国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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お上品では務まらない

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「・・・どういうことだ?」


ショックのあまり絶句していたリュートだったが、かろうじて・・・それだけ喉から絞り出した。


「言葉の通りです。ショウ様がいなくなられたことで空いた大穴をどうにか埋めるのに必死だったのです。まぁ、今度どれだけ必死になったところで決して全て埋まることはありませんが。その問題が大きすぎて、他のことなどどうでも良くなってしまっていました」


「どう・・・でも?」


新たに辺境伯となり、この地を治める自分のことを、軽んじた発言をしたオミトに対して驚愕のあまり言葉も満足に出ないリュート。
オミトがリュートを見つめる目は、とても冷たく、ゴミを見るようなそれで、とても自らの君主に対して向けるものではなかった。

ふと見ると、使用人の誰もが似たような目を自分に向けていた。それでリュートは理解する。
本当は全員に自分のことについて話はいきわたっている。だが、オミトのみならず、誰もがそれを歓迎せず、認めていない。
思い描いていたものと全く違い、どこまでも自分が軽んじられている現実に、リュートは激昂しそうになるのを歯を食いしばって耐えた。


「そうか。それなら仕方がないな」


リュートは努めて冷静を装い、余裕のある態度を見せた。それを見てオミトの頬がピクリと動く。


「今は大変だろうが、僕が当主になったからには遠からず解決してみせる。急なことで申し訳ないが、これからは僕が主だ。よろしく頼むよ」


穏やかに笑みを浮かべ、リュートは言った。
ここで感情を露わにして怒鳴り散らすのは簡単だ。だが、彼らにはこれから自分の手足となり、働いてもらわなければならない。
最初が肝心だ。心の広いところを見せなければ。王都でもこうして自分は人脈を広げてきた。それをまたここでもやるだけだーーー リュートはそう考えていた。



「・・・はっ!」


だが、オミトは明確にそんなリュートを嘲笑った。
周りにいる使用人たちも小ばかにしたような笑みを浮かべていた。


(なんだ・・・?)


リュートは混乱した。


「これでは先が思いやられますなぁ、


オミトはどこまでも見下したような言い方だった。


「そのようにでは、この屋敷の、いえ、この領地の誰にだって舐められて終わりでしょうな。何も成すことなどできないでしょう」


「なん・・・だと?」


「それではここで失礼します。先ほども言った通り、今はとにかく忙しいのですから。当主として好きなようにしていただいて構いませんが、我々の邪魔だけは絶対しないように。では」


とても当主に対してのものとは思えぬ態度を取ったオミトだが、リュートはすっかり茫然として何も言えないまま、歩き去るその姿を見送った。
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