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フラグその7 これがデビュウ!
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「冤罪」から2年前
ランドール王国建国450周年記念式典。
この日は世界各国から要人が招かれ、国をあげて盛大に建国記念日が祝われる。夜に王城で開かれるパーティーなど催しは様々だ。
だが一番の肝の催しは軍事パレードである。王都の騎士団を始め、国中の貴族や辺境軍から派遣された精鋭の騎士が、城下町を行進して王城の広場に結集し、来賓客に国威を見せつけるというものだ。
ランドール王国は経済的にも軍事的にも一等国とは言い難い。隣国でもルード地方に侵略を仕掛けてきている現在敵対中のモウロはともかく、現状友好を結んでいる、王都から最短の隣国のマイク帝国などは隙を見せればいつ侵略を仕掛けて来てもおかしくはないほどの高い軍事力と侵略の歴史を持つ。
今こそは均衡を保っているが、容易く組み伏せられると見られるや否やただちに攻めてくるだろうとランドール王は考えていた。
だから建国450周年記念と称してわざわざ周辺国の要人を招待し、ランドール国の軍の精鋭を見せ威光を見せつけるというのが今回の催しの狙いであった。
そして招待された各国からの来賓客からしてみてもこの軍事パレードは大事な場であった。ランドールの推測する通り、隙あらばと考えている国はマイク帝国の他にもいくつかある。だから各国の要人に付随してきた者は、その国でも洞察力の高い軍事関係者ばかりだった。
「・・・どうだ?この国の騎士のレベルのほうは」
パレード中、行進する騎士団を見て隣国マイク帝国から派遣されてきたヒムル宰相は、自分の連れてきた将校たちに小声で問う。
「カスばかりです」
「あえて言いましょうカスであると」
カスしか言えないのか。
とヒムルは思ったが、彼らの目は確かだ。戦わずとも、細かい動きや雰囲気で軍の実力を推し量ることができる。一糸乱れぬ姿で行進して威厳を放っているようだが、自国の目の肥えた将校から見るとカスだと言う。
つまり、この国の軍事力は恐らく見た目だけで大したことはないのだろう・・・とヒムルは思った。
(本国に帰ればいよいよ本格的に侵攻を考えてもいいかもしれん)
いや、この軍事パレードを見た他の各国も同じことを考えている可能性がある。
それなら早くほうがいいかもしれない。
そう思ってヒムルは他の隣国の要人のほうに目を向けると、似たようなことを考えている顔をしていた。
(ランドールには他に『脅威』はあるが、アレについては対策はしてあるし、恐らく問題はないだろう)
やはり本国に戻ったらランドール侵攻を陛下に具申しよう。ヒムルはそう思った。
今、見えないところでランドール王国にとって未曾有の危機が迫ろうとしていた。そんなときだった。
「ん?おい、なんだあれは」
パレードを見ていた誰かが声を上げた。
ヒムルはその声につられるようにパレードに目を向ける。
「む・・・?」
数ある騎士団の中でも、ひと際目を引く存在があった。
全身黒ずくめの鎧を着込んだ騎士団がやってきたのである。
「なんだあれは・・・」
騒然、驚いたのはヒムルだけではなかった。来賓客のみならず、何やらランドール国の者も驚いている様子だった。
(自分達はともかく、どうしてランドールの者が驚いている?)
ヒムルが混乱していると
「もしかしてあれは・・・黒の騎士団?」
将校の一人が思い出したように言った。
黒の騎士団・・・!ヒムルとてその名は聞いたことがあった。モウロ王国が何代にも渡り侵略しようと領地に攻撃を仕掛けるも、その悉くを退いているという、ランドール王国最強の騎士団。
「ふむ・・・あれは、中々手ごわそうですね」
将校は顔を顰めてそう言った。
「何とかなりそうか?」
ヒムルの問いに
「手こずりそうです。かなりの損害を出すかもしれません」
将校は正直にそう言った。
「うむ、そうか」
将校の言葉を聞いて、ヒムルは特に不機嫌になるでもなく、すっぱり考えを変えて方針を転換しようと思った。
ランドール全土の侵略は、黒の騎士団をはじめとした手ごわい辺境騎士団の反撃にあって失敗に終わる可能性もある。
だが黒の騎士団がいるルード地方とは距離があるから、ランドールの王都だけ速やかに制圧したのち、ルーデルら辺境伯とは和解するというプランも用意しておこうと考えた。
それでも駄目なら仕方がない。多少の被害は出たとしてもなんとか制圧するしかない。
「しかしそれにしても目立つな・・・」
ヒムルはむしろ関心するように黒の騎士団の面々を見つめた。
「はるか東の国ではアカゾナエという、わざわざ目立つ赤い色の鎧兜を着込んで戦う者達もいたようです」
「それの類か?それにしても何か騒いでおるな・・・どうしたのか」
何やら見ていると騎士団が集まっている広場では何か騒いでいるようであった。
どうやら黒の騎士団に問題があったようである。
