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ランドールの暗雲
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「最近急に増えたな。一体どうしたのかねぇ」
ヒューイが他の荷物をチェックしながらそう言った。
俺は死人の種の箱を閉めると、ヒューイに続いて他の荷物をチェックする。
「ここでも出たか」
他の箱でも死人の種が詰め込まれていた。
「おっ、こいつは・・・」
別の箱を開けたヒューイが何やら驚きを声を上げた。
「麻薬だぜ。随分と重装備な隊商だとは思ったが、これなら納得だ」
結局全ての詰み荷をチェックしてみると、死人の種と麻薬、あるいはそれに類似する禁止物ばかりが運ばれていたことがわかった。
こういったものの密輸には多少カモフラージュをするものだが、そんなことをするスペースも惜しいとばかりに禁止物がぎっしり所せましと積まれていたのである。
「これ、一応世間的には名の通った商会の隊商なんだがな。まさか詰み荷のほとんどが禁止物なんてなぁ」
野盗が出る分には武力で跳ね返せるだろうが、自警団や国軍など公権力を持つ組織が詰み荷のチェックすると言い出したら即アウトだ。だからギルドの依頼で検査をしようとした俺達に隊商の奴らは襲い掛かってきた。
どうしてここまでカモフラージュすらしないリスクの多い詰み方などしていたのだろう?
「アニキ、今隊商の生き残りの連中を吐かせてみたんですが、やっぱりコイツらランドールへ行くつもりだったみたいですぜ」
非戦闘員だった隊商の聞き取りをしていたザイルがやってきた。
ーー隊商の目的地はランドール。
これは今回依頼を遂行する前にそうである可能性が高いと言われていたことだ。そして、ここ最近の極秘依頼は大体が今日と同じようにランドール行きの隊商の詰み荷の検査だった。
まただ。またランドールに向けて禁止物の密輸が行われようとしていただと?
一体ランドールで何が起こっている?
俺は自分の元いた故郷の異変に、すっかり困惑してしまっていた。
「あれですかね・・・最近、ランドールに密輸するには、海路だとマルセイユの摘発のリスクが高いじゃないですか。だから、密輸業者もこれまで海路でやっていた分、陸路に切り替えだしたとか?」
ランドールで活躍しているソーアが掲載されている記事を良く読んでいたからだろうか、クリフがピンと来たようでそう言った。
「海路は・・・そうか」
俺はソーアが活躍しているという記事を思い出した。
今はソーアが自身の部隊を率いて派手に、それはもう本当に派手に密輸船を取り締まっているらしい。時には船の撃沈も辞さないほどに。
海路での密輸での万が一のリスクは、損失が陸路のそれの比にならない。陸路の馬車より船のほうがずっと積載量が多く、失敗したときの詰み荷の喪失による経済的損失が計り知れないのだ。
「船で足りなくなった分、陸路でそれを補おうとして無茶な詰み方したとかじゃないんですか?」
ドロシーが山積みになった死人の種入りの木箱を見ながら言った。
「最近増えたというより、元々違うルートで流れていたものが俺達のいる陸路を使ったやり方に切り替わっただけってことか?もしそれなら、今後もっときつい依頼になるかわかったもんじゃねぇし、人手の増員くらいはお願いしたいところだぜ。なぁ?」
ヒューイが溜め息をつきながら、俺に同意を求めるようにそう言った。
だが、俺はヒューイの言葉に反応が出来なかった。考え事をしていたからだ。
(待てよ・・・もしかして、これまで明るみになってなかっただけで、これだけの大量の禁止物が常にランドールに密輸されていたかもしれないってことか?)
「おいおい、我が故郷は一体どうなっちまってんのかね・・・」
誰へともなく、俺は思わずそう小声で呟いていた。
ヒューイが他の荷物をチェックしながらそう言った。
俺は死人の種の箱を閉めると、ヒューイに続いて他の荷物をチェックする。
「ここでも出たか」
他の箱でも死人の種が詰め込まれていた。
「おっ、こいつは・・・」
別の箱を開けたヒューイが何やら驚きを声を上げた。
「麻薬だぜ。随分と重装備な隊商だとは思ったが、これなら納得だ」
結局全ての詰み荷をチェックしてみると、死人の種と麻薬、あるいはそれに類似する禁止物ばかりが運ばれていたことがわかった。
こういったものの密輸には多少カモフラージュをするものだが、そんなことをするスペースも惜しいとばかりに禁止物がぎっしり所せましと積まれていたのである。
「これ、一応世間的には名の通った商会の隊商なんだがな。まさか詰み荷のほとんどが禁止物なんてなぁ」
野盗が出る分には武力で跳ね返せるだろうが、自警団や国軍など公権力を持つ組織が詰み荷のチェックすると言い出したら即アウトだ。だからギルドの依頼で検査をしようとした俺達に隊商の奴らは襲い掛かってきた。
どうしてここまでカモフラージュすらしないリスクの多い詰み方などしていたのだろう?
「アニキ、今隊商の生き残りの連中を吐かせてみたんですが、やっぱりコイツらランドールへ行くつもりだったみたいですぜ」
非戦闘員だった隊商の聞き取りをしていたザイルがやってきた。
ーー隊商の目的地はランドール。
これは今回依頼を遂行する前にそうである可能性が高いと言われていたことだ。そして、ここ最近の極秘依頼は大体が今日と同じようにランドール行きの隊商の詰み荷の検査だった。
まただ。またランドールに向けて禁止物の密輸が行われようとしていただと?
一体ランドールで何が起こっている?
俺は自分の元いた故郷の異変に、すっかり困惑してしまっていた。
「あれですかね・・・最近、ランドールに密輸するには、海路だとマルセイユの摘発のリスクが高いじゃないですか。だから、密輸業者もこれまで海路でやっていた分、陸路に切り替えだしたとか?」
ランドールで活躍しているソーアが掲載されている記事を良く読んでいたからだろうか、クリフがピンと来たようでそう言った。
「海路は・・・そうか」
俺はソーアが活躍しているという記事を思い出した。
今はソーアが自身の部隊を率いて派手に、それはもう本当に派手に密輸船を取り締まっているらしい。時には船の撃沈も辞さないほどに。
海路での密輸での万が一のリスクは、損失が陸路のそれの比にならない。陸路の馬車より船のほうがずっと積載量が多く、失敗したときの詰み荷の喪失による経済的損失が計り知れないのだ。
「船で足りなくなった分、陸路でそれを補おうとして無茶な詰み方したとかじゃないんですか?」
ドロシーが山積みになった死人の種入りの木箱を見ながら言った。
「最近増えたというより、元々違うルートで流れていたものが俺達のいる陸路を使ったやり方に切り替わっただけってことか?もしそれなら、今後もっときつい依頼になるかわかったもんじゃねぇし、人手の増員くらいはお願いしたいところだぜ。なぁ?」
ヒューイが溜め息をつきながら、俺に同意を求めるようにそう言った。
だが、俺はヒューイの言葉に反応が出来なかった。考え事をしていたからだ。
(待てよ・・・もしかして、これまで明るみになってなかっただけで、これだけの大量の禁止物が常にランドールに密輸されていたかもしれないってことか?)
「おいおい、我が故郷は一体どうなっちまってんのかね・・・」
誰へともなく、俺は思わずそう小声で呟いていた。
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