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暴走の赤い花

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ソーア・マルセイユは、そのとき・・・ショウに「冤罪」がかけられた場、王城の一室の外の窓から「冤罪」の一連の流れを見ていた。


(あわわわわわわわ・・・)


これは冤罪だ!二人の様子が気になって見に来たらとんでもないものを見つけてしまった。どうしよう?

窓枠に掴まったままテンパるソーアは、どうしてこんなことになっているのか思考をめぐらせた。






始まりはキアラの手紙の要請を半分無視して来てしまったことにある。ついショウ達のことが気になって勢いで従来の予定通りに御前会議の前日に王都入りするソーアだったが、まさか二人のデートを邪魔するところまでは出来ず、「何がしたいんだ私は」と自己嫌悪に陥った。
大人しく王城のマルセイユのスペースで宿泊しようと出向いてみると、ルーベルト家のスペースの入り口で厳戒な封鎖がされていることに気が付き、何があったかを封鎖している衛兵に聞いてみても何も答えられないの一点張り。
ソーアは何か予感めいたものを感じ、唐突に近くにあった人目のない窓から外に飛び出した。外壁沿いに移動して、外からルーベルト家のスペースで何が起きているのか確認しようとしたのだ。
ソーアはとても身軽だ。海上での戦闘では荒天もありえ、傾斜しっぱなしの船内で数日過ごすこともあれば、大波で揺れる敵船に飛び乗って白兵戦だってする。荒天でもない陸上において、王城の外壁のわずかな足場、窓枠、木々などを使ってある程度自由に移動するだけのことは造作もないことだった。
そのソーアの身体能力と好奇心と野性的勘と、後は短絡的な性格が、彼女を狂行に駆り立てた。

そしてソーアはその行動によって、キアラ達による冤罪劇の一部始終を見てしまうのである。


(どうしよう・・・どうする?)


ソーアは窓から見えない位置のまま、どうしたら良いかを考えた。
今自分にできることでベストなこと。

・突入して、ショウは無実であると訴える→論外。周りは敵ばかりなのでダメ。

・突入してショウに武力で加勢する→あとで問題になりそうだし、そうすべき場面ではなさそうなのでダメ。

・冤罪について告発する→効果は不明だし、効果あったとしてもそのころにはショウの国外追放を終えているだろうからダメ。

・シーラにこのことを報告し、助けを乞う→これは・・・


これは・・・どうなのだ?
以前のソーアなら強い影響力を持ち、信頼する母シーラに相談してどうにかショウを助け出そうとしただろう。
だが、ソーアには今シーラに対して海賊騒動を通じて少なからず不信感を感じているところがあった。
シーラが王太子側につかない保証はあるのだろうか?それに、あくまでショウの冤罪の証拠はソーアの証言だけだ。これではシーラを説得できないかもしれない。
そして何よりそれをする時間も残されているようには思えなかった。

そうこうして悩んでいるうちに、ショウは衛兵に連れていかれてしまった。
どうしようと考えていると、今度はキアラが護衛に付き添われながらルーベルト邸へ戻ろうとしていた。


(そうだ・・・!)

ソーアはそれを見て何をするか決めた。
当事者の一人、キアラを説得してショウを救わせよう。そう考えたのだ。
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