「おや・・・黒の騎士団は・・・騎士団長がいないみたいですね」
隊列を見て、本来いるべきその存在がいないことに将校は気付いたようだ。
「なんだそれは。遅刻かね?」
「まぁ・・・あり得ない話ですな」
「なんたる緩みっぷり。戦ってみれば案外大したことはないのではないかね?」
「そうかもしれません」
そんなことを話しているときだった。
「・・・おい、あれは何だ!?」
誰かが空を見上げて声を上げた。
その場にいた全員が一斉に空を見上げるとそこには見たこともないような形をした鳥が飛んでいた。
「・・・なんだあの鳥は?見たことがないな」
「鳥・・・いや、あの大きさ・・・あれは・・・」
「「「ドラゴンだぁぁぁぁぁ!!!!???」」」
会場は一気に悲鳴に包まれた。
来賓客はおろか、会場を警備するべきランドールの騎士も狼狽えている。
広場に整列する騎士達もあまりの光景にただ茫然としていた。
バサァァァァァァ
ドラゴンはゆっくりと空で円を描きながら速度を落とすと、やがて羽ばたきながら広場へと着陸した。
「ド、ドラゴンの来襲だぁぁ!?」
騎士達は思わず剣を抜くが、斬りかかろうとする者はいない。あまりに巨大で狂暴な姿に、すっかり萎縮してしまっていたのだ。
そのときだ。
「申し訳ない、遅参いたしました!」
そんな彼らの前に、ドラゴンの背中から一人の男が下りて姿を現す。
「黒の騎士団ことルーデル辺境騎士団、団長代理ショウ・ルーデルただいま参上いたしました」
漆黒の鎧に身を包んだショウが、そう言って恭しくテラスに向かって礼をした。
それに合わせて黒の騎士団の面々も敬礼をする。
あまりのインパクトにその場にいた皆が目を丸くした。
実物を見たものなどほとんどいない、本物のドラゴンがいる。
しかもそれに人間が乗ってきている。
あまりに非日常的な光景に、誰もが言葉を失い、自分の目を疑った。
「は、はは・・・まさかドラゴンが・・・竜騎士が実在したとはな・・・」
実物のドラゴンどころか、伝承でしか聞いたことの無かった竜騎士がランドールにいる。それを間近に見たヒムルはすっかり腰を抜かしていた。
彼の中でランドール侵攻計画は完全に白紙になった。侵攻が失敗するどころか、祖国を丸焼けにされる恐れがあるからだ。
この建国450周年というランドールにおいて輝かしい日に、黒の騎士団はド派手な再出発をキメたことになった。ランドール国内はおろか、世界各国においてもこの話は広まることになるのである。
(はっ、恥ずかしいっっ!!)
注目を浴びるためにわざと遅参してドラゴンで参上するよう、エーペレスに強要されて泣く泣く派手な演出をしたショウは顔から火が出る思いだった。なんとか表情には現していないが、心の中では泣いていた。
ショウは注目されるのは好きではなかったのだ。
ランドール王国建国450周年記念式典。
この日は世界各国から要人が招かれ、国をあげて盛大に建国記念日が祝われる。夜に王城で開かれるパーティーなど催しは様々だ。
だが一番の肝の催しは軍事パレードである。王都の騎士団を始め、国中の貴族や辺境軍から派遣された精鋭の騎士が、城下町を行進して王城の広場に結集し、来賓客に国威を見せつけるというものだ。
ランドール王国は経済的にも軍事的にも一等国とは言い難い。隣国でもルード地方に侵略を仕掛けてきている現在敵対中のモウロはともかく、現状友好を結んでいる、王都から最短の隣国のマイク帝国などは隙を見せればいつ侵略を仕掛けて来てもおかしくはないほどの高い軍事力と侵略の歴史を持つ。
今こそは均衡を保っているが、容易く組み伏せられると見られるや否やただちに攻めてくるだろうとランドール王は考えていた。
だから建国450周年記念と称してわざわざ周辺国の要人を招待し、ランドール国の軍の精鋭を見せ威光を見せつけるというのが今回の催しの狙いであった。
そして招待された各国からの来賓客からしてみてもこの軍事パレードは大事な場であった。ランドールの推測する通り、隙あらばと考えている国はマイク帝国の他にもいくつかある。だから各国の要人に付随してきた者は、その国でも洞察力の高い軍事関係者ばかりだった。
「・・・どうだ?この国の騎士のレベルのほうは」
パレード中、行進する騎士団を見て隣国マイク帝国から派遣されてきたヒムル宰相は、自分の連れてきた将校たちに小声で問う。
「カスばかりです」
「あえて言いましょうカスであると」
カスしか言えないのか。
とヒムルは思ったが、彼らの目は確かだ。戦わずとも、細かい動きや雰囲気で軍の実力を推し量ることができる。一糸乱れぬ姿で行進して威厳を放っているようだが、自国の目の肥えた将校から見るとカスだと言う。
つまり、この国の軍事力は恐らく見た目だけで大したことはないのだろう・・・とヒムルは思った。
(本国に帰ればいよいよ本格的に侵攻を考えてもいいかもしれん)
いや、この軍事パレードを見た他の各国も同じことを考えている可能性がある。
それなら早くほうがいいかもしれない。
