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ド正論

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「え・・・誰・・・?」


扉の向こうから聞こえてきた不気味な声に、アミルカは怯えて俺の肩を掴んだ。
だが、俺は扉の向こうにいる人間について心当たりがあった。ていうか、何となくこういうことになるんじゃないかとちょっとだけ心配したんだよな。俺ってほんと馬鹿。


「・・・ドロシーか?」


俺は扉の向こうに対してそう訊ねる。


「はい・・・入ってもいいですか?」


ドロシーであると認めた。そして同時に入室の許可を求めてきた。
俺を呼びに部屋の前まで来たことはあったが、入ったことも入りたいと言い出したこともなかったのに。


「いいぜ。鍵は開いてるから」「失礼します」


俺が返答するとほとんど同時にドロシーが扉を開けて入ってきた。
どう返事をしても入ってきたんじゃない?これ。


「あっ・・・やっぱりその人だったんですね・・・!」


ドロシーがアミルカの顔を見て目を見張る。
二人はぼちぼち面識があるはずだが、あまり親しみあっている感じはない。ドロシーはアミルカを何か警戒している感じだが、どちらかといえばアミルカが会った時間の割に俺に対してガードが甘すぎるのか。


「宿屋の女将さんが私に教えてくれたんです。ショウさんが女を連れ込んだよって・・・まさか本当にそうだなんて」


どうやら変な誤解をしているようだ。ていうか女将さん、そういうの明け透けにするのやめてくれない・・・?確かにこの宿屋の女将さんとドロシーはちょっと仲が良かった気がしたけど。


「前々から怪しいと思ったんですよ・・・ショウさんのこと、いつの間にか呼び捨てだし」


「それは俺が付けするなってアミルカに言ったんだよ」


「そういう仲ってことですよね!?」


「別にそうじゃねーよ!だったらドロシーだって俺のこと呼び捨てにすればいいじゃねーか」


「えっ・・・!わ、私がショウさんを呼び捨てに・・・」


詰め寄ってきていたドロシーの流れがここで止まった。
何やらもぞもぞしてごにょごにょ言っている。

やったか!?
俺が心の中でガッツポーズを取ろうとしたときだった。


「って、そんなんじゃ誤魔化されませんよ!」


正気に戻ったドロシーが叫んだ。
うーんこのまま有耶無耶にするのは駄目だったか。


「別にアミルカとは何でもねーよ。読みたい本があるっていうから部屋に上げただけだ」


とりあえず正直に話して誤解を解いておく。
なんで俺がこんな釈明するはめになるんだろう・・・そう考えていると、アミルカが横から口を出した。


「というかドロシーさんはショウの恋人ではないのでしょう?なら、別にショウが誰を部屋に連れ込んだところで問題はないんじゃない」


おぉーアミルカその通り。
その通りなんだが・・・


「あ・・・」


アミルカの正論を聞いてドロシーは固まっていた。
俺もどう言ったものか気が回らなくて固まっていた。
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