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ご忠告

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「これからはショウのことをと知っておいたほうがいいと思って、ちょっとだけ調べてみたけど、貴方中々に有名なのね。すぐに情報が集まったわ」


「有名・・・?」


俺はローザの言葉に首を傾げる。
別に自分は目立つようなことは何もやっちゃいないはずだ。問題を起こしたことはないし、逆に派手に活躍してみせたことも。ギルドの中ではまだ中堅ですらないはずなのだ。


「曰く『ちょっとヤバい期待の新人』とか『煩いけど強力な剣術を使う』とか『極めて身軽で素早く、かつ豪快な剣を振るうも煩い』とかとか、結構知れ渡っているわよ。随分とキャラが濃いのね」


俺の戦いぶりはザイル達しか見ていないわけではない。依頼によっては別パーティーと行動を共にすることもある。彼らが俺のことを見て記憶していたのだろう。

しかし、そうか俺の剣術は煩いのか・・・そうか・・・今度から静かにしていようか?・・・けどなぁ、気合を入れないと何か力が出ないというか・・・


「その持っている得物も少しだけ珍しいからねぇ、とにかく目立っているみたいよ」


ローザがドウダヌキを指さす。
確かに俺のような黒髪で黒眼の人間はオールヨークにもそこそこいる。だが、同じ得物を持っている冒険者は見たことがなかった。


「けど、まさか死人の種の調査員をしているとまでは思わなかったわ」


「・・・」


ギルドとしても一応極秘案件だったはずの死人の種についての情報が知られていることに驚きを隠せない。
まぁ、諜報が得意なら調べることもできるのかもしれないが。


「さぁどうだったかな」


ここまで知られていて誤魔化しても意味はないが、俺は誓約書にサインをしてしまっている。守秘義務を怠れば魔術が発動し、俺が口を割ったことがばれてしまうわけだ。


「あぁ、そうね、守秘義務があるのよね。それならこれからは私の独り言よ」


俺の対応で察した様子のローザはそう言って、フッと表情を真剣なものに引き締めた。


「あまりアレに深入りしないで。できることなら調査員もやめてほしいくらいよ。大きな面倒ごとに巻き込まれることになるわ」


「え・・・?」


確かに面倒ごとだが、どうしてそこまで言われるのだろうか。
ここで俺が聞くのはどうなるんだ?誓約を破ることになるのか?


「多分あなたが思っているよりもずっと大きな、大きな力が関わっているものなの。だから、変に深入りはしないで。お願いよ」


そう言ってローザは去っていった。
もしかしたら、ローザにも何かしらの誓約魔法がかかっているのだろうか。
そして、人に絶対に聞かれないためにわざわざこの場を選んで俺に話したのではないか。

元より言われるまでもなく死人の種には深入りするつもりはない。面倒ごとは御免だからだ。
しかしローザの言葉からするに、面倒の一言では済まない何かがあるようだ。

「・・・なんだかアミルカ達と会ってから疲れたり考えたりすることばかりな気がする・・・」
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