国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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老兵の戦い

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「助けてぇぇぇぇ!」


オミトが何事かと声のする方に目を向けると、一人の少女が全速力で向かってきているのが見えた。
なんだ、自分の他にも人がいるではないか。
こんな状況であるが、オミトは数時間ぶりに他人に会えたことに喜びを感じていた。


「あぁ、そこの人どうか助けてください!」


少女は喜びにふけっているオミトの元に辿り着くと、彼の左腕に縋り付いて助けを乞うた。


「逃げ足の速いやつだなぁ!お~い待てよ」


「お?誰か他に人がいるぜ」


少女が走ってきた方角にオミトが目を向けると、ぞろぞろと武装した5人の男が走ってくるのが見えた。
どうやら少女はこの男達から逃げてきたのかと理解すると、オミトは彼女を自分の後ろに隠すようにして男達の前に立ちはだかった。


「女性一人を男が複数で追い掛け回すとは穏やかではないな」


オミトはそう言いながら自分の得物に手をかける。


「おぅ、おっさん。悪いことは言わねぇから、余計なことに首つっこまねぇで消えな」


男達は脅すように各々の持っている剣や手斧を見せびらかして、オミトに去るように促した。
それを見てオミトの背後に隠れる少女がビクッと肩を震わる。


(野盗か)


オミトは男達の装いを見てそう判断した。
少女と彼らの関係性は知らないが、少なくともここで放っておけばろくなことにならないのは間違いなさそうだ。


「この子のエスコートは私が引き継ごう。君達はもう帰っていい」


スラッと、オミトは得物を鞘から抜き出した。
かつてオミトが極東から流れ着いたときからずっと持っていた愛刀「コテツ」だ。



「おぉ、なんだそりゃ。極東だかにある曲刀ってやつか」


野盗はオミトが得物を出したことに対して怯む様子はない。むしろ面白くなってきたと言わんばかりに笑みを浮かべ、彼らは武器を構えたまま陣形を作り出す。

それなりに戦い慣れしているようだな・・・とオミトは分析する。
勢いに任せて単純に斬りかかるだけの単細胞ではなさそうだ。


「私にはあまり時間がないので、こちらのペースでやらせてもらうがいいかな」


「はぁ?何言って」


オミトが話しかけ、それに一人が答えようとしたときだった。
オミトは一瞬で距離を詰め、コテツを一文字に振りぬいた。


「んだ、てめぇ・・・はれ?」


胴体が横から真っ二つになった男は、自分が斬られたことにも気付かず、なおもしゃべろうとしながら上半身を地面につけた。


「んなっ」


その隣にいた男は、何があったかを理解する直前にして袈裟斬りにされて絶命する。

もう一人がオミトを迎撃しようと構えを直そうとするも、左逆袈裟斬りにより刃を受けることも叶わず斬り殺された。

残る二人の判断は早かった。正面からではオミトに勝てないと即座に判断し、示し合わすわけでもなくそれぞれが生い茂る森林に身を隠そうと脇道へ逃げ出そうとした。
そのうちの一人をオミトは追いすがって、背面から斬り伏せる。
流石に逃げ出したもう一人は見逃すしかなかったが、オミトは一瞬にして四人の野盗を斬り殺していた。
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