸を占められていた。
「いえ、自分の失態について曖昧にするのは良くないわ。・・・お酒の失敗については、私はソーアのことを叱りつけたばかりだから尚更なのよ」
エーペレスはコホンと咳払いをして、佇まいを直した。
ソーアが酒のことで失敗したのか?エーペレス程ではないが少し意外だなとオミトは思う。
ちなみにソーアの酒の失敗というのは暴露記事のときのことである。結果としてソーアのイメージダウンには繋がらなかったという見立てになっているが、それでも不注意であるとしてエーペレスはソーアのことを厳重注意していたのだった。
そのこともあったために、この日詰所の中でのこととはいえ、酒により大失態を見せたエーペレスはオミトだけでなくソーアに対しても気まずくて仕方が無かった。
「言い訳にもならないけど、自分でもあそこまで心を乱されるとは思っていなかったわ」
エーペレスは目を伏せ、か細い声で言った。確かに乱心していたといっても大袈裟ではない有様に見えた。
「オミトとあの女の子が一緒に楽しそうにしているのを見て、心が落ち着かなかったの」
あぁ、やはりそれかとオミトは思う。やはり不謹慎な行為であったか。オミトとエーペレスはこのマルセイユ領で落ち合い、重要な話し合いをする予定だった。オミトが到着するまでの間、きっと彼女は心休まる間もなく、いろいろと考え悩んでいたのではないか・・・それを自分は若い娘と楽しそうにしていれば、それは気持ちが良いものではないだろう。
「いえ、私も不謹慎でした」
オミトはそう理解、謝罪を述べ頭を下げようとした。
「やめて」
しかし、エーペレスに間髪入れずに頭を下げることを止められる。
「私のくだらない嫉妬でしかないのよ。オミトが謝ることではないわ」
「え?」
「私はオミトのことを一人の男として見ているの。けど、既に別に恋人を作ってしまったのかと思って取り乱してしまった。申し訳ないと思っているわ」
エーペレスは真顔で真正面からオミトの目を見つめて、そう言った。オミトは自分が何を言われているのか一瞬理解ができなかった。
ようやく落ち着いたエーペレスが青い顔をしながらオミトの目の前にやってきた。
短時間に浴びるほど酒を飲んだためか、どうにも具合が悪そうだ。
「何かあれば呼んでください」とソーアはオミト達に気を利かせて人払いをし、今は休憩室はオミトとエーペレスの二人だけだ。
「さっきはごめんなさい。あの・・・なんと言っていいか・・・」
オミトに見せた醜態のことでよほどバツが悪いのか、エーペレスの言葉は珍しく歯切れが悪い。
どうやら泥酔こそしていたが醜態を見せていたときの記憶はしっかりと残っているようで、意識がはっきりした今それらが猛烈に彼女の羞恥心を煽り立てているのだろうとオミトは思った。
「・・・まぁ、お気になさらず」
気の利いたことの言えないオミトは、ただそれだけ言うしかなかった。
才色兼備なエーペレスは、奇行が目立ちこそしたが失敗らしい失敗を見せたことはなかった。そんな彼女の大失敗を目にしてしまったオミトは、居たたまれない気持ちで胸を占められていた。
「いえ、自分の失態について曖昧にするのは良くないわ。・・・お酒の失敗については、私はソーアのことを叱りつけたばかりだから尚更なのよ」
エーペレスはコホンと咳払いをして、佇まいを直した。
ソーアが酒のことで失敗したのか?エーペレス程ではないが少し意外だなとオミトは思う。
ちなみにソーアの酒の失敗というのは暴露記事のときのことである。結果としてソーアのイメージダウンには繋がらなかったという見立てになっているが、それでも不注意であるとしてエーペレスはソーアのことを厳重注意していたのだった。
そのこともあったために、この日詰所の中でのこととはいえ、酒により大失態を見せたエーペレスはオミトだけでなくソーアに対しても気まずくて仕方が無かった。
「言い訳にもならないけど、自分でもあそこまで心を乱されるとは思っていなかったわ」
エーペレスは目を伏せ、か細い声で言った。確かに乱心していたといっても大袈裟ではない有様に見えた。
「オミトとあの女の子が一緒に楽しそうにしているのを見て、心が落ち着かなかったの」
あぁ、やはりそれかとオミトは思う。やはり不謹慎な行為であったか。オミトとエーペレスはこのマルセイユ領で落ち合い、重要な話し合いをする予定だった。オミトが到着するまでの間、きっと彼女は心休まる間もなく、いろいろと考え悩んでいたのではないか・・・それを自分は若い娘と楽しそうにしていれば、それは気持ちが良いものではないだろう。
「いえ、私も不謹慎でした」
オミトはそう理解、謝罪を述べ頭を下げようとした。
「やめて」
しかし、エーペレスに間髪入れずに頭を下げることを止められる。
「私のくだらない嫉妬でしかないのよ。オミトが謝ることではないわ」
「え?」
「私はオミトのことを一人の男として見ているの。けど、既に別に恋人を作ってしまったのかと思って取り乱してしまった。申し訳ないと思っているわ」
エーペレスは真顔で真正面からオミトの目を見つめて、そう言った。オミトは自分が何を言われているのか一瞬理解ができなかった。
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