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新生活始まります

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ラルスへの言伝を頼んだ近衛騎士は、俺を乗せた馬車に繋いだ馬に乗って一人王都へ帰っていった。
俺はそれを見送ると、ざっと周囲を見渡した。

9体の近衛騎士の死体と、俺が乗っていたのとは別の騎士達が乗っていた乗り合い馬車がここにある。
ここに残していても無駄になるだけなので、持っていけるものは持っていくことにする。

まずは馬車。これは早めに金に換えてしまおう。近衛騎士が使っているだけあって、いい馬車なのでそれなりの額で売れることだろう。
次は騎士達の身に着けている武具。
剣から鎧から、使えそうなものは剥いで馬車に積んでいく。これはルーデルの騎士団でもやっていたことなので慣れたものだ。物は有効活用しないとな。
死体はそのままだ。弔ってやる義理はない。


馬車の中を調べると、そこそこの金が入った袋が見つかった。
もしかしたらリュートが俺に持たせると言っていた金かもしれない。有難く使わせてもらうことにする。


「さて、それじゃ行きますかね」


凄まじいハプニングがあったが、先立つものと移動手段を手に入れた俺は、馬車で近くの町まで移動を開始したのであった。



-----



日が落ちる前にどうにか滑り込みで町に辿り着いた俺は、すぐさま馬車と武具を金に換え、その日の宿を取った。


「・・・はぁ・・・」


宿のベッドに寝転がって一休みして、ついに俺の新生活が始まったのだなと実感がわいてきた。俺はもう貴族どころかランドール王国民ですらない。ブレリアにいるただの旅人だ。俺が持っているのは少々の金と、刀のみ。どうやって生活したら良いものか。


「やはり傭兵か冒険者か」


自分に出来ることといえば、戦うことくらいだ。ならばこの二つが俺に向いている仕事だろう。それが性に合っている気がするし、それに剣の腕を錆びさせるのも嫌だ。


「そうとくれば、今度から新生活にも慣れないとな」


今こうして寝転がっているベッドは今までルーデル家で使ってきたそれよりも固い。宿を変えても多分それほど変わらないだろう。

紅茶を飲みたくてもこれからは自分で煎れなければならない。これまでは侍女のリリーナが煎れてくれたりしたから楽だったが、もう彼女はいないのだ。ていうか紅茶って高いのだろうか安いのだろうか、気軽に平民が飲める金額なのだろうか・・・
俺は紅茶が好きだったが、もし平民に買えないようなものなら違うものを愛飲するしかあるまい。
食生活からいろいろ見直しが必要になりそうだなと、俺は溜め息をつきながらもどこかワクワクしている自分がいた。

こうして俺の平民落ちの新生活が始まったのである。
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