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憂鬱からソワソワ
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「はぁ・・・」
ようやく解放された俺達は並んで帰路についていた。
げんなりしている俺を余所に、ザイル達はほくほく顔である。今回のゴブリン退治プラスで得られる予定の臨時ボーナスの額がそこそこの額だったからだ。これからギルドに行って受け取ることになるが、今夜は良い物食うかなどと金の使い道について楽しそうに語らっている。
「どうしました?アニキは嬉しくないんですかい」
ザイルが沈んでいる俺に不思議そうに聞いてくる。
「面倒ごとが増えるだけじゃねぇか。全然俺は嬉しくねーぞ」
実際にどれだけの極秘依頼が来るのかはわからないが、俺は日銭を稼ぐ程度で良かったのだ。
色目を付けるからと自由が削られるのは俺の求めていることではない。
だが、それは元貴族で今とは比較にならないほどの贅沢を味わっていた俺だからこそ考えることなのかもしれない。ザイル達のみならず誰だって今より良いものが食える、いいところに住める、そういう欲があって当然だろう。
「へへっ、俺、久しぶりに色街にいっちゃおうかな」
クリフがドロシーに聞こえないように小声で言ったのが聞こえた。
まぁ、今回のボーナスは均等に分けても娼館に何度か通う事のできる金額は手元に残るだろう。
ちなみになんで娼館の花代の相場なんて知ってるのかと言うと、色街での依頼を受けたことがあるからである。
「ほどほどにしとけよ」
これから多少実入りが良くなるかもしれないからといって、そっちに入れ込み過ぎては元も子もない。
それで首の回らなくなったやつは騎士団にも少なからずいた。
「ショウさんは良いですよねぇ・・・モテるから」
「はぁ?なんだ突然・・・」
「お相手に困らない人にはあっちの店に入れ込む男のことはわからないんすよ」
「別にモテてねぇよ」
俺が否定すると、クリフは信じられないといったように驚愕の表情を見せた。
「は?いや、まさかわかってて言ってんすよね?」
「・・・何が?」
クリフが何を言いたいのか本当にわからない俺は聞くか、それを聞いてクリフははぁ~と大袈裟に溜め息をついてみせた。
え、俺何か変なこと言った?
「ちょっとショウさんいいですか?」
クリフがザイルとドロシーから離れるように歩き、ちょいちょいと俺を手招きした。
怪訝に思いながらもそれについていくと、クリフは俺の肩に腕を回し、先ほどよりも周りに聞こえないような小声で俺に話す。
「あんまり俺が言うのもアレですけどね、このままじゃあまりに何なんで」
「だから何なんだよ・・・」
「ドロシー、ショウさんに気があるんですよ。わかってます?」
「えっ?」
思わず素で驚いてしまった。
ザイルとドロシーが怪訝な顔をしてこちらを見ている。
それを何でもないよとクリフが手を振って対応した。
「やはりわかってませんでしたか・・・」
「い、いや、そんな素振りなんてあったか・・・?」
「はぁ・・・言うまいか迷ったけど、言って良かったかもな」
クリフは溜め息交じりで絞り出すように言った。なんだろう、もしかして呆れられた?
