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火の車のルーデル
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ルーデル家当主リュートは執務室で机にかぶりつくように仕事に取り掛かっていた。
朝から晩まで、食事は簡素な物にしてもらい、極力部屋から出ないようにして仕事に取り付いている。それくらいリュートは多忙であった。
金がない。
リュートが多忙である最大の理由がこれだ。頼みであったルーデル家への寄付金もついに雀の涙ほどにまで減り、あらゆるインフラ整備を見送った上で収支を一から見直して大鉈を振るうつもりで財政改革に取り組んでいた。
リュートは頭は悪くない。学業の成績も上位であったし、書類仕事はショウよりも効率よくこなせていた。
だが、数年ぶりにやってきたこのルーデル家の火の車の財政をどうにか出来るような手腕は、残念ながらリュートは持ち合わせていなかった。故に目の下にクマを作ってへとへとになりながらもリュートは書類の一枚一枚に目を通していた。
「どうしてこんなことに・・・」
苛立ちながら思わず呟く。
その理由には自分も少し関わっている。
先日図々しくも国王に陳情し、再び派遣してもらった騎士達の維持コストが莫大である。
今度は王は思い切ったのか150人ほど送ってきてくれた。「今度こそはルーデルの掌握を成し遂げること」とのメッセージが添えられていたが。
最初こそ喜んだが、俸給どころか増えた食堂の食費だけで眩暈のするような金が飛んでいく。
彼らの維持管理費などどうにかなると高をくくっていたものの、寄付金がガクンと減った影響が極めて大きく、帳尻を合わせるために寝る間も惜しんで仕事をしてもまるで追い付かない。
ウラウムの採掘事業も実用化まではまだ時間がかかる。
「何故寄付金がこれほどまでに減ったんだ・・・私達は国防の要だぞ。金がなければ兵を一人だって動かすことはできないのに・・・」
寄付金が減ったことに対し恨み言を呟くリュートだが、ここ最近が多忙過ぎるせいで彼は知らない。
ソーアの暴露記事が発端で、主犯のラルスのみならずリュートの信頼も地に落ちているということを。そんなリュートの治めるルード地方に嫌悪感を抱き、引っ越してしまった者達もいる。そして当然それらは税収にもマイナスに働く。
全てはリュートの自業自得であった。
「はぁ・・・」
リュートは溜め息をつく。
どれだけ頭を悩ませても、それだけ自分が暗い顔をしていても、ルーデル邸にいる者とて誰一人として心配をしてくれない。お茶を煎れることはおろか、目すら合わせない。
本来ならそんな使用人などクビにしたいところだが、それをやったら最後・・・雪崩のように人が辞めていくのが目に見えていた。そして代わりを募集しても誰も応募しない。そんな予感がした。それだけこの地において自分の人望は地の底まで落ちていることくらいはリュートも自覚するようになった。
「小言や嫌味を言ってくるオミトでも、いないより断然マシだったな」
嫌味ばかり言ってくるオミトでも、それでも誰からも空気扱いされるよりはずっと良かった。
そんなオミトは今この屋敷にはいない。
「しばらく休みを貰いたいって、そのまま辞めるわけじゃないだろうな・・・それは・・・困るぞ」
呆然と呟きながらも、ふと我に返って再び書類との格闘を再開する。
オミトはその頃、ルーデル領を離れていた。
朝から晩まで、食事は簡素な物にしてもらい、極力部屋から出ないようにして仕事に取り付いている。それくらいリュートは多忙であった。
金がない。
リュートが多忙である最大の理由がこれだ。頼みであったルーデル家への寄付金もついに雀の涙ほどにまで減り、あらゆるインフラ整備を見送った上で収支を一から見直して大鉈を振るうつもりで財政改革に取り組んでいた。
リュートは頭は悪くない。学業の成績も上位であったし、書類仕事はショウよりも効率よくこなせていた。
だが、数年ぶりにやってきたこのルーデル家の火の車の財政をどうにか出来るような手腕は、残念ながらリュートは持ち合わせていなかった。故に目の下にクマを作ってへとへとになりながらもリュートは書類の一枚一枚に目を通していた。
「どうしてこんなことに・・・」
苛立ちながら思わず呟く。
その理由には自分も少し関わっている。
先日図々しくも国王に陳情し、再び派遣してもらった騎士達の維持コストが莫大である。
今度は王は思い切ったのか150人ほど送ってきてくれた。「今度こそはルーデルの掌握を成し遂げること」とのメッセージが添えられていたが。
最初こそ喜んだが、俸給どころか増えた食堂の食費だけで眩暈のするような金が飛んでいく。
彼らの維持管理費などどうにかなると高をくくっていたものの、寄付金がガクンと減った影響が極めて大きく、帳尻を合わせるために寝る間も惜しんで仕事をしてもまるで追い付かない。
ウラウムの採掘事業も実用化まではまだ時間がかかる。
「何故寄付金がこれほどまでに減ったんだ・・・私達は国防の要だぞ。金がなければ兵を一人だって動かすことはできないのに・・・」
寄付金が減ったことに対し恨み言を呟くリュートだが、ここ最近が多忙過ぎるせいで彼は知らない。
ソーアの暴露記事が発端で、主犯のラルスのみならずリュートの信頼も地に落ちているということを。そんなリュートの治めるルード地方に嫌悪感を抱き、引っ越してしまった者達もいる。そして当然それらは税収にもマイナスに働く。
全てはリュートの自業自得であった。
「はぁ・・・」
リュートは溜め息をつく。
どれだけ頭を悩ませても、それだけ自分が暗い顔をしていても、ルーデル邸にいる者とて誰一人として心配をしてくれない。お茶を煎れることはおろか、目すら合わせない。
本来ならそんな使用人などクビにしたいところだが、それをやったら最後・・・雪崩のように人が辞めていくのが目に見えていた。そして代わりを募集しても誰も応募しない。そんな予感がした。それだけこの地において自分の人望は地の底まで落ちていることくらいはリュートも自覚するようになった。
「小言や嫌味を言ってくるオミトでも、いないより断然マシだったな」
嫌味ばかり言ってくるオミトでも、それでも誰からも空気扱いされるよりはずっと良かった。
そんなオミトは今この屋敷にはいない。
「しばらく休みを貰いたいって、そのまま辞めるわけじゃないだろうな・・・それは・・・困るぞ」
呆然と呟きながらも、ふと我に返って再び書類との格闘を再開する。
オミトはその頃、ルーデル領を離れていた。
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