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フラグその1 兄の不貞とその処分
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これは王城で起きた「冤罪」より3ヵ月前。
----------
俺は重苦しい空気で満たされた部屋のソファにどっかりと腰を下ろし、大きく大きく溜め息をついた。本日何度目かの渾身のクソデカ溜め息。
溜め息の原因は下座である対面のソファに縮こまるように座る俺の実兄リュート・・・と、その隣に座る母エリナだ。
俺の名はショウ・ルーデル。ここルード地方を治めるルーデル辺境伯家の嫡男つまり次期当主。
俺はこれから次期当主として、実の兄を断罪しなければならない。
何故なら兄が婚約者がいる身でありながら、先日不貞を働いてしまい、それがバレてこちらが有責の婚約破棄となったからである。それだけならまだいいが、その後の対応にも問題がありこうして俺の頭を痛めることとなった。
「さて、何から話したらいいか・・・」
あまりの情けなさに気が抜けて頭が回らない。
「そ、そのっ・・・」
これまで震えていた兄リュートがここでようやく口を開いた。正面から俺の顔を見据えてはいるが、どこか目が泳いでいた。
「す、すす・・・」
何かを言おうとしているのだが、口ごもって言葉にならない。言えないのか、言いたくないのか、両方なのかはわからない。
「リュート、しっかりなさい。大丈夫、私がついてます」
そんなリュートを見かねて母がそっと横からリュートの手を握った。
「は、母上・・・」
リュートはそんな母の優しさに感極まったのか、目に涙を浮かべて震え出す。
「す、す、すみませんでしたぁ~~~」
そしてついに崩壊。ボロボロと目から涙を吹きながら、手を握ってくれている母の肩に頭を埋めて彼は謝罪の言葉を口にした。
おい、こっちを見ろ!お前が謝罪する相手は俺だぞ!
俺はそう言いたかったが、母は優しくリュートの頭を撫で
「全く、仕方のない子ね」
などと優しく言葉をかける。
「母上~ うっ、うっ、ぐすっ すみません母上~~」
リュートは声を上げて泣いた。
羨ましいなぁ俺も声を上げて泣きたい。
今日、この場は兄リュートの断罪の場として用意されている。そして本来なら母も俺と同じ側の人間として、リュートを叱責するべきはずである。
だが、母は最初からリュートの隣に座り、あくまであっち側として俺から守ろうという姿勢を見せた。
分かってはいたことだが、実際にこうして目にするとあまりに情けなくて力が抜ける。
そして兄リュートが20歳にもなって子供のように泣きわめき母に甘える姿を見るのも、これまた情けなくて涙が出そうだ。
「リュート様」
俺が呆れ返って言葉も出せないでいると、俺の後ろに立っていた家令であるオミトが低くドスの効いた声を発した。その声に反応してリュートも母もビクッと反応し、部屋に轟いていた鳴き声が止む。
「謝罪する相手を間違っているのでは?今謝罪すべき相手はエリナ様ではありません」
そう言うオミトから真っすぐに見つめられ、リュートは「あっ」と小さく声を洩らしてバツが悪そうに目を伏せた。
オミトは50歳になる元騎士だ。戦場で左目を失い眼帯をつけている強面で、声にも圧がありリュートは昔からオミトのことを怖がっていた。俺はなんてことはないのだが。
「オミト。リュートは既に何度も私に頭を下げ、謝罪の言葉を述べました。これ以上は酷というものです。もう良いではありませんか」
オミトの言葉に母が異を唱えた。
それを聞いてリュートは「母上・・・」と涙目でまた縋ろうとするが
「リュート様」
と、オミトが更にドスを効かせて名を呼ぶと、慌てて俺の方へ向き直った。
「そ、その・・・」
もう一度、俺に謝ろうとするリュート。それでもやはり謝りたくないのか、逡巡するものの
「す、すまなかった・・・」
ここでようやく、ようやく俺に頭を下げて謝罪した。嫌々という風ではあるが、オミトが恐ろしいらしく、ようやく折れたという感じだ。
