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続発する死人の種の摘発
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「はああああああああ!!」
気合充分。
勢いの乗った俺の太刀は、相対していた相手を頭から股先まで真っ二つにした。
返り血をいくらか浴びてなお闘志向き出しで次の獲物を探す俺に、敵対している男達は「ひっ」と小さく悲鳴を上げて後ずさった。
どうも、五月蠅い剣術の使い手のショウです。
今、俺はギルドからの極秘依頼の遂行中である。
依頼の内容は『死人の種を運搬していると思われる隊商の取り調べ』だ。
とある街道通行予定の隊商にご禁制の「死人の種」の運搬の疑いがかかっていた。その隊商に俺達が停止を促し、詰み荷の確認をして白ならばそれで終わり。黒ならば手段を問わず隊商を無力化し、詰み荷を確保してギルドに通報すること・・・である。
つまり隊商が黒ならば極秘依頼を受けた冒険者のみでその場を制圧しなければならないのだ。
そして隊商はーーー俺達冒険者の制止を無視。無論検査にも応じない。それどころか執拗に制止する俺達に向かって斬りかかってきたのである。
で、結局力づくで制圧することになった。
冒険者側は俺とザイル達・・・そして一緒に極秘依頼を受けることになる他パーティー一つで、合わせて合計10人。
一方で隊商は30人以上もいた。馬車6台引き連れているので、俺達だけで相手をするにはそれなりの規模だなぁとは思っていた。
彼らの雇ったと思われる傭兵が10人ほどいて、かつ行商人も全員がそうではないが、ほとんどが戦闘経験のある者のようで、武器を構えて躊躇うことなく襲い掛かってくる。
多勢に無勢もいいとこだが、シンプルに向こうから斬りかかってくれたことだけは都合がいい。
ギルド職員も自警団もいない俺達だけの状態で難しい判断を迫られるのが最も面倒なのだが、相手から攻撃してくる分にはギルドの名の元に成敗しても良いことになっている。
つまり隊商の連中がギルドの看板を背負った俺達に襲い掛かってきた以上、極端に言えば彼らの実際の詰み荷が何であろうとどんな密命を帯びていようと身分がどうだろうと、例え皆殺しにしてしまっても俺達は全く罰せられることはないのである。
「向こうが高位貴族の名を出して検査を拒否してきたら、俺達はどうすればいいかわからないっすよねぇ」
なんて仕事前には気弱な発言をしていたザイルが、今では心なしか嬉々として得物を振り回しているように見える。難しい選択肢を突きつけられるようなことにならなくて本当に良かったと考えているようだ。俺も同じだ。難しい政治的な問題をちらつかされるより、多勢に無勢でも単純に戦闘で決着をつけるだけのほうが楽でいい。
「も、もうやってられっか!」
俺達が隊商の半分ほどを仕留めた頃、ちらほら残っていた傭兵達が一目散に逃げだした。
これにより大勢は決した。
残る戦闘員の士気は下がり、一気に総崩れとなる。
それからややもしないうちに、俺達は隊商を制圧した。
数十人に及ぶ死体が転がる凄惨な現場だが、冒険者サイドに死人は出なかったので快勝である。
「おぅ、あったぜ」
早速隊商が引き連れていた馬車の荷物を調べていた冒険者のヒューイが言った。
俺は口元に布をかぶせ、そっと一緒に詰み荷を覗き込んだ。
そこには箱にぎっしりと死人の種が入っている袋が詰められていた。
「最近多いな」
思わず俺は呟いた。
少し前までこの死人の種に関連した極秘依頼はそれほど無かったのに、今では週に何度も呼び出されることがある。連日続くこともあるし、泊まりになることもある。最近では買ったはいいものの読めていない本が何冊もあるくらいには忙しかった。
気合充分。
勢いの乗った俺の太刀は、相対していた相手を頭から股先まで真っ二つにした。
返り血をいくらか浴びてなお闘志向き出しで次の獲物を探す俺に、敵対している男達は「ひっ」と小さく悲鳴を上げて後ずさった。
どうも、五月蠅い剣術の使い手のショウです。
今、俺はギルドからの極秘依頼の遂行中である。
依頼の内容は『死人の種を運搬していると思われる隊商の取り調べ』だ。
とある街道通行予定の隊商にご禁制の「死人の種」の運搬の疑いがかかっていた。その隊商に俺達が停止を促し、詰み荷の確認をして白ならばそれで終わり。黒ならば手段を問わず隊商を無力化し、詰み荷を確保してギルドに通報すること・・・である。
つまり隊商が黒ならば極秘依頼を受けた冒険者のみでその場を制圧しなければならないのだ。
そして隊商はーーー俺達冒険者の制止を無視。無論検査にも応じない。それどころか執拗に制止する俺達に向かって斬りかかってきたのである。
で、結局力づくで制圧することになった。
冒険者側は俺とザイル達・・・そして一緒に極秘依頼を受けることになる他パーティー一つで、合わせて合計10人。
一方で隊商は30人以上もいた。馬車6台引き連れているので、俺達だけで相手をするにはそれなりの規模だなぁとは思っていた。
彼らの雇ったと思われる傭兵が10人ほどいて、かつ行商人も全員がそうではないが、ほとんどが戦闘経験のある者のようで、武器を構えて躊躇うことなく襲い掛かってくる。
多勢に無勢もいいとこだが、シンプルに向こうから斬りかかってくれたことだけは都合がいい。
ギルド職員も自警団もいない俺達だけの状態で難しい判断を迫られるのが最も面倒なのだが、相手から攻撃してくる分にはギルドの名の元に成敗しても良いことになっている。
つまり隊商の連中がギルドの看板を背負った俺達に襲い掛かってきた以上、極端に言えば彼らの実際の詰み荷が何であろうとどんな密命を帯びていようと身分がどうだろうと、例え皆殺しにしてしまっても俺達は全く罰せられることはないのである。
「向こうが高位貴族の名を出して検査を拒否してきたら、俺達はどうすればいいかわからないっすよねぇ」
なんて仕事前には気弱な発言をしていたザイルが、今では心なしか嬉々として得物を振り回しているように見える。難しい選択肢を突きつけられるようなことにならなくて本当に良かったと考えているようだ。俺も同じだ。難しい政治的な問題をちらつかされるより、多勢に無勢でも単純に戦闘で決着をつけるだけのほうが楽でいい。
「も、もうやってられっか!」
俺達が隊商の半分ほどを仕留めた頃、ちらほら残っていた傭兵達が一目散に逃げだした。
これにより大勢は決した。
残る戦闘員の士気は下がり、一気に総崩れとなる。
それからややもしないうちに、俺達は隊商を制圧した。
数十人に及ぶ死体が転がる凄惨な現場だが、冒険者サイドに死人は出なかったので快勝である。
「おぅ、あったぜ」
早速隊商が引き連れていた馬車の荷物を調べていた冒険者のヒューイが言った。
俺は口元に布をかぶせ、そっと一緒に詰み荷を覗き込んだ。
そこには箱にぎっしりと死人の種が入っている袋が詰められていた。
「最近多いな」
思わず俺は呟いた。
少し前までこの死人の種に関連した極秘依頼はそれほど無かったのに、今では週に何度も呼び出されることがある。連日続くこともあるし、泊まりになることもある。最近では買ったはいいものの読めていない本が何冊もあるくらいには忙しかった。
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