そう思ってヒムルは他の隣国の要人のほうに目を向けると、似たようなことを考えている顔をしていた。
(ランドールには他に『脅威』はあるが、アレについては対策はしてあるし、恐らく問題はないだろう)
やはり本国に戻ったらランドール侵攻を陛下に具申しよう。ヒムルはそう思った。
今、見えないところでランドール王国にとって未曾有の危機が迫ろうとしていた。そんなときだった。
「ん?おい、なんだあれは」
パレードを見ていた誰かが声を上げた。
ヒムルはその声につられるようにパレードに目を向ける。
「む・・・?」
数ある騎士団の中でも、ひと際目を引く存在があった。
全身黒ずくめの鎧を着込んだ騎士団がやってきたのである。
「なんだあれは・・・」
騒然、驚いたのはヒムルだけではなかった。来賓客のみならず、何やらランドール国の者も驚いている様子だった。
(自分達はともかく、どうしてランドールの者が驚いている?)
ヒムルが混乱していると
「もしかしてあれは・・・黒の騎士団?」
将校の一人が思い出したように言った。
黒の騎士団・・・!ヒムルとてその名は聞いたことがあった。モウロ王国が何代にも渡り侵略しようと領地に攻撃を仕掛けるも、その悉くを退いているという、ランドール王国最強の騎士団。
「ふむ・・・あれは、中々手ごわそうですね」
将校は顔を顰めてそう言った。
「何とかなりそうか?」
ヒムルの問いに
「手こずりそうです。かなりの損害を出すかもしれません」
将校は正直にそう言った。
「うむ、そうか」
将校の言葉を聞いて、ヒムルは特に不機嫌になるでもなく、すっぱり考えを変えて方針を転換しようと思った。
ランドール全土の侵略は、黒の騎士団をはじめとした手ごわい辺境騎士団の反撃にあって失敗に終わる可能性もある。
だが黒の騎士団がいるルード地方とは距離があるから、ランドールの王都だけ速やかに制圧したのち、ルーデルら辺境伯とは和解するというプランも用意しておこうと考えた。
それでも駄目なら仕方がない。多少の被害は出たとしてもなんとか制圧するしかない。
「しかしそれにしても目立つな・・・」
ヒムルはむしろ関心するように黒の騎士団の面々を見つめた。
「はるか東の国ではアカゾナエという、わざわざ目立つ赤い色の鎧兜を着込んで戦う者達もいたようです」
「それの類か?それにしても何か騒いでおるな・・・どうしたのか」
何やら見ていると騎士団が集まっている広場では何か騒いでいるようであった。
どうやら黒の騎士団に問題があったようである。
「おや・・・黒の騎士団は・・・騎士団長がいないみたいですね」
隊列を見て、本来いるべきその存在がいないことに将校は気付いたようだ。
「なんだそれは。遅刻かね?」
「まぁ・・・あり得ない話ですな」
「なんたる緩みっぷり。戦ってみれば案外大したことはないのではないかね?」
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誰かが空を見上げて声を上げた。
その場にいた全員が一斉に空を見上げるとそこには見たこともないような形をした鳥が飛んでいた。
「・・・なんだあの鳥は?見たことがないな」
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会場は一気に悲鳴に包まれた。
来賓客はおろか、会場を警備するべきランドールの騎士も狼狽えている。
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バサァァァァァァ
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「ド、ドラゴンの来襲だぁぁ!?」
騎士達は思わず剣を抜くが、斬りかかろうとする者はいない。あまりに巨大で狂暴な姿に、すっかり萎縮してしまっていたのだ。
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実物を見たものなどほとんどいない、本物のドラゴンがいる。
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実物のドラゴンどころか、伝承でしか聞いたことの無かった竜騎士がランドールにいる。それを間近に見たヒムルはすっかり腰を抜かしていた。
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この建国450周年というランドールにおいて輝かしい日に、黒の騎士団はド派手な再出発をキメたことになった。ランドール国内はおろか、世界各国においてもこの話は広まることになるのである。
(はっ、恥ずかしいっっ!!)
注目を浴びるためにわざと遅参してドラゴンで参上するよう、エーペレスに強要されて泣く泣く派手な演出をしたショウは顔から火が出る思いだった。なんとか表情には現していないが、心の中では泣いていた。
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