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なんてこった
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「リュート隊が森へ突っ込んだだと!?何を考えてるんだ!直ちに呼び戻せ!!」
タルカスは激昂した。寝耳に水どころの話しではなかった。
戦い慣れた自分達が慎重に再突入の準備をしているというのに、まさか勝手に突っ込んでいくとは。
「制止も聞かず『魔物の増援などに恐れをなしている君らとは違うところを見せてやる』などと言って突入したそうです。2班からの報告では今のところオークの群れに遭遇して戦闘状態に入っているとのことです」
伝令の話を聞いてタルカスは溜め息をついた。
こんなことなら留守番なんてさせずに初陣にさっさと出してやれば良かった。功を焦ってまさか暴走するとは思わなかった。考えてみれば、リュート辺境伯のみならず、リュート隊の面々も功績を欲しているような立場の悪い者揃いだ。こうなることも予想するべきであった。
フォローで面倒な思いはしただろうが、それでも今の状況よりは遥かにマシだ。
「とりあえずアンデッドリーダーとは遭遇していないのだな?伝令、私がただちに戻って来いと言っていると伝えろ。同時に再突入の準備の出来た兵を集める。いざとなったら手荒にしてでも連れ戻すぞ」
伝令に言われてもぐずるようなら、タルカスは自らリュートを迎えにいくつもりだった。
首根っこを捕まえてでも無理矢理帰還させる。アンデッドリーダーに遭遇したら大変なことになる。
「報告します!4班より報告、アンデッドリーダーに動きあり。リュート隊を察知したのか、リュート隊の方へと向かいだしたようです!」
「ぬぅぅぅぅ、なんてこったぁ!!」
タルカスは「最悪リュートはもう駄目かもしれんね」と思い始めていた。
-----
「オークの群れ、完全に駆逐しました!」
リュートはリュート隊の伝令の報告を聞いて、満足げに頷いた。
「流石だ。やるではないか」
流石王都から派遣された騎士。
脛に傷を持つもので構成されているが、それでもきちんと実力も備わっている。
ルーデル騎士団は増援の出現に急に慎重になり、再突入の準備をしていたが、その隙をついて無理に森に突入して良かった。
その甲斐あって騎士団が戦わずして打ち漏らした敵を、今こうして蹴散らすことができた。
これで少しはリュート隊の・・・ひいては最高司令官である辺境伯の自分を認めてくれるだろう。
そんなことを考え、リュートはにまにまと笑っていた。
最初こそ戦闘を目の前にしてビビっていたが、リュート隊が想像以上に優秀であったのでリュートの安全は守られていた。そして戦いが終わる頃にはこの戦場の雰囲気にも慣れることができていた。
(慣れればどうということもないではないか)
定期討伐に参加しろと告げられた時、自分は恐怖のあまりに塞ぎ込んでしまったが、今となっては馬鹿馬鹿しい話だ。実際に出てみると大したことないではないか。
リュートは自分ではゴブリンの一匹も倒してないくせに、これでもかというほど増長していた。
だが、今そこに脅威が迫ろうとしていた。
「なんだあれは・・・?胞子・・・?」
風にのって、あまり彼らには馴染みのない胞子のようなものが無数にリュート隊目掛けて飛んできた。
この場にいる誰一人としてそれの正体は知らず、これによってリュート隊を大きな恐怖が襲うことになろうとしていた。
この胞子のようなものこそが、ルーデル騎士団ですら万全で臨もうと一時撤退までしてみせた脅威・・・死人の種である。
タルカスは激昂した。寝耳に水どころの話しではなかった。
戦い慣れた自分達が慎重に再突入の準備をしているというのに、まさか勝手に突っ込んでいくとは。
「制止も聞かず『魔物の増援などに恐れをなしている君らとは違うところを見せてやる』などと言って突入したそうです。2班からの報告では今のところオークの群れに遭遇して戦闘状態に入っているとのことです」
伝令の話を聞いてタルカスは溜め息をついた。
こんなことなら留守番なんてさせずに初陣にさっさと出してやれば良かった。功を焦ってまさか暴走するとは思わなかった。考えてみれば、リュート辺境伯のみならず、リュート隊の面々も功績を欲しているような立場の悪い者揃いだ。こうなることも予想するべきであった。
フォローで面倒な思いはしただろうが、それでも今の状況よりは遥かにマシだ。
「とりあえずアンデッドリーダーとは遭遇していないのだな?伝令、私がただちに戻って来いと言っていると伝えろ。同時に再突入の準備の出来た兵を集める。いざとなったら手荒にしてでも連れ戻すぞ」
伝令に言われてもぐずるようなら、タルカスは自らリュートを迎えにいくつもりだった。
首根っこを捕まえてでも無理矢理帰還させる。アンデッドリーダーに遭遇したら大変なことになる。
「報告します!4班より報告、アンデッドリーダーに動きあり。リュート隊を察知したのか、リュート隊の方へと向かいだしたようです!」
「ぬぅぅぅぅ、なんてこったぁ!!」
タルカスは「最悪リュートはもう駄目かもしれんね」と思い始めていた。
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「オークの群れ、完全に駆逐しました!」
リュートはリュート隊の伝令の報告を聞いて、満足げに頷いた。
「流石だ。やるではないか」
流石王都から派遣された騎士。
脛に傷を持つもので構成されているが、それでもきちんと実力も備わっている。
ルーデル騎士団は増援の出現に急に慎重になり、再突入の準備をしていたが、その隙をついて無理に森に突入して良かった。
その甲斐あって騎士団が戦わずして打ち漏らした敵を、今こうして蹴散らすことができた。
これで少しはリュート隊の・・・ひいては最高司令官である辺境伯の自分を認めてくれるだろう。
そんなことを考え、リュートはにまにまと笑っていた。
最初こそ戦闘を目の前にしてビビっていたが、リュート隊が想像以上に優秀であったのでリュートの安全は守られていた。そして戦いが終わる頃にはこの戦場の雰囲気にも慣れることができていた。
(慣れればどうということもないではないか)
定期討伐に参加しろと告げられた時、自分は恐怖のあまりに塞ぎ込んでしまったが、今となっては馬鹿馬鹿しい話だ。実際に出てみると大したことないではないか。
リュートは自分ではゴブリンの一匹も倒してないくせに、これでもかというほど増長していた。
だが、今そこに脅威が迫ろうとしていた。
「なんだあれは・・・?胞子・・・?」
風にのって、あまり彼らには馴染みのない胞子のようなものが無数にリュート隊目掛けて飛んできた。
この場にいる誰一人としてそれの正体は知らず、これによってリュート隊を大きな恐怖が襲うことになろうとしていた。
この胞子のようなものこそが、ルーデル騎士団ですら万全で臨もうと一時撤退までしてみせた脅威・・・死人の種である。
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