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戦いの華
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「えっ?なんですって?」
騒然とした酒場の一角。
目の前で酒に口をつけていたザイルが、素っ頓狂な声を上げて聞き返す。
「いや、だから・・・俺って、その、そんなに煩いのかなって、それを聞きてぇのさ」
「は?」
同じテーブルについているクリフもドロシーもキョトンとしている。
ちょっと質問の意味を理解してもらえなかったか?
「いや、聞くところによると、俺の剣術が煩いだとかそういう話がだな・・・」
「あ~、ああ・・・」
補足説明をすると、ザイルはすぐにピンと来たようだった。
そして少しだけ気まずそうに
「最初にアニキと戦いに出たときは、確かに驚かされましたね」
思い出すようにそう言った。
やはりそうなのか・・・
「以前大金槌を振り回すタイプの戦士に雄叫びを上げるタイプがいましたけどね、ショウさんほどの声量ではなかったですね。まぁ、一撃の重さもショウさんのが凄かったけど」
クリフも続く。
「最初はあまりのことに驚いて気絶しそうになったことが・・・あります」
言いづらそうに目を伏せながらドロシーもそう言った。
心配していたが、彼女は以前と同じように俺に接してくれていた。
「そうか・・・やっぱ煩いのか俺の剣術は・・・そっか」
ローザから聞いたときに大きなショックだったが、間を置いた今でもやはり同じくショックだった。
「いや、でもあれで相手を威圧出来てると思うんで、あれでいいんじゃないですかい?」
ザイルが慌てた様子で俺をフォローしてくれている。
「そうだな。ショウさんに威圧されて相手も動けないまでいかなくても、僅かに反応が鈍る。そこへ鋭く重い剣撃がやってくる。咄嗟に受けるしかなくなるだろうが、受けると・・・死ぬ」
クリフがまたもザイルに続いた。
「アニキの剣撃の重さやばすぎですよ。受けても得物ごと斬られて死ぬ、得物が耐えても押し出された得物がめり込んで死ぬ、もう受けちゃ駄目なレベルじゃないですか」
「多分、気合入れないとあれだけの剣撃は出せないと思うんだよ・・・」
「じゃあ、今のままでいいじゃないですか」
少し・・・ほんの少しばかり煩いという評判を気にしていた俺も、ザイル達のフォローによって少し立ち直りつつあった。
「そっか・・・まぁ無理に変わらなくてもいいか」
「そうですよ。それで不都合があるわけじゃないんだから」
隠密行動による戦闘を行う際に叫んだら流石に駄目だが、そういうときくらいはきちんと黙っているくらいの分別は俺にもつく。
「アニキもそういうの気にしたりするんすね・・・ちょっと意外でした」
「い、いや・・・気にしていたというほどのことでは・・・」
ちょっとだ、ちょっとだけ気にしていただけだ。
「アニキは傭兵団にいたんでしたっけ。叫ぶ喚くが当たり前の戦場にばかり出ていたのなら、そうなるのも別に仕方ないでしょ」
まぁルーデル騎士団にいたときも叫ぶ喚くの戦場ばかりだったな。ひっそりと戦って終わるなんてことは一度も無かった。
「・・・むしろ、あの戦いぶりがカッコいいって、一部の女性の間で評判です」
ドロシーがぽつりと言った。
え、そうなのか。
「戦い方がカッコいいって華があるのはいいっすよね。アニキは顔もイケてるし。はぁ~いいよなぁ」
「あ、戦いがイケてるといえば・・・ショウさん、これ知ってます?」
クリフがスッと俺に差し出してきたのは新聞だった。
ややゴシップだの流行りものだの、そちらにふってある新聞社の新聞で、俺が普段読んでいるものとは違っていた。
「今、戦場の華で熱いというとこの人なんすよ」
クリフがそう言って三面記事の一つに指をさした。
そこには豪勢に写真が使われていたのだが、それがなんと・・・
「ソーア・・・!?」
祖国に置いてきた女の写真がそこにあった。
騒然とした酒場の一角。
目の前で酒に口をつけていたザイルが、素っ頓狂な声を上げて聞き返す。
「いや、だから・・・俺って、その、そんなに煩いのかなって、それを聞きてぇのさ」
「は?」
同じテーブルについているクリフもドロシーもキョトンとしている。
ちょっと質問の意味を理解してもらえなかったか?
