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閑話 悩む白いカリスマ
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アーヴィガ・ハルトマンはランドールの北方グラーデ地方を治めるハルトマン辺境伯家を継いだ、当代辺境伯である。アーヴィガの父である先代キシルはまだまだ健在であったが、アーヴィガの能力を評価していた彼はアーヴィガが成人すると同時に早々に家督を譲って表舞台からは姿を消した。
そんなわけでいくらかはキシルの補佐を受けながらも、アーヴィガは政務に取り掛かっていた。
「はぁ・・・」
アーヴィガは家来からの報告を受け、溜め息をついた。
予想はしていた。だが、実際に調査させた結果の報告内容がまさに予想通りだったことで、嬉しさよりも「あぁやっぱりか」という残念という諦めというかやるせない気持ちにアーヴィガはなっていた。
「違っていて欲しかったねぇ」
穏やかに笑みを浮かべるアーヴィガは、報告書に再度目を通しながらまた溜め息をつく。何度見ても報告内容が変わるわけではない。
それは昨今ハルトマン領で摘発されている麻薬密売組織に関わる報告書だった。
「既にかなりの量が出回っているようです。密売組織は細分化され、全てを潰していくのは時間がかかります」
白いスーツに身を包んだ厳つい顔をした男は直立不動の姿勢でそう言った。
彼はハルトマン家に仕える「影」の組織の一員。「影」は組織名らしい組織名を持たず、アーヴィガは普段「影」とだけ呼んでいる。
情報収集のためにランドール国はおろか世界を影の人間が身分を隠して歩き周り、戦闘能力を有しているため任務に必要ならば手荒な手段に出ることも辞さない隠密部隊である。
リュート・ルーデルの不貞に関する調査でもアーヴィガの命令により彼らが動いていた。
ちなみに・・・2年ほど前より新装・黒の騎士団の影響を受けて以来、真似をして白をシンボルカラーとした「白の騎士団」などとハルトマン辺境騎士団を売り出した際、「白」のせいか清廉潔白、絶対正義などなどクリーンなイメージで反響があった。
が、実際裏でやっていることのえげつなさは、黒の騎士団の実態なんかの非ではない。
「で、その麻薬の入手ルートはマルセイユ領で確定・・・か」
密売組織の人間を「影」が念入りに取り調べた結果、その情報を得ることができた。
麻薬の蔓延は国を傾けることになるために当然、ランドールは全土において厳しくこれを取り締まっていた。
国境を含め何重かに設けた関所で全て厳しく取り締まり、入り込むことを防いでいる。
しかし、どうしてもどこかしら穴をついて入ってくるもので、それを取り締まっては密売人を捕らえ、また見つけては・・・とその繰り返しである。それ自体は永遠に課題みたいなものなので、ある程度は仕方ない。
だが、それにしても昨今のハルトマン領での摘発量はこれまでの非ではないほど急速にその数を増やしていた。
これまでになく大量の麻薬が持ち込まれているーーそう考えたとき、一番に怪しいと思ったのはランドール最大の規模を誇る港を持つマルセイユ領だ。想定される大量の麻薬を陸路で持ち込むにはリスクが高い。
ランドールの港町全てを「影」に調査させたところ、案の定マルセイユ領が黒となってしまった。
「これは骨が折れるね」
アーヴィガはメイドが煎れたコーヒーを飲み、また溜め息をついた。
領内の密売組織を全て潰すのは時間がかかる。ならばまず入手ルートを潰さなければならないのだが、ハルトマン領とマルセイユ領はランドールの北と南で距離が離れているようでいて、その実は広大な内海が双方の中間に存在し、水運で盛んな交易がなされているのである。その物量は陸続きの隣の領地のそれをは比較にならないほど大きいのだ。
全ての船を検査となると時間もコストも人手もかかるうえに、マルセイユ領からの麻薬の密輸を疑っていると知られれば摩擦になりかねない。
「なぁ、そっちの取り締まりがザルだから、こっちに麻薬とかよからぬものが入ってきて困るんだ」
などと気軽に言える間柄ならどれだけいいか。
マルセイユに交易を切られるのは避けたい。北方で雪に覆われたハルトマン領はどうしても陸路での交易は振るわない。マルセイユ領からの水運が無ければ、ハルトマン領は流通に大きなダメージを負うことになる。
