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いつの間にやら慕われる

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鬱蒼とした森林を俺は颯爽と駆けていた。
走りながら俺は隣を走る男に声をかける。


「俺は右をやる。お前は左をやれ!」


「は、はいっ!」


隣の男が返事をしたと同時か否か、俺は男と左右に分かれ、ドウダヌキを上段に構えた。
森林の中でやや開けたところにはひっそりと集落があった。ここは魔物の集落だ。

右・・・俺の進行方法にいるのはゴブリンロードという大柄の人型の魔物だ。左にはゴブリンロードとは比較にならないほど体は小さいが、複数で固まり連携を得意とする人型の魔物ゴブリン。そっちはに任せることにした。

ゴブリンロードは俺の存在に気付き、急ぎ距離を取って呪文の詠唱を行おうとするがもう遅い。


「はああああああ!!」


気合充填。叫びとともに俺はドウダヌキを力一杯振り下ろす。
詠唱こそ間に合わなかったが、ゴブリンロードの反応は早かった。俺の太刀に対し、ギリギリのタイミングで手に持った杖で受ける。


「・・・ガッ・・・!」


だが、俺の太刀は受けたその杖ごとゴブリンロードの頭を切り裂いた。
一瞬にしてゴブリンロードは絶命し、その巨体は地面に投げ出された。


「ギギッ・・・!」


それを見た他の魔物・・・ゴブリン達はそれを見て戦う意志を無くしたのか、一斉に逃走を開始した。


「逃がすな!」


俺は声を出しながら、逃げ纏うゴブリンを次々に斬り捨てる。


「今だ!やれ!!」


俺は後方に待機している仲間に声をかけると


ドォォォォン!


瞬間、雷の魔法が発動し、複数のゴブリンを焼き払う。いいタイミングだ。
こうして各個撃破していくうちに、目に見えるゴブリンは全て始末した。



「あの、アニキ・・・」


俺と前線で斬りこんでいた男・・・ザイルが何かを見つけたようだった。


「ゴブリンの子供がいるようなんですが・・・」


「子供?」


ザイルに言われたところを見てみると、ゴブリンが作った巣の影に小柄なゴブリンを更に小柄にしたやつ・・・ゴブリンの子供が何匹かでまとまっていた。戦う気も逃げる気もないらしく、ただ震えて固まっている。


「よく見つけたな。こういうのは残しておくと厄介だ」


「では・・・」


「始末するぞ」


俺の言葉に、ザイルは俺の倍はある体を縮こませ、その悪人面に似合わない泣き顔を見せていた。


「ま、まだ子供ですぜ?」


「関係ない。ここで見逃してこいつらが大人になれば人の脅威になる。お前いい加減そういう甘えを直せと言っただろう」


「は、はい・・・」


そして俺と、そしてザイルは渋々ながら生き残ったゴブリンの子供を始末する。
こうしてこの集落にいる全てのゴブリンの掃討は完了した。


「これで依頼は終わりだな。集落の散策をしたら町に帰るか」


「は、はい。・・・いやぁ、流石ショウのアニキだ。この依頼も難なく終わりましたね」


ザイルが感心したように言う。


「感心してないでお前ももっと甘えをなくして積極的に動け。ヘルパーの俺に頼るなよ」


「は、はい」


一か月前、初めてギルドに行った俺に絡んできた男・・・ザイルは、今は俺のことを勝手にアニキと呼び、何故か慕うようになっていた。




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