国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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マルセイユの超人気者

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「おぉっ!英雄のお帰りだ!」


「いつもありがとう!」


「いつ見ても美しい・・・この町の守りの女神だわ!」


ドフォーレの商船を沈めたソーアが戦女神の詰め所のある港に帰港すると、住民達が熱い声援を上げた。
ここ数か月の日常風景であるが、ソーアは笑顔で手を振ってそれに応える。毎日毎日、ソーアは全力で声援に応えた。
以前から戦女神として独自に哨戒活動を行い、治安維持に努めてきたソーアに対する住民の支持は非常に高いものだったが、この数か月メディアへの露出が増えたことが要因となり、ソーアの人気は爆発的に上昇していた。
かつてのショウのように「救世主」と呼ばれ、支持率の上昇は天井を知らない。

ソーアを一目見ようと遠方からやってくる人もいるくらいで、今やソーアは一般人からすると完全にマルセイユ騎士団の顔と言える存在であった。
まぁ、当のマルセイユ騎士団の上層部はソーアのことは目の上のたんこぶだと思っているのだが。


「隊長。辺境伯様がお呼びでいるそうです」


来たかーー。


詰め所に戻ると、伝令を受け取った隊員がソーアに報告した。


「そろそろ来るだろうとは思っていた。ただちに向かう」


「はい」


「それと、しっかりな」


「はいっ!」


隊員に何かの支持を出し、軽く身づくろいをしてからソーアはすぐに実家であるマルセイユ邸へと向かう。
家まではそこまで遠くはないし趣味ではないので、移動に馬車など使わない、徒歩でいく。
セキリュティー面からも馬車を使えとたびたび言われていたが、流石に諦められたのか最近は何も言ってこなくなった。

しかし、そうして無防備(に見える)な姿を晒して道を歩けば、時に変な輩に遭遇することもある。


「・・・ん?」


ソーアの歩く進路上に、複数の男が立ち塞がるように立っていた。
どれも人相の悪いゴロツキのような外見である。


「ソーア・マルセイユだな」


男たちはぞろぞろと広がりながら近づいて、やがてソーアを包囲した。


「いかにも私がソーアだ。それで、これは一体どうしたことだ?」


ソーアの態度は落ち着き払っており、微塵も焦りや恐怖の色は見えなかった。
そんなソーアの態度に腹が立つのか、リーダー格と思わしき男が怒りで顔を歪める。


「どうしたことだだと?自分の胸に聞いてみろよ!俺達はドフォーレ商会の従業員だったが、お前が船を沈めて大損害を与えたせいで、さっき俺達全員退職金も無しにクビになったんだよ!!」


なるほど、ドフォーレ商会の元従業員か。
船を沈めたのは確かだが、それにしても早くも従業員を解雇とは判断が早いなとソーアは思った。
ドフォーレ商会の密輸を数回に渡り妨害した中で、そこそこの損失を出していたのだろう。
そして彼らが自ら言っていたのように損失補填のつもりで積み荷を増やした今回の航行では、損失補填どころか船ごと積み荷が消え去ることになった。
・・・確かに、よっぽど余裕を持った大企業でなければ、一瞬で潰れてしまってもおかしくはないか。


「ドフォーレ商会は悪事を働いていた。遅かれ早かれこうなる運命だったのだ」

「うるせぇ!」


ソーアの正論に激昂したリーダー格の男が叫ぶと、周囲を取り囲んだ男たちが一斉に武器を構えた。

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