「元々他の女に舐められないようにって、無理して背伸びしてまで前は露出多めの派手な服着てたんですよ。何か違うんじゃない?ちょっとそこまでしなくてもって俺やザイルが言っても聞きませんでした。俺達も眼福だから最終的には黙ってましたけど。でも、ショウさんが変えろって言ったらすぐに服を変えたんですよ」
「それは・・・」
ザイルが俺をリスペクトしようとしているみたいな、アレじゃないのかぁ?なんて・・・
と口をもにょもにょさせた。何だか知らないが気恥ずかしくなってうまく話せない。
「そもそも俺達は幼馴染だから普通ですが、ドロシーは元々男が苦手なんです。そんなドロシーが何かにつれて一生懸命ショウさんに話しかけようとする・・・もう一発でこれは気があるなとわかりますよ」
「そ・・・そうなのか」
その幼馴染を正当防衛とはいえボコボコにした男を、男が苦手なドロシーが惚れたというのか?よくわからん。
それにしても一か月前はソーア。そして今回はもしかしたらドロシー。
唐突なモテ期の到来の可能性に、俺はなんだかソワソワしていた。
ようやく解放された俺達は並んで帰路についていた。
げんなりしている俺を余所に、ザイル達はほくほく顔である。今回のゴブリン退治プラスで得られる予定の臨時ボーナスの額がそこそこの額だったからだ。これからギルドに行って受け取ることになるが、今夜は良い物食うかなどと金の使い道について楽しそうに語らっている。
「どうしました?アニキは嬉しくないんですかい」
ザイルが沈んでいる俺に不思議そうに聞いてくる。
「面倒ごとが増えるだけじゃねぇか。全然俺は嬉しくねーぞ」
実際にどれだけの極秘依頼が来るのかはわからないが、俺は日銭を稼ぐ程度で良かったのだ。
色目を付けるからと自由が削られるのは俺の求めていることではない。
だが、それは元貴族で今とは比較にならないほどの贅沢を味わっていた俺だからこそ考えることなのかもしれない。ザイル達のみならず誰だって今より良いものが食える、いいところに住める、そういう欲があって当然だろう。
「へへっ、俺、久しぶりに色街にいっちゃおうかな」
クリフがドロシーに聞こえないように小声で言ったのが聞こえた。
まぁ、今回のボーナスは均等に分けても娼館に何度か通う事のできる金額は手元に残るだろう。
ちなみになんで娼館の花代の相場なんて知ってるのかと言うと、色街での依頼を受けたことがあるからである。
「ほどほどにしとけよ」
これから多少実入りが良くなるかもしれないからといって、そっちに入れ込み過ぎては元も子もない。
それで首の回らなくなったやつは騎士団にも少なからずいた。
「ショウさんは良いですよねぇ・・・モテるから」
「はぁ?なんだ突然・・・」
「お相手に困らない人にはあっちの店に入れ込む男のことはわからないんすよ」
「別にモテてねぇよ」
俺が否定すると、クリフは信じられないといったように驚愕の表情を見せた。
「は?いや、まさかわかってて言ってんすよね?」
「・・・何が?」
クリフが何を言いたいのか本当にわからない俺は聞くか、それを聞いてクリフははぁ~と大袈裟に溜め息をついてみせた。
え、俺何か変なこと言った?
「ちょっとショウさんいいですか?」
クリフがザイルとドロシーから離れるように歩き、ちょいちょいと俺を手招きした。
怪訝に思いながらもそれについていくと、クリフは俺の肩に腕を回し、先ほどよりも周りに聞こえないような小声で俺に話す。
「あんまり俺が言うのもアレですけどね、このままじゃあまりに何なんで」
「だから何なんだよ・・・」
「ドロシー、ショウさんに気があるんですよ。わかってます?」
「えっ?」
思わず素で驚いてしまった。
ザイルとドロシーが怪訝な顔をしてこちらを見ている。
それを何でもないよとクリフが手を振って対応した。
「やはりわかってませんでしたか・・・」
「い、いや、そんな素振りなんてあったか・・・?」
「はぁ・・・言うまいか迷ったけど、言って良かったかもな」
クリフは溜め息交じりで絞り出すように言った。なんだろう、もしかして呆れられた?
「元々他の女に舐められないようにって、無理して背伸びしてまで前は露出多めの派手な服着てたんですよ。何か違うんじゃない?ちょっとそこまでしなくてもって俺やザイルが言っても聞きませんでした。俺達も眼福だから最終的には黙ってましたけど。でも、ショウさんが変えろって言ったらすぐに服を変えたんですよ」
「それは・・・」
ザイルが俺をリスペクトしようとしているみたいな、アレじゃないのかぁ?なんて・・・
と口をもにょもにょさせた。何だか知らないが気恥ずかしくなってうまく話せない。
「そもそも俺達は幼馴染だから普通ですが、ドロシーは元々男が苦手なんです。そんなドロシーが何かにつれて一生懸命ショウさんに話しかけようとする・・・もう一発でこれは気があるなとわかりますよ」
「そ・・・そうなのか」
その幼馴染を正当防衛とはいえボコボコにした男を、男が苦手なドロシーが惚れたというのか?よくわからん。
それにしても一か月前はソーア。そして今回はもしかしたらドロシー。
唐突なモテ期の到来の可能性に、俺はなんだかソワソワしていた。
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