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女優の決断
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キアラの心中を知るはずもないソーアはなおも説得を試みていた。
「キアラがこれからやるべきことは、ショウの冤罪を晴らしてを救うことだ」
ソーアの言葉に、キアラは小ばかにしたようにフッと笑う。
「救うって、一体どうやって救うの?王家が絡んでいるのに、どうすれば状況が変わると思うの?」
「それは・・・」
ソーアは一旦言葉に詰まる。
「洗いざらい、キアラが真相を暴露するとか・・・」
「どこに?どこに暴露すればショウを救えると思うの?」
「ルーデルの騎士団とか・・・」
「それをする頃には、ショウは既に国外でしょうね」
「ぐっ・・・」
ソーアはまたも言葉に詰まる。今はもう全てにおいて手遅れの状態なのは彼女もわかっていた。
「私とキアラで・・・二人で強襲すればショウを助けることくらいはできるだろう!」
キアラは呆れ返り、はぁ~とわざとらしくため息をつく。
「それで?ショウともども仲良く私たちは反逆者かしら」
「キアラは真相さえ話せば、世論を味方につけることはできるかもしれないだろう!」
「それを信じてもらえるとでも?私がショウに情に訴えられて根負けして味方したとかいうことにされるわ。それに万が一世論を味方につけたところで、その後に待っているのは国の内乱よ。国が崩壊するわ。それでもいいのね?」
ショウが結局は徹底抗戦をしなかった理由・・・それはここにあるのだろうとキアラは考えていた。
自分の名誉と意地よりも、最後は国の平穏を望むのではないか、内乱を望まないのではないか、そう考える人だとキアラは思っていた。
だがソーアはそのようには考えなかった。
「それが間違いを見過ごす理由になるか!ショウを不当な手段で排除しておきながらそれがまかり通った国が、その後にまともな統治をされて平和を保つと思うのか?」
「それは・・・」
今度はキアラが口をつぐんだ。
正直に言えば、王家が、やがて国王となるだろう王太子が統治する国に未来があるかは不鮮明だとキアラは思っている。王太子が兼ねてより自分と婚約を結びたがっていたことは知っていた。祖父の遺言による力でそれは叶わなかったが、ついに狂気ともいえる強硬手段でキアラをもぎ取った。この執着は異常である。
ルーデルの時期当主を追い落とすことで、ランドール国は国防に大きな穴を空けることになるが、それでもラルス王太子はそれを実行した。リュートでは到底代わりが務まらないことを知りながらやっているのか、それとも知らないのかそれはわからないが、いずれにせよ先の先を見通して国の平和を守るべき王たる器ではないし、国をまともに導けるはずもない。それを咎めるどころか手を貸す臣下とて同じだ。
「・・・あ」
だがそこでふとキアラは気づく。
何を考えていたのだろう。
そんなの自分も同じではないか、と。
婚約者として、幼馴染として自分を信頼してくれたショウを裏切り、親の言いつけだから、貴族の義務だからとそれを隠れ蓑にして正当化をした。
国の混乱を防ぐためだと不正を見過ごし、目を瞑ろうとしている。自分だって自己都合のためにやがて来る災悪を知りながらそれを知らんぷりをしている。結局彼らと同じなのだ。
「キアラ、決心しろ!ここでやらなければショウだけじゃなく、この国も取り返しのつかないことになるぞ。親がどうだとか、貴族の義務がどうだとかそんなことは関係ない。お前の意思をみせろキアラ」
ソーアはそう言ってキアラの前に手を差し出した。ソーアと一緒にショウの救出をするというのなら手を取れという意味なのだろう。
キアラは一瞬悩んだが、すぐに結論を出した。
「キアラがこれからやるべきことは、ショウの冤罪を晴らしてを救うことだ」
ソーアの言葉に、キアラは小ばかにしたようにフッと笑う。
「救うって、一体どうやって救うの?王家が絡んでいるのに、どうすれば状況が変わると思うの?」
「それは・・・」
ソーアは一旦言葉に詰まる。
「洗いざらい、キアラが真相を暴露するとか・・・」
「どこに?どこに暴露すればショウを救えると思うの?」
「ルーデルの騎士団とか・・・」
「それをする頃には、ショウは既に国外でしょうね」
「ぐっ・・・」
ソーアはまたも言葉に詰まる。今はもう全てにおいて手遅れの状態なのは彼女もわかっていた。
「私とキアラで・・・二人で強襲すればショウを助けることくらいはできるだろう!」
キアラは呆れ返り、はぁ~とわざとらしくため息をつく。
「それで?ショウともども仲良く私たちは反逆者かしら」
「キアラは真相さえ話せば、世論を味方につけることはできるかもしれないだろう!」
「それを信じてもらえるとでも?私がショウに情に訴えられて根負けして味方したとかいうことにされるわ。それに万が一世論を味方につけたところで、その後に待っているのは国の内乱よ。国が崩壊するわ。それでもいいのね?」
ショウが結局は徹底抗戦をしなかった理由・・・それはここにあるのだろうとキアラは考えていた。
自分の名誉と意地よりも、最後は国の平穏を望むのではないか、内乱を望まないのではないか、そう考える人だとキアラは思っていた。
だがソーアはそのようには考えなかった。
「それが間違いを見過ごす理由になるか!ショウを不当な手段で排除しておきながらそれがまかり通った国が、その後にまともな統治をされて平和を保つと思うのか?」
「それは・・・」
今度はキアラが口をつぐんだ。
正直に言えば、王家が、やがて国王となるだろう王太子が統治する国に未来があるかは不鮮明だとキアラは思っている。王太子が兼ねてより自分と婚約を結びたがっていたことは知っていた。祖父の遺言による力でそれは叶わなかったが、ついに狂気ともいえる強硬手段でキアラをもぎ取った。この執着は異常である。
ルーデルの時期当主を追い落とすことで、ランドール国は国防に大きな穴を空けることになるが、それでもラルス王太子はそれを実行した。リュートでは到底代わりが務まらないことを知りながらやっているのか、それとも知らないのかそれはわからないが、いずれにせよ先の先を見通して国の平和を守るべき王たる器ではないし、国をまともに導けるはずもない。それを咎めるどころか手を貸す臣下とて同じだ。
「・・・あ」
だがそこでふとキアラは気づく。
何を考えていたのだろう。
そんなの自分も同じではないか、と。
婚約者として、幼馴染として自分を信頼してくれたショウを裏切り、親の言いつけだから、貴族の義務だからとそれを隠れ蓑にして正当化をした。
国の混乱を防ぐためだと不正を見過ごし、目を瞑ろうとしている。自分だって自己都合のためにやがて来る災悪を知りながらそれを知らんぷりをしている。結局彼らと同じなのだ。
「キアラ、決心しろ!ここでやらなければショウだけじゃなく、この国も取り返しのつかないことになるぞ。親がどうだとか、貴族の義務がどうだとかそんなことは関係ない。お前の意思をみせろキアラ」
ソーアはそう言ってキアラの前に手を差し出した。ソーアと一緒にショウの救出をするというのなら手を取れという意味なのだろう。
キアラは一瞬悩んだが、すぐに結論を出した。
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