関係に悩むだけならまだ良かったが、この上にマルセイユの青の騎士団の海軍は、麻薬を密輸するワスプ海賊団との癒着がある疑いが大であるとの調査結果も出た。
これが今最大のアーヴィガの悩みの種だ。
物流に支障が出るような関係にあるマルセイユが相手でなければ、ことはそれほど難しくなかった。相手領の麻薬の密輸に関与していると思わしき者を、騎士団の関係者であろうと裏で始末して回ればいいのだから。「影」ならば実行できる可能性は高いし、実際にアーヴィガはそれを命令するだろう。
だがマルセイユはまずい。万が一にもハルトマンが手を回したと知れれば、こちらに不利な戦争になってしまう。ランドールの二大辺境伯と言われることもあるように、白の騎士団は純粋な武力では青の騎士団に負けないだろうが、物流の停止によってこの領地は大きく衰退をしてしまうだろう。
そしてそうなった時には連鎖して「活動家」達が動き出してしまう。
活動家とは、格差社会を憎み、富の再分配をし、皆に平等をもたらすと反権力活動をする奴らのことだ。彼らは情勢が不安定になると活発化する。善良だった領民も、生活苦から彼らに迎合してしまえば恐ろしい不穏分子と化す。
それが広まれば領地は一瞬にして内から滅びるだろう。
麻薬
活動家
マルセイユの騎士団の汚職
おまけにルーデル家への不審な動き
どうにも考えることが多すぎるなとアーヴィガは何度目かの溜め息をつく。
とりあえず今出来ることはマルセイユのことだろうと考える。
流石にソーアが海軍の癒着に関わっているとは思えないので、まずはそれとなく話してみよう。
そういえば次に会うのは15日後の御前会議のときか。
ランドールでは三ヵ月に一度、各辺境伯も集まって王城にて御前会議が行われる。
そこでは辺境伯であるアーヴィガはもちろん、当主代行代理としてショウもやってくる。
ソーアも当主についてやってきて、これを機会についでにいつもの幼馴染で会うということをいつもやっていた。
今回はソーアに対しては少し言いづらいことを言わねばならないが、彼女なら真摯に話を聞いてくれるだろう。
一先ずは御前会議のときの再会までまたいろいろ調べておかなければーーー
だが、その御前会議にてアーヴィガがショウと再会することはなかった。
そんなわけでいくらかはキシルの補佐を受けながらも、アーヴィガは政務に取り掛かっていた。
「はぁ・・・」
アーヴィガは家来からの報告を受け、溜め息をついた。
予想はしていた。だが、実際に調査させた結果の報告内容がまさに予想通りだったことで、嬉しさよりも「あぁやっぱりか」という残念という諦めというかやるせない気持ちにアーヴィガはなっていた。
「違っていて欲しかったねぇ」
穏やかに笑みを浮かべるアーヴィガは、報告書に再度目を通しながらまた溜め息をつく。何度見ても報告内容が変わるわけではない。
それは昨今ハルトマン領で摘発されている麻薬密売組織に関わる報告書だった。
「既にかなりの量が出回っているようです。密売組織は細分化され、全てを潰していくのは時間がかかります」
白いスーツに身を包んだ厳つい顔をした男は直立不動の姿勢でそう言った。
彼はハルトマン家に仕える「影」の組織の一員。「影」は組織名らしい組織名を持たず、アーヴィガは普段「影」とだけ呼んでいる。
情報収集のためにランドール国はおろか世界を影の人間が身分を隠して歩き周り、戦闘能力を有しているため任務に必要ならば手荒な手段に出ることも辞さない隠密部隊である。
リュート・ルーデルの不貞に関する調査でもアーヴィガの命令により彼らが動いていた。
ちなみに・・・2年ほど前より新装・黒の騎士団の影響を受けて以来、真似をして白をシンボルカラーとした「白の騎士団」などとハルトマン辺境騎士団を売り出した際、「白」のせいか清廉潔白、絶対正義などなどクリーンなイメージで反響があった。
が、実際裏でやっていることのえげつなさは、黒の騎士団の実態なんかの非ではない。
「で、その麻薬の入手ルートはマルセイユ領で確定・・・か」
密売組織の人間を「影」が念入りに取り調べた結果、その情報を得ることができた。
麻薬の蔓延は国を傾けることになるために当然、ランドールは全土において厳しくこれを取り締まっていた。
国境を含め何重かに設けた関所で全て厳しく取り締まり、入り込むことを防いでいる。