まぁ実際兄が下座から弟に頭を下げて謝罪をするなど、彼のような普段はプライド高い人間からすると嫌だろう。
だが、けじめはつけてもらわなければならない。これは決して有耶無耶にするわけにはいかないのだ。何しろリュートの不義で俺は大層迷惑を被っているのだから。
事の発端はリュートの不貞だ。
リュートは王都のルフト公爵家の現在17歳の令嬢と婚約を結んでおり、彼女が来年18歳になり成人したときに婚姻を結び、婿入りすることになっていた。
だが、リュートはその王都で町娘に声をかけられ、誘いに乗って連れ込み宿に行って情事にふけってしまった。それをたまたま通りかかった婚約者である公爵令嬢の侍女に目撃されてしまったのである。
リュートは令嬢にこれを問い詰められると、取り繕うこともせず泣いてその場で認めてしまった。潔いといえば潔いが、これは両家にとって大きな婚約話だったのだ。もう少し腹芸を見せることはできなかったのか。しかも泣いてしまったなどと。とんだ失態である・・・情けない。
不貞した事実もさることながら、その場で見せたリュートの失態によりすっかり公爵令嬢に幻滅されてしまったことから、即座に婚約破棄という運びになってしまった。
そして問題は続く。
全面的にリュートの有責となる婚約破棄となることで、ルーデル家に莫大な賠償金を請求されることになる。それは仕方がないのだが、その対応については俺が出るのでリュートは一旦何もするなと厳命しておいたのにも関わらず、彼は「自ら誠意を見せたい」と言い出して単身公爵家に乗り込み、賠償金を速やかに一括で支払うと誓約書にサインをしてしまった。これが問題だった。
「これについては俺が出るから、何もするなと言ったでしょうが!兄上が誠意を見せてぇのは結構ですが、お陰でこっちの段取りが全部台無しになったんですよ」
思い出すだけでもイライラしてしまい、つい語気が荒くなる。
「・・・だ、だが、全面的に私が悪いのだから、私自身が出向いて誠意をもって謝罪し、話をまとめるのが当然であろう」
いくらか調子が戻ってきたのか、リュートは反論してきた。
「んなわけねぇでしょうが。政略結婚、家同士の結婚なんです。家長でもない兄上が、安い頭を下げて終わりってわけにはいかねぇんですよ!」
「なっ・・・」
俺の言葉にリュートは絶句した。あ、つい言い過ぎちゃったか?でも事実だしなぁ。
兄上の勇み足ですっかり賠償についての誓約書を取られてしまったが、残念なことにこれで終わりではない。この後は俺が王都のルフト公爵家に行って謝罪に行かねば終わらないのだ。
おーおー、すっかり顔に怒りなんて滲ませちゃって。さっきまで鼻垂れて泣いてた奴と同じとは思えない。
「お前だってまだ家督を継いだわけではないだろうが!」
リュートが激昂した。
確かにまだ成人していないので俺は正式に家督を継いでいない。だが先代・・・父上の遺言があり、成人を迎えると次男である俺が自動的にルーデル家を継ぐことが決まっている。俺の成人まで辺境伯は母エリナが代行として務めているが、実務は俺がオミト達にフォローされながらこなしているのが実情であった。
つまり、現段階で実質的に俺が家長・・・辺境伯なのだ。
代行の母上もそれはわかっているので、今回ばかりはリュートに加勢することなく黙って俯いていた。というかわかっていないのはリュートくらいだ。我が兄ながら情けない。
「大体なんだ!兄に向かって上から目線で!!」
リュートなりに溜めこんでいたものがあったのか、あれこれ喚き散らしてくる。俺がどう言っても反発しそうだが、どうしたものかと頭を抱えていると、うぉっほん、と少々わざとらしい大袈裟な咳払いをしてオミトが流れをぶった切った。
「リュート様」
先ほどまでのドスが効いた感じではなく、穏やかな口調でオミトがリュートの名を呼んだ。
「今現在の実質的な家長はショウ様です。一方で今の貴方はこちらにとって己の身勝手で辺境伯家を陥れようとしている罪人です。対等どころか今、貴方はショウ様より断罪される立場であることを理解されたほうがよろしいかと」
