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確かに重いが、有難い
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「突然だな・・・」
まさかの愛の告白をしてきたソーアに、俺はそう言うことしか出来なかった。
するとソーアはハッと小ばかにしたように笑い
「今生の別れになるかもしれないのに、今言わなくていつ言うんだ」
そう言って少し表情を曇らせた。
確かにそうだ。俺が国外追放をされたら、その後は二度とソーア達に会えないかもしれないのだ。いや、その可能性のほうが遥かに高いだろう。手紙のやり取りとて、俺との繋がりを疑われてソーア達は検閲される可能性がある。
「・・・いつからだって?俺のことがその・・・」
「ずっと昔からと言っただろう。気付いたのはショウとキアラが婚約してからだが」
「あぁ、そう言ったっけか。そうか・・・」
ずっと、俺とキアラが婚約してからもその想いを秘めていたのか。
何やら胸の奥がグッと苦しくなるような不思議な感覚があった。
「じゃあ、誰とも婚約を結ばなかったのも・・・」
「そうだ」
貴族の娘でありながら政略結婚を強制されないのはマルセイユの家風だが、それでもどの相手から婚約を持ち掛けられてもソーアは頑なに断っていると最初に聞いたときは「もったいないなぁ」などと勝手なことを考えてしまっていた。
だが、それも全て俺のことを想ってのことだったのか。
ルーデルである俺と、マルセイユであるソーアは家の影響力の関係で王家から婚姻の許可が下ることはまずないと言える。例え第二夫人として迎えるとしてもそうなるだろう。
キアラとのことがなくとも、絶対に結ばれない相手・・・それが俺ということだ。
だが、ソーアはそれでもずっと俺を想っていてくれたという。
「重い女だと思うだろう。だが、こればかりはどうにもならなかった」
ソーアが自傷気味に笑う。
「・・・いや、嬉しいぜ」
俺は心からそう思い、その気持ちを伝えた。
確かに強すぎる気持ちなんだろうが、今の俺にはそれが嬉しかった。
「本当に・・・嬉しいな」
話していて、俺はまた涙腺がもろくなりそうになった。
信じ、想っていた婚約者キアラに裏切られ、人として、そして男としてのプライドも自己嫌悪でズタズタになっていた。もう人を愛することなんて出来ないんじゃないかとも思った。
だが、こんな情けない俺でも・・・こんな状況になり、愛しても何一つ見返りどころかデメリットしかないような男を・・・ソーアは愛していると言ってくれた。危険を顧みずに俺に会いに来てくれた。俺のために動いてくれた。それが本当に本当に嬉しかった。
気が付けば、俺は感情のままにソーアに近寄り、強く彼女の体を抱きしめていた。
「ありがとう・・・」
絞り出すように言うと、ソーアは俺の背中に手をまわしてきた。
想っていたはずの婚約者に裏切られたからといって、その日のうちに違う女に気持ちを移してしまうなんて、なんて俺は軽い男なのだと恥じる気持ちはあった。
だが、それよりも目の前のソーアに愛してもらっていた事実を、ただただ嬉しいと感じる気持ちが勝った。
腕の中にあるぬくもりが心地よく、それを今後も忘れまいと記憶に刻もうと目を瞑り腕に感覚を集中させる。
閉ざした瞼の隙間から涙が少し滲んでいるのがわかった。この時間が永遠に続いて欲しいとすら思う。
どのくらいだろうか。しばらく言葉を交わすことなくそのままだったが、やがてソーアが抱きしめられたまま口を開いた。
「ショウ、それで前払いの話だが」
あぁ、そういえばそんな話になっていたな。俺は抱きしめたまま話を聞くことにした。
「私を抱いてもらえないか。体で払ってくれ」
・・・言葉の意味はわかる。
求められているのは今こうしているのとはまた違うものだ。
にしても体で払え、とはなんて言い方をするんだ・・・
ん?
あれ?
今、ここで?
