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もう少しだけ続くんじゃ

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「まずは二日間ご苦労様。不便をかけたね」


隔離から解放された俺達を労いの言葉で迎えたのは、自警団の団長を名乗るゲイルという男だった。


「これでもう帰っていいんですかね?」


勝手に飯が出てくる分、食って寝るだけなら快適な部屋だったが、それにしたって外出できないことのストレスが半端なかった。こうなると事前に分かれば本も用意しておいたのに。
とにかく俺はもう早く自由の身になりたくて仕方が無かった。


「これで終わりじゃないんだ。もう少しだけ続くんだ」


ゲイルの言葉からはその内容に反してだけじゃに雰囲気を感じた。
拒否したいが郷に入れば郷に従え、俺はゲイルに付き合うことにした。ザイルたちもそれに倣う。
そのまま俺達は団長室に通されると、既に先にギルドマスターがそこのいた。
驚く俺達に部屋の主のゲイルがソファに座るように促してきたので、それに従う。
雰囲気的に全然早く帰れそうにない。やっぱりすぐには終わりそうにないじゃないか。


「まずはこちらに署名をしてもらいたい」


ゲイルが人数分の書類を出してくる。内容を見ると、今回俺達が見た死人の種について一切に他言しないという宣誓書であった。しかしただの宣誓書ではない。
書類を持つ手の先から感じる魔力・・・恐らくこれは署名をすると魔力による制約がなされ、内容について強制力が働くというものだ。どのような強制力かはわからないが、これに署名をするまでは帰さないという気迫が伝わってくる。


「これに署名した上で他言するとどうなるんだ?」


別にそのつもりはないが、一応聞いてみる。


「他言したことが魔法で我々に即座に通達される。全ブレリアのギルド、自警団が君を捕らえに来ることになるな。居場所も通知されることになるから、君が例えトイレに隠れていても引きずり出してぶち殺・・・捕まえることになる」


試してみることはオススメしないがな、と最後に付け加えてギルドマスターが教えてくれた。
うーん、どっかで聞いたような脅し文句だ。
しかし、恐ろしい・・・酒とかでうっかり口を滑らせると逮捕されてしまうというわけだ。他言した瞬間に問答無用で爆裂四散させられるようなことじゃないだけちょっとだけマシだが。


「ちなみに署名しないと君はブレリア全土で今後不利益を被り続けることになる」


「はいはい、聞いてみただけですよ」


ブレリアで生きていくつもりなら、これには絶対に署名しないといけないらしい。
俺は書類に署名した。ザイル達も俺に続く。

ギルドマスターもゲイルもそれを見て頷く。


「さて、ここからが本題なのだが」


えっっっ これって本題じゃなかったのか?こりゃますますもって早く帰るのは不可能だなと滅入ってきた。

しかしその後の話を聞くにつれて、このときに感じたそれなど比較にならないほどの心労を味わうことになるのであった。
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