オミトは諭すようにあくまで口調は優しくそう言った。まるで子供をあやすように。
リュートは顔を真っ赤にして震え出す。癇癪起こすか?と思ったときだった。
「リュート!」
母がリュートの名を叫んだ。
「大人しく受け入れなさい」
心を押し殺し、耐えがたきを耐えて耐えて絞り出すような声で母は言った。その剣幕に圧され、リュートはヘナヘナと力なく頷いた。
やれやれ、次の話に進めるとするか。
「賠償金に関しましては、遺憾ながら誓約書通りに即金で支払われました。これにて公爵家に支払う賠償金に関しては終わりです。ですが・・・」
ここではーっと、溜め息をつく。
「額が額なので領地運営に影響が出ることは必至です。生半可な罰では示しがつきませんので、兄上には重い処罰を与えなければなりません」
こうならないためにもリュートには動くなと言ったのだが、彼自身がそれをフイにした。自業自得だ。
「なんだって・・・?」
リュートが目を見張る。
何だってじゃねーよ軽い罰かと思ったのかよ。
我が辺境伯家は決して財政は余裕があると言えない状態だ。その金庫に大穴空けといてタダで済むと思うなよ。
俺は淡々とオミトと話合って決めたリュートの処罰の内容を告げた。
リュートも母もそれはもう盛大に噛みついてきたが最後には黙らせた。リュートにとっては重い罰になるだろうが、それ以上にこちらは多大な損失と迷惑を被ったのだ。
----------
「はーっ・・・」
俺は執務室の椅子にどっかりと腰を掛け、本日またまた何度目かわからない盛大な溜め息をつく。
ようやく、ようやく一つの難関が終わったという解放感でドッと体に疲れが襲ってきた。
「お疲れ様でした、若」
そう言って侍女が煎れたての紅茶を俺の目の前に置いてくれた。
「処分を言い渡してから・・・2時間だっけか?大分粘られたな」
時計を見ながら俺は呟くように言った。こうしていても俺にしがみついてくるリュートの姿が今でも脳裏に思い浮かんでしまう。
「1か月の謹慎並びに1年間の社交界への参加の禁止。王都の別邸の改築計画の白紙。賠償金の一部を月々一定額返済。これらを一度でも破った場合はルーデル家から追放とし、2度とルーデルの名を名乗らせない。重いと言いつついくらか軽く済ませましたな」
オミトが言ったのは俺がリュートに突きつけた処罰の内容だ。
彼はそう言うが、プライドが高いリュートにしてみれば苦痛で仕方がないはずだ。実際にどうにか譲歩できないかと俺にしつこく長時間に渡り迫ってきた。もちろん一切譲歩せず跳ねのけたが。
謹慎はもちろん、社交界への参加の1年間の禁止・・・これはリュートのためでもある。彼の婚約破棄については既に社交界ですっかり話が広まりきってしまっているので、当面は姿を隠してほとぼりが冷めるのを待つほうがいいだろう。
リュートが「私に社交界で孤立しろというのか!?」と、わけのわからないことを言っていた。
A.公爵家と揉めた段階でもう既にほとんど孤立してるんだよなぁ・・・なお今社交界に参加しようものなら悪化する模様。
またリュートは王都にあるルーデル家の別邸に住んでいるが、そこを近々改築したいと言われていた。
母は俺が家督を継いだらこの家を離れ、その別邸に住む予定だったので母も乗り気だった。
知人を呼んでパーティーをする際にも恥ずかしくないようにと、実にいい金額の見積もりを突きつけられて俺も難色を示していたのだが、無論今回のことで白紙にすることにした。改築にかかるはずだった費用を賠償金の一部に充てるためだ。それでも全然全く足りないけど。
リュートは「既に友人に自慢してしまっているのだぞ!」と、わけのわからないことを言っていた。
A.今のリュートの招待を受けてくれるような友人がいるのか?
・・・で、あとは当然ながら賠償金の一部をリュートの生涯をかけて月々返済していただく。これにより今回しでかしたことを忘れずに、常に初心に戻る気持ちでいてもらいたいということだ。
これについてもリュートは「私にずっとこの屈辱を覚えていろと言うのか!?」と、わけのわからないことを言っていた。
A.そうだよ!
