146 / 470
たどり着く噂の真相
しおりを挟む
そこそこに名が知れていて、それ相応の地位に就くはずだったが、謀略によってそれを無しにされた者・・・
そこまでのヒントが出ると、記者はソーアの言う人物が誰なのかがピンと来た。今と同じようにかつてエーペレスの頼みによって、自分が記事として取り上げたことのある人物・・・ショウ・ルーデルのことではないかと記者は考えた。
ショウのことについては今でも様々な陰謀論がついて回っているが、彼について記事を書くことは国によって規制されている。彼はある日を境として表舞台から姿を消した。その原因については高度に政治的な問題に絡むものとして、箝口令が発されている案件であり、王城の者や貴族の誰に問うてもわからない。
だが不思議なことに噂だけは流れていて、ショウは当時婚約していたキアラ・ルーベルト嬢に乱暴をしようとし、抵抗された物音を聞いて助けに入ったラルス王太子を逆上して負傷させたというもの。
その罰則として国外追放になったという。
記者はこの噂は王室からあえて流布されたものだと考えていたし、他の多くの人間もそれに気づいていた。
ラルス王太子は確かに学園での剣術の授業の成績は上位であると知ってはいるが、それでも実践を何度も何度も経験してきた黒の騎士団で前線を張っていたショウにかかれば瞬殺だろうと皆思っていた。手の怪我程度で済むはずがない。
真相は闇の中だが、少なくとも王室から流されたとされる噂は少々無理筋があるなという印象だった。それが真相であると意図的と思えるほどに貴族を中心に流されている噂だが、恐らく誰もが本気でそれを信じているわけではない。
一方、その噂とは別にもう一つの噂がどこからか流れていた。
それはショウはキアラ嬢を含む王室側に嵌められ、冤罪によって婚約破棄、そして国外追放をされたというもの。
この噂の出どころは知れていない。だが、ポツリポツリと、市井の中心にこの噂が流れていた。
こっちの説は前者のものより信ぴょう性があるために、こちらが真相であると考える者が少なくない。
この二つの説のどちらかが真実なのか、あるいはどちらでもない全く別のものが真相なのか、それはまだ誰にもわからない。
だが、これからのソーアの発言で、それらが少しでも明るみになるのではないか・・・
そう思い記者は緊張して手が汗ばんでいた。
「ソーアさん、まさかその人物は・・・ショウ・ルーデルでは?」
正面からそう切り出す記者。
「そぅ・・・いや、ノーコメントだ」
一瞬肯定しようとして、ソーアはすぐにそれを否定する。
「・・・そうですか」
半ば確信があったとはいえ、記者はソーアの反応を見て当たりであることを確信し、血がざわめいた。
これは凄い記事になるぞと。
そこまでのヒントが出ると、記者はソーアの言う人物が誰なのかがピンと来た。今と同じようにかつてエーペレスの頼みによって、自分が記事として取り上げたことのある人物・・・ショウ・ルーデルのことではないかと記者は考えた。
ショウのことについては今でも様々な陰謀論がついて回っているが、彼について記事を書くことは国によって規制されている。彼はある日を境として表舞台から姿を消した。その原因については高度に政治的な問題に絡むものとして、箝口令が発されている案件であり、王城の者や貴族の誰に問うてもわからない。
だが不思議なことに噂だけは流れていて、ショウは当時婚約していたキアラ・ルーベルト嬢に乱暴をしようとし、抵抗された物音を聞いて助けに入ったラルス王太子を逆上して負傷させたというもの。
その罰則として国外追放になったという。
記者はこの噂は王室からあえて流布されたものだと考えていたし、他の多くの人間もそれに気づいていた。
ラルス王太子は確かに学園での剣術の授業の成績は上位であると知ってはいるが、それでも実践を何度も何度も経験してきた黒の騎士団で前線を張っていたショウにかかれば瞬殺だろうと皆思っていた。手の怪我程度で済むはずがない。
真相は闇の中だが、少なくとも王室から流されたとされる噂は少々無理筋があるなという印象だった。それが真相であると意図的と思えるほどに貴族を中心に流されている噂だが、恐らく誰もが本気でそれを信じているわけではない。
一方、その噂とは別にもう一つの噂がどこからか流れていた。
それはショウはキアラ嬢を含む王室側に嵌められ、冤罪によって婚約破棄、そして国外追放をされたというもの。