・・・貴族牢で?
まさかの愛の告白をしてきたソーアに、俺はそう言うことしか出来なかった。
するとソーアはハッと小ばかにしたように笑い
「今生の別れになるかもしれないのに、今言わなくていつ言うんだ」
そう言って少し表情を曇らせた。
確かにそうだ。俺が国外追放をされたら、その後は二度とソーア達に会えないかもしれないのだ。いや、その可能性のほうが遥かに高いだろう。手紙のやり取りとて、俺との繋がりを疑われてソーア達は検閲される可能性がある。
「・・・いつからだって?俺のことがその・・・」
「ずっと昔からと言っただろう。気付いたのはショウとキアラが婚約してからだが」
「あぁ、そう言ったっけか。そうか・・・」
ずっと、俺とキアラが婚約してからもその想いを秘めていたのか。
何やら胸の奥がグッと苦しくなるような不思議な感覚があった。
「じゃあ、誰とも婚約を結ばなかったのも・・・」
「そうだ」
貴族の娘でありながら政略結婚を強制されないのはマルセイユの家風だが、それでもどの相手から婚約を持ち掛けられてもソーアは頑なに断っていると最初に聞いたときは「もったいないなぁ」などと勝手なことを考えてしまっていた。
だが、それも全て俺のことを想ってのことだったのか。
ルーデルである俺と、マルセイユであるソーアは家の影響力の関係で王家から婚姻の許可が下ることはまずないと言える。例え第二夫人として迎えるとしてもそうなるだろう。
キアラとのことがなくとも、絶対に結ばれない相手・・・それが俺ということだ。
だが、ソーアはそれでもずっと俺を想っていてくれたという。
「重い女だと思うだろう。だが、こればかりはどうにもならなかった」
ソーアが自傷気味に笑う。
「・・・いや、嬉しいぜ」
俺は心からそう思い、その気持ちを伝えた。
確かに強すぎる気持ちなんだろうが、今の俺にはそれが嬉しかった。
「本当に・・・嬉しいな」
話していて、俺はまた涙腺がもろくなりそうになった。
信じ、想っていた婚約者キアラに裏切られ、人として、そして男としてのプライドも自己嫌悪でズタズタになっていた。もう人を愛することなんて出来ないんじゃないかとも思った。
だが、こんな情けない俺でも・・・こんな状況になり、愛しても何一つ見返りどころかデメリットしかないような男を・・・ソーアは愛していると言ってくれた。危険を顧みずに俺に会いに来てくれた。俺のために動いてくれた。それが本当に本当に嬉しかった。
気が付けば、俺は感情のままにソーアに近寄り、強く彼女の体を抱きしめていた。
「ありがとう・・・」
絞り出すように言うと、ソーアは俺の背中に手をまわしてきた。
想っていたはずの婚約者に裏切られたからといって、その日のうちに違う女に気持ちを移してしまうなんて、なんて俺は軽い男なのだと恥じる気持ちはあった。
だが、それよりも目の前のソーアに愛してもらっていた事実を、ただただ嬉しいと感じる気持ちが勝った。
腕の中にあるぬくもりが心地よく、それを今後も忘れまいと記憶に刻もうと目を瞑り腕に感覚を集中させる。
閉ざした瞼の隙間から涙が少し滲んでいるのがわかった。この時間が永遠に続いて欲しいとすら思う。
どのくらいだろうか。しばらく言葉を交わすことなくそのままだったが、やがてソーアが抱きしめられたまま口を開いた。
「ショウ、それで前払いの話だが」
あぁ、そういえばそんな話になっていたな。俺は抱きしめたまま話を聞くことにした。
「私を抱いてもらえないか。体で払ってくれ」
・・・言葉の意味はわかる。
求められているのは今こうしているのとはまた違うものだ。
にしても体で払え、とはなんて言い方をするんだ・・・
ん?
あれ?
今、ここで?
・・・貴族牢で?
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