リュートはそのどれも耐えがたいだったようだ。
最後にはオミトの圧もあって渋々頷いたが、俺を睨むその目はまるで親の仇を見るようなそれであった。
俺だって実際に実兄を処罰するなんてことしたくなかったわ。
本当はそれをしなくてもいいように立ち回るはずだった。
実はリュートと婚約していたルフト公爵令嬢は、男性関係にやや奔放であるという情報を俺は遥か前から掴み、実際に証拠も手に入れていた。リュートが粗相をして婚約破棄になる可能性(まぁ実際にそうなったが)を考え、賠償金の減額の交渉材料にするための備えであった。
だが、その備えはリュートの勇み足によって効果を発揮することなく使う機会を失った。賠償金について公爵家が請求するだけの金額を支払う旨について誓約書を書いてしまった上に、噂も広まりきってしまった後では公爵令嬢のスキャンダルの証拠を突きつけて撤回させるのには相当に骨が折れる。その過程で泥沼合戦となれば必要以上に公爵家との摩擦を生んでしまう可能性が高い。
結局リュート本人のせいとはいえ、彼の尻ぬぐいをしつつ盛大に正面から実兄と衝突するという貧乏くじを引くはめになった。
別に必要以上にリュートと仲良くしようとは思わないが、それでも実母や実兄と禍根を残したくもなかったのに。
だがまぁいい、今は他に考えるべきことがある。
「とりあえずリュートについては話今日は終わったが、アレについては一応調査は続けてくれるかい?気になって仕方がねーや」
そう言って俺は紅茶に口を付ける。
「はい、若。今のところはまだ見つかってはいませんが、全力でやらせています」
俺はオミトの返事を聞きながら、なんとなく窓の外に視線を移す。
「リュートと寝たはずの町娘が行方不明・・・ねぇ」
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俺は重苦しい空気で満たされた部屋のソファにどっかりと腰を下ろし、大きく大きく溜め息をついた。本日何度目かの渾身のクソデカ溜め息。
溜め息の原因は下座である対面のソファに縮こまるように座る俺の実兄リュート・・・と、その隣に座る母エリナだ。
俺の名はショウ・ルーデル。ここルード地方を治めるルーデル辺境伯家の嫡男つまり次期当主。
俺はこれから次期当主として、実の兄を断罪しなければならない。
何故なら兄が婚約者がいる身でありながら、先日不貞を働いてしまい、それがバレてこちらが有責の婚約破棄となったからである。それだけならまだいいが、その後の対応にも問題がありこうして俺の頭を痛めることとなった。
「さて、何から話したらいいか・・・」
あまりの情けなさに気が抜けて頭が回らない。
「そ、そのっ・・・」
これまで震えていた兄リュートがここでようやく口を開いた。正面から俺の顔を見据えてはいるが、どこか目が泳いでいた。
「す、すす・・・」
何かを言おうとしているのだが、口ごもって言葉にならない。言えないのか、言いたくないのか、両方なのかはわからない。
「リュート、しっかりなさい。大丈夫、私がついてます」
そんなリュートを見かねて母がそっと横からリュートの手を握った。
「は、母上・・・」
リュートはそんな母の優しさに感極まったのか、目に涙を浮かべて震え出す。
「す、す、すみませんでしたぁ~~~」
そしてついに崩壊。ボロボロと目から涙を吹きながら、手を握ってくれている母の肩に頭を埋めて彼は謝罪の言葉を口にした。
おい、こっちを見ろ!お前が謝罪する相手は俺だぞ!
俺はそう言いたかったが、母は優しくリュートの頭を撫で
「全く、仕方のない子ね」
などと優しく言葉をかける。
「母上~ うっ、うっ、ぐすっ すみません母上~~」
リュートは声を上げて泣いた。
羨ましいなぁ俺も声を上げて泣きたい。
今日、この場は兄リュートの断罪の場として用意されている。そして本来なら母も俺と同じ側の人間として、リュートを叱責するべきはずである。
だが、母は最初からリュートの隣に座り、あくまであっち側として俺から守ろうという姿勢を見せた。
分かってはいたことだが、実際にこうして目にするとあまりに情けなくて力が抜ける。
そして兄リュートが20歳にもなって子供のように泣きわめき母に甘える姿を見るのも、これまた情けなくて涙が出そうだ。
「リュート様」
俺が呆れ返って言葉も出せないでいると、俺の後ろに立っていた家令であるオミトが低くドスの効いた声を発した。その声に反応してリュートも母もビクッと反応し、部屋に轟いていた鳴き声が止む。
「謝罪する相手を間違っているのでは?今謝罪すべき相手はエリナ様ではありません」
そう言うオミトから真っすぐに見つめられ、リュートは「あっ」と小さく声を洩らしてバツが悪そうに目を伏せた。
オミトは50歳になる元騎士だ。戦場で左目を失い眼帯をつけている強面で、声にも圧がありリュートは昔からオミトのことを怖がっていた。俺はなんてことはないのだが。
「オミト。リュートは既に何度も私に頭を下げ、謝罪の言葉を述べました。これ以上は酷というものです。もう良いではありませんか」
