国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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謎の薬包紙

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演劇の感想会を兼ねた食事会が終わった後は、アミルカは俺の部屋での読書をリクエストした。
俺も消化しきれなかった本を読むことにし、途中で休憩でお茶をしながら、なんだかんだ夜までアミルカは俺の部屋にいた。


「また明日来るね!」


アミルカはそう言って夜遅く帰っていった。
俺が送ろうとすると、いつの間にかローザがやってきていて「後は任せて」とだけ言ってアミルカを連れて帰った。
ローザもしかして一日中見ていたんじゃあるまいな?と少しだけ俺は怖くなった。


朝来て午前中は外を回り、午後は俺の部屋に来て一緒に読書をする。
翌日以降も初日のようなサイクルが毎日続いた。適当に朝市を回って、冷やかして冷やかされて、気取らず気の赴くままにビストロや露店で他愛のない話をしながら飯を食い、そして俺の部屋で読書をして夜になったら帰っていく。

そんな日が続いて一週間が経過したころ。









「ごめんなさい。察することが出来なくて」


ある日、夜になってアミルカを送り届けたローザが後になって神妙な顔をして再び訪ねてきたと思ったら、開口一番に彼女がこう言った。ローザはいつだって謎が多いが、この発言は唐突過ぎて本当に意味が分からなかった。

「何が?」と怪訝な顔をして訊ねる俺を無視し、ローザが部屋に押し入ってくる。ローザの謎でマイペースなところは超絶今更なので、俺はもう特にツッコミも入れないし気にもしない。


「これは・・・?」


部屋に入ったローザは、小さな薬包紙のようなものをスッとテーブルの上に置いた。それが何であるのかわからない俺が問うが、ローザは鎮痛な表情を浮かべて押し黙っていた。

一体なんだというのだ。
これまでローザは常に涼しい顔で余裕たっぷりの態度を一貫していた。今みたいな余裕のないような表情を見せるのは初めてだ。

ローザの態度に関係していると思われる薬包紙を、俺は慎重に手に取った。


「・・・あなたは何も言わなかったけど、思えば故郷に恋人を残してきたと言っていたし、推測することくらいはできたわね。気付くのが遅くなってごめんなさい。でも、これでいろいろ合点がいったわ」


俺が薬包紙の中身について訊ねる前に、ローザが俺の何かを察したように語り出す。あえて本題というか主旨をぼかしているというか、煮え切らない話し方だった。しかし俺を苛立たせたり焦らすような意思は感じられない。あくまで俺を気遣うような優しい話し方だった。

だが本当に意味がわからないので、余計に不気味だった。俺がランドールにいたルーデルだということに気が付いたかと最初は警戒したが、どうもその様子ではなさそうだった。
俺がどうしたものかと硬直していると、ローザは苦笑いしながらこう言った。


「本題が遅くなって混乱させてしまったわね。それは今のあなたを救う物よ」
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