しかし、どうしてもどこかしら穴をついて入ってくるもので、それを取り締まっては密売人を捕らえ、また見つけては・・・とその繰り返しである。それ自体は永遠に課題みたいなものなので、ある程度は仕方ない。
だが、それにしても昨今のハルトマン領での摘発量はこれまでの非ではないほど急速にその数を増やしていた。
これまでになく大量の麻薬が持ち込まれているーーそう考えたとき、一番に怪しいと思ったのはランドール最大の規模を誇る港を持つマルセイユ領だ。想定される大量の麻薬を陸路で持ち込むにはリスクが高い。
ランドールの港町全てを「影」に調査させたところ、案の定マルセイユ領が黒となってしまった。
「これは骨が折れるね」
アーヴィガはメイドが煎れたコーヒーを飲み、また溜め息をついた。
領内の密売組織を全て潰すのは時間がかかる。ならばまず入手ルートを潰さなければならないのだが、ハルトマン領とマルセイユ領はランドールの北と南で距離が離れているようでいて、その実は広大な内海が双方の中間に存在し、水運で盛んな交易がなされているのである。その物量は陸続きの隣の領地のそれをは比較にならないほど大きいのだ。
全ての船を検査となると時間もコストも人手もかかるうえに、マルセイユ領からの麻薬の密輸を疑っていると知られれば摩擦になりかねない。
「なぁ、そっちの取り締まりがザルだから、こっちに麻薬とかよからぬものが入ってきて困るんだ」
などと気軽に言える間柄ならどれだけいいか。
マルセイユに交易を切られるのは避けたい。北方で雪に覆われたハルトマン領はどうしても陸路での交易は振るわない。マルセイユ領からの水運が無ければ、ハルトマン領は流通に大きなダメージを負うことになる。
関係に悩むだけならまだ良かったが、この上にマルセイユの青の騎士団の海軍は、麻薬を密輸するワスプ海賊団との癒着がある疑いが大であるとの調査結果も出た。
これが今最大のアーヴィガの悩みの種だ。
物流に支障が出るような関係にあるマルセイユが相手でなければ、ことはそれほど難しくなかった。相手領の麻薬の密輸に関与していると思わしき者を、騎士団の関係者であろうと裏で始末して回ればいいのだから。「影」ならば実行できる可能性は高いし、実際にアーヴィガはそれを命令するだろう。
だがマルセイユはまずい。万が一にもハルトマンが手を回したと知れれば、こちらに不利な戦争になってしまう。ランドールの二大辺境伯と言われることもあるように、白の騎士団は純粋な武力では青の騎士団に負けないだろうが、物流の停止によってこの領地は大きく衰退をしてしまうだろう。
そしてそうなった時には連鎖して「活動家」達が動き出してしまう。
活動家とは、格差社会を憎み、富の再分配をし、皆に平等をもたらすと反権力活動をする奴らのことだ。彼らは情勢が不安定になると活発化する。善良だった領民も、生活苦から彼らに迎合してしまえば恐ろしい不穏分子と化す。
それが広まれば領地は一瞬にして内から滅びるだろう。
麻薬
活動家
マルセイユの騎士団の汚職
おまけにルーデル家への不審な動き
どうにも考えることが多すぎるなとアーヴィガは何度目かの溜め息をつく。
とりあえず今出来ることはマルセイユのことだろうと考える。
流石にソーアが海軍の癒着に関わっているとは思えないので、まずはそれとなく話してみよう。
そういえば次に会うのは15日後の御前会議のときか。
ランドールでは三ヵ月に一度、各辺境伯も集まって王城にて御前会議が行われる。
そこでは辺境伯であるアーヴィガはもちろん、当主代行代理としてショウもやってくる。
ソーアも当主についてやってきて、これを機会についでにいつもの幼馴染で会うということをいつもやっていた。
今回はソーアに対しては少し言いづらいことを言わねばならないが、彼女なら真摯に話を聞いてくれるだろう。
一先ずは御前会議のときの再会までまたいろいろ調べておかなければーーー
だが、その御前会議にてアーヴィガがショウと再会することはなかった。
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ヒロイン:ミーティア / 女 / ダークエルフ
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