この噂の出どころは知れていない。だが、ポツリポツリと、市井の中心にこの噂が流れていた。
こっちの説は前者のものより信ぴょう性があるために、こちらが真相であると考える者が少なくない。
この二つの説のどちらかが真実なのか、あるいはどちらでもない全く別のものが真相なのか、それはまだ誰にもわからない。
だが、これからのソーアの発言で、それらが少しでも明るみになるのではないか・・・
そう思い記者は緊張して手が汗ばんでいた。
「ソーアさん、まさかその人物は・・・ショウ・ルーデルでは?」
正面からそう切り出す記者。
「そぅ・・・いや、ノーコメントだ」
一瞬肯定しようとして、ソーアはすぐにそれを否定する。
「・・・そうですか」
半ば確信があったとはいえ、記者はソーアの反応を見て当たりであることを確信し、血がざわめいた。
これは凄い記事になるぞと。
10
お気に入りに追加
652
あなたにおすすめの小説
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
パーティーを追放された装備製作者、実は世界最強 〜ソロになったので、自分で作った最強装備で無双する〜
Tamaki Yoshigae
ファンタジー
ロイルはSランク冒険者パーティーの一員で、付与術師としてメンバーの武器の調整を担当していた。
だがある日、彼は「お前の付与などなくても俺たちは最強だ」と言われ、パーティーをクビになる。
仕方なく彼は、辺境で人生を再スタートすることにした。
素人が扱っても規格外の威力が出る武器を作れる彼は、今まで戦闘経験ゼロながらも瞬く間に成り上がる。
一方、自分たちの実力を過信するあまりチートな付与術師を失ったパーティーは、かつての猛威を振るえなくなっていた。
平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。
応援していただけたら執筆の励みになります。
《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました
ぽいづん
ファンタジー
ウェブ・ステイは剣士としてパーティに加入しそこそこ活躍する日々を過ごしていた。
そんなある日、パーティリーダーからいい話と悪い話があると言われ、いい話は新メンバー、剣士ワット・ファフナーの加入。悪い話は……ウェブ・ステイの追放だった……
失意のウェブは気がつくと街外れをフラフラと歩き、石に躓いて転んだ。その拍子にポケットの中の銅貨1枚がコロコロと転がり、小さな穴に落ちていった。
その時、彼の目の前に銅貨3枚でガチャが引けます。という文字が現れたのだった。
※小説家になろうにも投稿しています。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
理不尽にパーティ追放されたので、『レンタル冒険者』始めたら、依頼が殺到しすぎて困る。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極めるお話です。
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
勇者召喚に巻き込まれたモブキャラの俺。女神の手違いで勇者が貰うはずのチートスキルを貰っていた。気づいたらモブの俺が世界を救っちゃってました。
つくも
ファンタジー
主人公——臼井影人(うすいかげと)は勉強も運動もできない、影の薄いどこにでもいる普通の高校生である。
そんな彼は、裏庭の掃除をしていた時に、影人とは対照的で、勉強もスポーツもできる上に生徒会長もしている——日向勇人(ひなたはやと)の勇者召喚に巻き込まれてしまった。
勇人は異世界に旅立つより前に、女神からチートスキルを付与される。そして、異世界に召喚されるのであった。
始まりの国。エスティーゼ王国で目覚める二人。当然のように、勇者ではなくモブキャラでしかない影人は用無しという事で、王国を追い出された。
だが、ステータスを開いた時に影人は気づいてしまう。影人が勇者が貰うはずだったチートスキルを全て貰い受けている事に。
これは勇者が貰うはずだったチートスキルを手違いで貰い受けたモブキャラが、世界を救う英雄譚である。
※他サイトでも公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる