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久々のアミルカ

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「ラルス教の聖騎士団は強い権利を持っている。いち貴族や半端な王族程度では彼らの職務を妨害することはできん。隊商にいくら強力な後ろ盾があったところで、無視して強制的に捜査ができる。そして逆らう者は問答無用で制圧できる。彼らがオークヨークに来てくれるというのなら、密輸業者を片っ端から摘発できるだろう」


ゲイルの言葉は心強かった。
俺はラルス教の聖騎士団のことは良く知らないのだが、それでも禁止物の捜査においてかなり強い権利を持つのなら、これからの仕事は随分と楽になりそうだ。


「ったく、大きな声じゃ言えねぇが、腰が重すぎるんだよ奴らは。こっちが限界の限界になってからようやく応援をよこしてくるなんてよ。禁止物絡みは元はあいつらの仕事じゃねぇか」


ギルドマスターが悪態をつく。
まぁ俺も冒険者としてはいくらか同意見だ。


「そう言うな彼らの仕事も多岐に渡る。禁止物が一定量間違いなく出回っている地域と確証が取れないと、早々動くこともできないんだろう」


ゲイルがそう言って宥める。
まぁこれも組織を動かしたことのある立場からすれば少しはわかる。
今回派遣されてくる聖騎士団とやらがどれだけの規模かわからないが、集団を動かすには時間と金がかかる。動かしたはいいが、成果がろくに出ませんでしたというわけにはいかないのだ。動かすだけの明確な根拠が無くては迂闊に動かせないというのはよくわかる。


「何にせよ、これで少しは楽が出来るというのなら何よりだ」






俺は吉報で少しだけテンションが上がったので、今日は最近疲れて煎れる気も起きなかった紅茶でも飲みながら、少し読書を進めようかとギルドを軽やかな足取りで後にしようとした。
そのときだった。


「・・・アミルカ?」


俺はギルドのテラスでぼーっと一人で佇んでいるアミルカを発見した。
ここ最近は依頼が忙しすぎてろくに会うこともなかったアミルカを見つけ、俺は挨拶くらいはしようと声をかけることにした。


「よう、久しぶりだな」


俺はアミルカに声をかけた。


「・・・」


しかし、アミルカは何か考え事でもしているか、俺の言葉が耳に入っていないようで何の反応もなかった。


「アミルカ!」


もう一度、今度は強めに彼女の名前を呼ぶ。


「ファッ!?」


今度は気付いたようで、アミルカは飛び上がるように驚いた。
そこまで驚かれると何だか悪いことをしてしまったような気分だ。


「な、ななななな何!?・・・え、ショウ・・・?」


これでもかというほどに動揺しながらも、ようやくアミルカは俺のことを認識した。
アミルカはたまにぼーっと考え事をすることがあり、それのお陰で迷子になることがあるとローザ達が言っていた。今のもそれかと思ったが、どうやら少しだけ違うようだと俺は後で気付くことになる。
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