国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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とらえられる

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「な、なるほど・・・それほど恐ろしいものだったんですね・・・」


ギルドに報告に行かせたドロシー達を待っている間、俺はザイルに死人の種について説明していた。
俺とザイルはギルドが来るまで集落で見張りだ。ここを無防備にして万が一にも獣や迷い人が死人の種に触れたら大変なことになるからだ。


「そんなに大変なものなのに・・・俺、全然知りませんでしたよ」


ザイルが己の無知を恥じている。


「いや、こいつが問題になっていたのは俺らが生まれるより前の世代だったらしいからな。普通の冒険者が知らないのは無理もないんじゃねぇかな」


かつて死人の種が原材料として出回っていた頃はアルス教が先陣を切り、時には一国を滅ぼすくらいのことをして殲滅に躍起になったという。
多大な犠牲と時間を費やした結果、どうにか世界の大半から死人の種の駆逐と、それの単純所持の禁止の条約の批准を取り付けることができた。
今でも黒の森なんかでは上位のアンデッドがばらまくし、邪教徒と呼ばれる連中は秘密裏に所持しているというから完全なる殲滅は不可能といえるが、それでも普通なら滅多に見ないほどにはなった。少なくとも俺は黒の森の魔物関連以外では見ていない。


「アニキはどうして知っていたんですか?」


「俺か?俺は、まぁ昔いた傭兵団でアンデッドと戦うこともあってな・・・」


俺はザイルたちには自分の身元を少しだけ偽っていた。元辺境伯というのが何となく憚られ、傭兵団にいたことにしている。


「すげぇ・・・そんな過酷なことがあったんですね・・・」


ザイルが目を輝かせて何やら感激したように言う。


「過酷か・・・アンデッド相手は、まぁ、確かに大変だったな・・・」


一瞬だけ当時の戦いを思い出す。
それは地獄のような光景で、生涯忘れることはないだろうというものだ。
ザイルは何やら目を輝かせているが、いくら冒険者といえどあんな経験などしないほうがいい。


「アニキはそれだけ知識も経験も腕もあって、どうしてフリーの冒険者なんてやってるんですか?」


「なんとなくだよなんとなく。それより、そのアニキってのいい加減やめろって」


「嫌ですよ。俺はアニキをアニキと慕うことに決めたんです」


普段は従順なくせに、これだけは譲らないとしているザイルに溜め息をついた。
確かにザイルは俺より一つ年下らしい(これはかなり驚愕した)が、何だかくすぐったくて嫌だ。


「あ、アニキ、ギルドが来たみたいですぜ」


ザイルの言葉に反応して目をむけると、木々の向こうから何人もの人影がこちらに向かってきているのを確認できた。ようやく来たか。


「ん・・・んん?」


しかし何かおかしなことに気付く。
人数が尋常ではなく多い・・・100近い人数がゾロゾロとやってくる。それも全員が目出し帽を被っている。
あまりに異様な光景で、すっかり俺も茫然としてしまった。


『自警団です。ギルドより依頼があり来ました!死人の種の発見者のショウさんとザイルさんですね?』


リーダーと思わしき男が一歩前に出てそう言った。


「あ、あぁそうだ・・・」


「確保!」


俺が返事をした瞬間、リーダー格が手をサッと上げると、自警団が数人素早く俺らのほうへやってきた。


「は?」


ガシッ


わけもわからぬうちに、俺とザイルは自警団に両腕を掴まれた。


『安全確保のためです。ご同行願います。連れていけ!』


「ファッ!?」



そのまま俺達は詳しい事情を話されないまま、自警団に運ばれるように連行されたのであった。
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