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終わりが近い?

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「・・・すまない」


俺は両肘をテーブルに立て、頭を抱え込んでいた。

「少し飲み過ぎだと思うから、ちょっと覚ましたら?」

とアミルカに言われ、言われるがままにビールを飲むのをやめて水を飲み、時間を置いてみると・・・先ほどまで俺はアミルカの反応も鑑みずにベラベラと自分の言いたいことばかりを言っていたことに気が付いた。
いささか冷静となった今では、猛烈な自己嫌悪で消えてしまいたくなるほどである。



「すまないって何が?」


アミルカはきょとんとしてそう俺に訊ねる。


「いや、つい俺だけが楽しくなっちまって、勝手にしゃべり続けてしまった・・・」


「ううん。ショウの話、とっても面白かったよ。ショウのことが知れて楽しかった」


そう言って笑ってくれるアミルカに感激してしまう。
まだ酔いが強く残っていたら、思わず彼女の手を取って握りしめてしまっていたかもしれない。


「悪かった。今度飲むときまではもう少し酒に強くなるようにするよ」


何の気なしに言った言葉だったが、アミルカはそれを聞いて一瞬硬直し


「・・・うん、楽しみにしとく」


なんだか嬉しそうににっこり笑ってそう答えた。


それを見て思わずドキッとしてしまう。
・・・こういうのって浮気じゃないよな。ソーアが見ていたら殴りかかってなんてこないよな?


「ふふ、嫌なことがあったけど、なんだかすっきりしちゃったよ」


嫌なことーー
俺がアミルカに様子を伺ったことで、こうして酒場に場所を移してまで聞くはずだったこと。
なんだかんだアミルカが楽しそうなので、俺はいつからか「悪いほうの話はしたくないならしたくてもいいや」と思うようになっていた。
だが、アミルカのほうから話題に上げたことで、俺は思わず顔に出してしまったのだろう。


「あっ、ごめんね。シラけるようなこと言っちゃって」


俺の表情を見て楽しい気分を崩してしまった、そう思ったのかアミルカは謝ってくる。
だから俺はーー


「いや、もし話せることがあるなら・・・言って楽になりたいことがあるなら話してくれ」


こっちから切り出した。
力になれるかわからない、ただの冷やかしで終わるかもしれない。だが、アミルカを悩ませているものがあるのなら、俺は話を聞きたかった。


「あー、うん・・・」


くいっとコップを傾けて、アミルカは残っていたビールを飲み干した。
そして意を決したようにうなずくと、ポツリと語り出す。


「嫌な人がね、今度こっちに来ることになってるの」


目を閉じて、アミルカは椅子の背もたれに体を預けて続けだす。


「ちょっと守秘義務のこととかあって深くは言えないんだけど、もしかしたら、今のこの生活がこれで終わりになっちゃうかもしれない・・・そんな感じでさ」


この生活が終わりになるかもしれないーー
その意味を理解したとき、俺はフッと体のどこかに空洞ができたような、そんな感覚に襲われた。
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