国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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地獄のエピローグ

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「アンデッド達の殲滅を確認しました」


騎士団の伝令がタルカスに報告すると、タルカスははぁと溜め息をついた。


「引き続き周囲を警戒しろ。が終わったら帰投するぞ」


「はっ!」


伝令が去ったのを見て、タルカスは再び溜め息をつく。
それはこれからやらねばならぬ大仕事をやりたくないという気持ちの表れだった。

まったくとんでもないことをしてくれた。
だが、これでしっかり学習してくれたことだろう。

タルカスはまたまた溜め息をつくと、リュート隊の元へと向かって行った。
リュート隊の地獄はまだ続くのである。







「騎士団長・・・申し訳なかった。援軍感謝する・・・」


タルカスを見つけると、リュートはすっかりしおらしくなってタルカスに礼を言った。
気まずくて仕方がないのだろう。伏し目がちではあるが、平身低頭謝り尽くすつもりのようだ。
最初からするんじゃねぇ馬鹿と言いたいところだが、今はそれどころではない。他に一刻も早くやらねばならぬことがあるのだ。


「ところで・・・これは一体・・・」


リュートが怪訝そうに周囲を見回す。

リュート隊は今、騎士団の面々に周囲をずらっと囲まれていた。保護している・・・というよりは監視されているとリュートは感じていた。そしてそれは間違いではなかった。


「これよりリュート隊全員の身体検査をします」


「・・・え?」


「あなたもですよ。辺境伯様」


タルカスの言葉に唖然としていると、一人、また一人とリュート達の面々が騎士団に連れていかれた。


「どういうことだ?」


何が何だかわからないリュートが問う。


「死人の種に接触しましたね?これから感染していないかを一人一人調べます。一刻を争いますので、どうかご協力ください」


死人の種?なんだそれはと聞こうとしたが、今度はリュートは騎士団に力づくで連れていかれた。
そこであっという間に服を脱がされ、全身裸にさせられる。


「なっ、なっ・・・」


羞恥と困惑と怒りの交じった感情で顔を歪ませるリュートだが、騎士団の連中の真剣な表情に何も言葉が出ずされるがままになっていた。


「辺境伯様は異常ありません」


そう言って解放されると、騎士達は次の人を検査するために早々にその場を去っていく。
脱がされた服は自分で着ろということらしい。


「ご無事でよかったですな」


そこで初めてタルカスはリュートに対してを喜ぶ態度を表した。


「既に何人か感染者が出ている模様です」


続く言葉を聞いて、リュートは絶句した。感染何を言っているんだ?と思っていたが、これで今ようやく強制的に身体検査されている理由を理解する。



「腕についてるな。深くまで入ってる。だが、これならこの腕の切り落としで済むな」


「・・・えっ?」


「悪いが時間がない。さっさとやらせてもらうぞ」








「口から胞子を吸ってしまっただと?」


「す、少しだが・・・」


「そうか・・・残念だが手遅れだ。ここでお前は死ななければならない。何か故郷の家族とかに言い残すことはないか?」


「え、えっえっ?」


「恐らく一時間もしないうちにお前はアンデッドに変化する。そうなる前に、人間として今死なせてやる・・・それが俺達にできることだ。ハイクを詠め」


「アイエェェェェェ!?」






リュート隊の悲鳴が木霊する。
死人の種が腕についていれば腕を、口から吸っているようなら手遅れなので頭をと、感染部分を切除する処置が行われた。
それは生き残ったリュート隊40名のうちの15名に該当し、結局処置の末に生き延びたリュート隊は30名。そのうち5名は四肢のいずれかの切断により騎士として生きていくことは不可能となった。


「あの胞子・・・死人の種を受けるとですね、アンデッドになってしまうので、こういう処置が必要なんです。こうならないよう、細心の注意と準備をして事に当たることにしてるんですがね」


タルカスの言葉はリュートの耳にろくに入ってはいなかった。
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