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幼馴染達の報復

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アーヴィガが御前会議をすっぽかし、そのまま貴族街のハルトマン別邸まで来ると、そこではソーアが客室で待ち構えていた。


「御前会議をすっぽかしていいのか?」


こうして自分が御前会議を無視して別邸に来ることを見越したようにやってきたソーアに、彼女も今回起きたことを知っているのだなとアーヴィガは察する。
ソーアは自分のところの「影」のような諜報員を持たないが、それでも一緒に王都にいたのだから何かしらのきっかけで事情を知ったのかもしれないと納得した。実際は驚異的な手段で現場の近くにいたから知ったのだが。


「それ以上にやるべきことができたからね」


アーヴィガはそう言ってソファに座り、メイドから差し出された紅茶に口をつけた。


「凄い顔をしているぞ。まぁ無理もないが」


アーヴィガとの付き合いの長いソーアは、表情から今の彼の精神状態が良くないことをわかっていた。


「確かに、ソーアを見習って少し落ち着かないといけないね」


アーヴィガはソーアのどこか心に余裕のある態度を若干訝しんだが、精神状態が良くないことは確かだなと自制を促そうとする。


「もう話は伝わっていると思うけど、ショウはキアラに裏切られて国外追放された」


アーヴィガは頷いた。いけない、また腸が煮えくりかえりそうになる。


「私はショウが戻って来られるように、やれることをするつもりだ」


「ふむ、ではソーアはどうしたらいいと思う?」


「ラルス王太子を失脚させる」


スパッとソーアが言い切った。全く迷いのない瞳で言うソーアに、アーヴィガは少し驚いた。ソーアと同意見ではあったが、彼女がそれを迷い無く言い切るとは意外だったのだ。ソーアは思い切りのいい性格だが、現場レベルでは処理できないような難しい話は悩むことがあるのを幼馴染であるアーヴィガは知っているのだ。


「そうだね。ショウの追放がラルス王太子の意思である以上、彼と、彼に汲みする者を排除すれば、国外追放撤回を流れを作ることができるかもしれない」


それは長い時間のかかる話になるかもしれない。


「どれだけ時間がかかろうと、私はやるつもりだ」


アーヴィガの心の中を見透かしたかのように、ソーアは言う。


「だが、知っているかい?それをやるには、君には一つ障害があるんだが」


「わかっているさ。マルセイユ家だろう?」


アーヴィガは息を飲む。


「マルセイユはラルス王太子を支持している。それが彼を王太子でいられる理由の一つにしている。だから、マルセイユが支持を取りやめるか、影響力を失せるしかない。かけあってもし支持を取り消すことができなかったら、私は実家に弓を引かねばならないな」


「・・・そうだ」


それはソーアにとって本来重い決断のはずだ。
だがなんだろう。先ほどからソーアには迷うような素振りが一切ない。表情にこそ出さないが、アーヴィガはそれにただただ驚いていた。


「だが今マルセイユには一つスキャンダルがあるかもしれないんだ。これを利用すれば、支持を取りやめさせることも出来るかもしれないし、そうでなくとも力を大きく削ぐことはできそうだ」


「!」


汚職のこともわかっている?
自分から切り出さねばならないと思っていた案件について、ソーアが既に知っていたことについてまたまたアーヴィガは驚く。


「わかっているなら話は早い。君の実家は・・・青の騎士団は汚職に関わっている可能性が非常に高い。もしかしたら、君の母上も関わっているかもしれない」


「そうだな。確かにその可能性はある。だが、私はやるさ」


どこまでも迷いの無いソーアに、アーヴィガは思わず茫然としてしまいそうになった。
一体ソーアはどうしたのだ?マルセイユの汚職についてソーアに斬り出そうとは思っていた。だが、実際にそうすればソーアは思い悩み、心を痛めるだろうとアーヴィガは心配していた。
場合によっては家族を愛するあまり、自分の敵になるかもしれない・・・その可能性も、僅かながらに考えていたのだ。
だが、ソーアはそうならなかった。強い・・・とても強い意志で実家に、家族に弓を引いてでもショウのために戦おうとしている。


「一体どうしたというんだ?いつもの君と違うようだが・・・」


思わず、本当に思わずアーヴィガの口から本音が出てしまった。


「私は強くなったのだ。もう迷うことはない」


ソーアははっきりと答えた。


「愛が私を強くしたのだ。私はショウのためなら何だってするぞ」







「・・・・・・えっっっ!?」

アーヴィガの手からカップが落ち、紅茶が床に染みを作った。
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