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悪意のサプライズ
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俺はドウダヌキを御者から見える小窓にから見えない位置に隠し、馬車に揺られ続ける。
俺には食事が与えられることもなければ、特に声をかけてくることすらなかった。
暇なので鉄格子付きの小窓から外の景色を眺めながら到着を待つことにするが、最後に拝むランドールの景色は、何もかもが特別な何かに見える。
空を見上げると鳥が飛んでいるのが見えた。そういえばドーラはどうしているだろうか。まぁ、俺がいなくなっても自由に好きなように飛んでいるのだろうが、寂しがったりするんだろうか。
オミトとかにも多少は慣れているかもだから、俺の代わりに彼らに馴染んだりするのかな?
なんかそれも寂しい気がするが。
・・・まぁ、考えても仕方がない。
さらばだランドール。また会う日まで・・・か?
やがて馬車は国境までやってきた。
空を見ると、日が暮れかかっている。
馬車が停止し、護衛の騎士が警備に2、3言だけ話してすんなり再出発する。
ブレリア側の国境にいる警備隊にも、これまた少し話すだけで簡単に馬車を通した。
ブレリアの国は実に緩い国だ。どんな人間も受け入れる。俺のような罪人だって受け入れるのだから当然だ。
だから国境警備隊も、あくまで軍隊による侵攻でもなければ人を通さないなんてことはない。
他国でもブレリアへ国外追放することも多々あるようだ。
ここで馬車から降ろされるかと思ったが、そうではなく馬車はまだ進んでいた。俺をどこまで運ぶつもりなのだろう。
そして馬車は街道をはずれ、やがて何もない平原で止まり出した。どこに何があるのかもわからない、本当に何もないところだ。
どうしてこんなところで停まった?俺が訝しんでいると、馬車の錠がガチャリと開けられる音が聞こえた。
「出ろ」
威圧的な騎士の声が聞こえた。
どうやら俺はここで解放されるようだ。
ここで馬車から降りれば、俺は自由の身だろう。
・・・だが、俺はどうにも拭いきれないキナ臭さを感じていた。ピリピリ感じるこの感覚。
ーー殺気だ。
ひしひしと馬車の外から感じる駄々洩れの殺気。それは護衛としてついてきていた近衛騎士様からのものに他ならなかった。
扉からおもむろに顔を出すと、近衛騎士たちは馬車を・・・いや、俺を取り囲んでいるのが見える。そこにいる全員が剣を俺に向けていた。
「ショウ・ルーデル。申し訳ありませんが、あなたにはここで死んでいただきます」
リーダー格と思われる騎士が言った。
あぁ、なるほど、俺をここで始末してしまおうというわけか。だから何もない平原に連れてきたのね。
本来丸腰である俺を始末するのに、随分な念の入れようじゃないの。
どうしてか?なんて野暮なことを聞くつもりはない。心当たりなんていくらでもある。
俺は不敵に笑ってみせ、ドウダヌキを鞘から抜いた。
「・・・!なぜ・・・」
丸腰であるはずの俺が、何故か帯刀しているので騎士達が動揺している。丸腰だったとしても、ただ斬られてやるつもりはないけどな。
やれやれ・・・本当にソーアには助けられてばかりだ。
「はあああああああああ!!」
騎士達が動揺している隙に、俺はリーダー格の騎士に斬りかかる。
ザンッ
騎士は慌てて剣で受けようとするが、俺の太刀は受ける剣ごと騎士の体を頭から切り裂いた。
血しぶきが舞い、騎士は一瞬で物言わぬ骸となる。
騎士達に更に同様が広がった。
国外追放されての俺の最初の仕事は、どうやら祖国からの暗殺者の返り討ちのようだ。
俺には食事が与えられることもなければ、特に声をかけてくることすらなかった。
暇なので鉄格子付きの小窓から外の景色を眺めながら到着を待つことにするが、最後に拝むランドールの景色は、何もかもが特別な何かに見える。
空を見上げると鳥が飛んでいるのが見えた。そういえばドーラはどうしているだろうか。まぁ、俺がいなくなっても自由に好きなように飛んでいるのだろうが、寂しがったりするんだろうか。
オミトとかにも多少は慣れているかもだから、俺の代わりに彼らに馴染んだりするのかな?
なんかそれも寂しい気がするが。
・・・まぁ、考えても仕方がない。
さらばだランドール。また会う日まで・・・か?
やがて馬車は国境までやってきた。
空を見ると、日が暮れかかっている。
馬車が停止し、護衛の騎士が警備に2、3言だけ話してすんなり再出発する。
ブレリア側の国境にいる警備隊にも、これまた少し話すだけで簡単に馬車を通した。
ブレリアの国は実に緩い国だ。どんな人間も受け入れる。俺のような罪人だって受け入れるのだから当然だ。
だから国境警備隊も、あくまで軍隊による侵攻でもなければ人を通さないなんてことはない。
他国でもブレリアへ国外追放することも多々あるようだ。
ここで馬車から降ろされるかと思ったが、そうではなく馬車はまだ進んでいた。俺をどこまで運ぶつもりなのだろう。
そして馬車は街道をはずれ、やがて何もない平原で止まり出した。どこに何があるのかもわからない、本当に何もないところだ。
どうしてこんなところで停まった?俺が訝しんでいると、馬車の錠がガチャリと開けられる音が聞こえた。
「出ろ」
威圧的な騎士の声が聞こえた。
どうやら俺はここで解放されるようだ。
ここで馬車から降りれば、俺は自由の身だろう。
・・・だが、俺はどうにも拭いきれないキナ臭さを感じていた。ピリピリ感じるこの感覚。
ーー殺気だ。
ひしひしと馬車の外から感じる駄々洩れの殺気。それは護衛としてついてきていた近衛騎士様からのものに他ならなかった。
扉からおもむろに顔を出すと、近衛騎士たちは馬車を・・・いや、俺を取り囲んでいるのが見える。そこにいる全員が剣を俺に向けていた。
「ショウ・ルーデル。申し訳ありませんが、あなたにはここで死んでいただきます」
リーダー格と思われる騎士が言った。
あぁ、なるほど、俺をここで始末してしまおうというわけか。だから何もない平原に連れてきたのね。
本来丸腰である俺を始末するのに、随分な念の入れようじゃないの。
どうしてか?なんて野暮なことを聞くつもりはない。心当たりなんていくらでもある。
俺は不敵に笑ってみせ、ドウダヌキを鞘から抜いた。
「・・・!なぜ・・・」
丸腰であるはずの俺が、何故か帯刀しているので騎士達が動揺している。丸腰だったとしても、ただ斬られてやるつもりはないけどな。
やれやれ・・・本当にソーアには助けられてばかりだ。
「はあああああああああ!!」
騎士達が動揺している隙に、俺はリーダー格の騎士に斬りかかる。
ザンッ
騎士は慌てて剣で受けようとするが、俺の太刀は受ける剣ごと騎士の体を頭から切り裂いた。
血しぶきが舞い、騎士は一瞬で物言わぬ骸となる。
騎士達に更に同様が広がった。
国外追放されての俺の最初の仕事は、どうやら祖国からの暗殺者の返り討ちのようだ。
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