国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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ルーデルの危機

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「死人の種だと!ど、どうしてブラホードはそんなことを!?」


オミトも死人の種については見慣れているし、その恐ろしさは理解しているが、それをわざわざ集める理由なんてものはわからなかった。アルス教が主体となって単純所持すら禁止させた条約があるが、詳細はわからない。戦場での脅威・・・この程度にしか死人の種について理解していなかったのである。


「ブラホードが実際何のためにしていたのかはわからない。だか、ずっとやっていたことらしいということは何となくわかった。俺が逃げたのは二年ほど前の話だが、多分今でもやっていると思うぜ」


オミトは冷や汗が流れるのを感じた。
ルーデルの騎士団の一部でも国際条約に違反したことをしていることが知れると、それはルーデルの・・・否、ランドールの致命傷となりえるからである。


「もしかして、それは騎士団全体でやっていることなのか?」


「それはわからねぇさ。けど、少なくともブラホードを軸としてそこそこの人数が加担しているという感じはあった。何度も騎士団から追手を差し向けられたからな」


「馬鹿な・・・」


オミトは拳を強く握り締めた。
まさか自分の信頼していたブラホードが、そんなことをしていようなどと。



「なんだ、俺の言葉を信じてくれるのかい」


ジンはオミトの顔色を見てそう訊ねる、


「少なくとも、嘘と断定することなどできんだろう」


状況的にジンが嘘をつく必要はない。ブラホードのことは信頼していたが、しかしジンのことを無条件に批難するほど盲目的ではない。


「そうか・・・俺が相談した仲間たちは、誰もがブラホードを信頼していたからな・・・」


オミトの返答を聞いて、ジンは複雑な表情を浮かべた。
かつての仲間にブラホードのことを打ち明けても、きっと取り付く島もなかったのだろう・・・オミトはそう思った。ブラホードの騎士団における人望を考えれば、それも致し方ないのかもしれない。だがきっとジンは深く傷ついたし、大きく疲弊してきたのだろう。


「帰ったら、騒がしくなりそうだな」


騎士団のことを調べる必要がある。
だがジンの話が事実だとすると、誰がブラホードに内通しているかわからない。出方を間違えると騎士団が崩壊する可能性がある。

(なんてことだ・・・)

まだ旅の目的地にもついていないのに、オミトはすっかり疲れ切ったような気持ちになってしまっていた。
ルーデルの危機がそこに迫っているーーー オミトはそう感じずにはいられなかった。
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