「いや、聞くところによると、俺の剣術が煩いだとかそういう話がだな・・・」
「あ~、ああ・・・」
補足説明をすると、ザイルはすぐにピンと来たようだった。
そして少しだけ気まずそうに
「最初にアニキと戦いに出たときは、確かに驚かされましたね」
思い出すようにそう言った。
やはりそうなのか・・・
「以前大金槌を振り回すタイプの戦士に雄叫びを上げるタイプがいましたけどね、ショウさんほどの声量ではなかったですね。まぁ、一撃の重さもショウさんのが凄かったけど」
クリフも続く。
「最初はあまりのことに驚いて気絶しそうになったことが・・・あります」
言いづらそうに目を伏せながらドロシーもそう言った。
心配していたが、彼女は以前と同じように俺に接してくれていた。
「そうか・・・やっぱ煩いのか俺の剣術は・・・そっか」
ローザから聞いたときに大きなショックだったが、間を置いた今でもやはり同じくショックだった。
「いや、でもあれで相手を威圧出来てると思うんで、あれでいいんじゃないですかい?」
ザイルが慌てた様子で俺をフォローしてくれている。
「そうだな。ショウさんに威圧されて相手も動けないまでいかなくても、僅かに反応が鈍る。そこへ鋭く重い剣撃がやってくる。咄嗟に受けるしかなくなるだろうが、受けると・・・死ぬ」
クリフがまたもザイルに続いた。
「アニキの剣撃の重さやばすぎですよ。受けても得物ごと斬られて死ぬ、得物が耐えても押し出された得物がめり込んで死ぬ、もう受けちゃ駄目なレベルじゃないですか」
「多分、気合入れないとあれだけの剣撃は出せないと思うんだよ・・・」
「じゃあ、今のままでいいじゃないですか」
少し・・・ほんの少しばかり煩いという評判を気にしていた俺も、ザイル達のフォローによって少し立ち直りつつあった。
「そっか・・・まぁ無理に変わらなくてもいいか」
「そうですよ。それで不都合があるわけじゃないんだから」
隠密行動による戦闘を行う際に叫んだら流石に駄目だが、そういうときくらいはきちんと黙っているくらいの分別は俺にもつく。
「アニキもそういうの気にしたりするんすね・・・ちょっと意外でした」
「い、いや・・・気にしていたというほどのことでは・・・」
ちょっとだ、ちょっとだけ気にしていただけだ。
「アニキは傭兵団にいたんでしたっけ。叫ぶ喚くが当たり前の戦場にばかり出ていたのなら、そうなるのも別に仕方ないでしょ」
まぁルーデル騎士団にいたときも叫ぶ喚くの戦場ばかりだったな。ひっそりと戦って終わるなんてことは一度も無かった。
「・・・むしろ、あの戦いぶりがカッコいいって、一部の女性の間で評判です」
ドロシーがぽつりと言った。
え、そうなのか。
「戦い方がカッコいいって華があるのはいいっすよね。アニキは顔もイケてるし。はぁ~いいよなぁ」
「あ、戦いがイケてるといえば・・・ショウさん、これ知ってます?」
クリフがスッと俺に差し出してきたのは新聞だった。
ややゴシップだの流行りものだの、そちらにふってある新聞社の新聞で、俺が普段読んでいるものとは違っていた。
「今、戦場の華で熱いというとこの人なんすよ」
クリフがそう言って三面記事の一つに指をさした。
そこには豪勢に写真が使われていたのだが、それがなんと・・・
「ソーア・・・!?」
祖国に置いてきた女の写真がそこにあった。
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