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激情の赤い花
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「キアラ、どうしてお前はショウに対してあんなことをしたのだ」
ソーアの質問に、キアラは再びわずかに驚いた表情を見せる。ショウの冤罪のときに見せたコロコロと表情を変えたキアラとは違い、これまで通りの表情に乏しい彼女になっていた。
「何のこと?」
どうしてショウに起きたことを知っているのか。あれについては王城でもあくまで一部の者しか知らない話になっていたはずだーー キアラは一瞬動揺しつつも、ひとまずはしらばっくれてみることにした。
ダンッ
ソーアがキアラを押し退け、キアラは壁に体を押し付けられた。
「っっ!!」
キアラは苦痛に僅かに口元を歪めるが、ソーアはそれを気にすることなく睨み付けたままだった。
これまでにただの一度もキアラに見せなかった剣幕に、キアラは思わず息を飲む。
「しらばっくれるな。ショウを騙して陥れたことを私は全部知っているんだ」
面倒なことになった--
キアラは表情こそ変えなかったが、内心思わず舌打ちでもしたい気持ちになっていた。
「…どうして知ってるの?」
観念したキアラだが、それでも一つだけ気になっていたことを訊ねる。
「そんなことはどうでも良いことだ」
質問の答えはどうにも罰が悪くなることなので、ソーアはこの場の空気で押し切ることにした。
王城でソーアが行ったことは当然問題になる。最も公爵家にこうして忍び込んでいる時点で大問題だから今更なのだが。
「どうしてショウを裏切った?キアラはショウの婚約者だろう」
自分が欲しても決して手に入らなかった立場。
その立場にありながらショウを裏切り、陥れたキアラが余計に腹立たしくて仕方がなかった。
「そんなに王都が良いか?ショウを裏切るくらい辺境は嫌いか?そんなに王族になりたいのか?」
キアラの答えを待つことなく、ソーアは畳み掛けた。途中から感情が爆発し、キアラを壁に押さえつける力が思わず強くなっていた。
気がつけば、ソーアの頬を涙がポロポロと伝っていた。
「なんでっ…何でだ!」
キアラはそんなソーアを見て、一瞬何かを言おうとしてやめた。
キアラはここで初めてソーアがショウに対して抱いているものを察した。それについて何を言ったところで、ソーアをより刺激するだけだと気付いたのだ。
一瞬迷った素振りを見せ、キアラは口を開いた。
「これは、私の一存ではどうにもならなかったことよ」
と。
ソーアの質問に、キアラは再びわずかに驚いた表情を見せる。ショウの冤罪のときに見せたコロコロと表情を変えたキアラとは違い、これまで通りの表情に乏しい彼女になっていた。
「何のこと?」
どうしてショウに起きたことを知っているのか。あれについては王城でもあくまで一部の者しか知らない話になっていたはずだーー キアラは一瞬動揺しつつも、ひとまずはしらばっくれてみることにした。
ダンッ
ソーアがキアラを押し退け、キアラは壁に体を押し付けられた。
「っっ!!」
キアラは苦痛に僅かに口元を歪めるが、ソーアはそれを気にすることなく睨み付けたままだった。
これまでにただの一度もキアラに見せなかった剣幕に、キアラは思わず息を飲む。
「しらばっくれるな。ショウを騙して陥れたことを私は全部知っているんだ」
面倒なことになった--
キアラは表情こそ変えなかったが、内心思わず舌打ちでもしたい気持ちになっていた。
「…どうして知ってるの?」
観念したキアラだが、それでも一つだけ気になっていたことを訊ねる。
「そんなことはどうでも良いことだ」
質問の答えはどうにも罰が悪くなることなので、ソーアはこの場の空気で押し切ることにした。
王城でソーアが行ったことは当然問題になる。最も公爵家にこうして忍び込んでいる時点で大問題だから今更なのだが。
「どうしてショウを裏切った?キアラはショウの婚約者だろう」
自分が欲しても決して手に入らなかった立場。
その立場にありながらショウを裏切り、陥れたキアラが余計に腹立たしくて仕方がなかった。
「そんなに王都が良いか?ショウを裏切るくらい辺境は嫌いか?そんなに王族になりたいのか?」
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気がつけば、ソーアの頬を涙がポロポロと伝っていた。
「なんでっ…何でだ!」
キアラはそんなソーアを見て、一瞬何かを言おうとしてやめた。
キアラはここで初めてソーアがショウに対して抱いているものを察した。それについて何を言ったところで、ソーアをより刺激するだけだと気付いたのだ。
一瞬迷った素振りを見せ、キアラは口を開いた。
「これは、私の一存ではどうにもならなかったことよ」
と。
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