オミトの言葉に母が異を唱えた。
それを聞いてリュートは「母上・・・」と涙目でまた縋ろうとするが
「リュート様」
と、オミトが更にドスを効かせて名を呼ぶと、慌てて俺の方へ向き直った。
「そ、その・・・」
もう一度、俺に謝ろうとするリュート。それでもやはり謝りたくないのか、逡巡するものの
「す、すまなかった・・・」
ここでようやく、ようやく俺に頭を下げて謝罪した。嫌々という風ではあるが、オミトが恐ろしいらしく、ようやく折れたという感じだ。
まぁ実際兄が下座から弟に頭を下げて謝罪をするなど、彼のような普段はプライド高い人間からすると嫌だろう。
だが、けじめはつけてもらわなければならない。これは決して有耶無耶にするわけにはいかないのだ。何しろリュートの不義で俺は大層迷惑を被っているのだから。
事の発端はリュートの不貞だ。
リュートは王都のルフト公爵家の現在17歳の令嬢と婚約を結んでおり、彼女が来年18歳になり成人したときに婚姻を結び、婿入りすることになっていた。
だが、リュートはその王都で町娘に声をかけられ、誘いに乗って連れ込み宿に行って情事にふけってしまった。それをたまたま通りかかった婚約者である公爵令嬢の侍女に目撃されてしまったのである。
リュートは令嬢にこれを問い詰められると、取り繕うこともせず泣いてその場で認めてしまった。潔いといえば潔いが、これは両家にとって大きな婚約話だったのだ。もう少し腹芸を見せることはできなかったのか。しかも泣いてしまったなどと。とんだ失態である・・・情けない。
不貞した事実もさることながら、その場で見せたリュートの失態によりすっかり公爵令嬢に幻滅されてしまったことから、即座に婚約破棄という運びになってしまった。
そして問題は続く。
全面的にリュートの有責となる婚約破棄となることで、ルーデル家に莫大な賠償金を請求されることになる。それは仕方がないのだが、その対応については俺が出るのでリュートは一旦何もするなと厳命しておいたのにも関わらず、彼は「自ら誠意を見せたい」と言い出して単身公爵家に乗り込み、賠償金を速やかに一括で支払うと誓約書にサインをしてしまった。これが問題だった。
「これについては俺が出るから、何もするなと言ったでしょうが!兄上が誠意を見せてぇのは結構ですが、お陰でこっちの段取りが全部台無しになったんですよ」
思い出すだけでもイライラしてしまい、つい語気が荒くなる。
「・・・だ、だが、全面的に私が悪いのだから、私自身が出向いて誠意をもって謝罪し、話をまとめるのが当然であろう」
いくらか調子が戻ってきたのか、リュートは反論してきた。
「んなわけねぇでしょうが。政略結婚、家同士の結婚なんです。家長でもない兄上が、安い頭を下げて終わりってわけにはいかねぇんですよ!」
「なっ・・・」
俺の言葉にリュートは絶句した。あ、つい言い過ぎちゃったか?でも事実だしなぁ。
兄上の勇み足ですっかり賠償についての誓約書を取られてしまったが、残念なことにこれで終わりではない。この後は俺が王都のルフト公爵家に行って謝罪に行かねば終わらないのだ。
おーおー、すっかり顔に怒りなんて滲ませちゃって。さっきまで鼻垂れて泣いてた奴と同じとは思えない。
「お前だってまだ家督を継いだわけではないだろうが!」
リュートが激昂した。
確かにまだ成人していないので俺は正式に家督を継いでいない。だが先代・・・父上の遺言があり、成人を迎えると次男である俺が自動的にルーデル家を継ぐことが決まっている。俺の成人まで辺境伯は母エリナが代行として務めているが、実務は俺がオミト達にフォローされながらこなしているのが実情であった。
つまり、現段階で実質的に俺が家長・・・辺境伯なのだ。
代行の母上もそれはわかっているので、今回ばかりはリュートに加勢することなく黙って俯いていた。というかわかっていないのはリュートくらいだ。我が兄ながら情けない。
「大体なんだ!兄に向かって上から目線で!!」
リュートなりに溜めこんでいたものがあったのか、あれこれ喚き散らしてくる。俺がどう言っても反発しそうだが、どうしたものかと頭を抱えていると、うぉっほん、と少々わざとらしい大袈裟な咳払いをしてオミトが流れをぶった切った。
「リュート様」
先ほどまでのドスが効いた感じではなく、穏やかな口調でオミトがリュートの名を呼んだ。
「今現在の実質的な家長はショウ様です。一方で今の貴方はこちらにとって己の身勝手で辺境伯家を陥れようとしている罪人です。対等どころか今、貴方はショウ様より断罪される立場であることを理解されたほうがよろしいかと」
オミトは諭すようにあくまで口調は優しくそう言った。まるで子供をあやすように。
リュートは顔を真っ赤にして震え出す。癇癪起こすか?と思ったときだった。
「リュート!」
母がリュートの名を叫んだ。
「大人しく受け入れなさい」
心を押し殺し、耐えがたきを耐えて耐えて絞り出すような声で母は言った。その剣幕に圧され、リュートはヘナヘナと力なく頷いた。
やれやれ、次の話に進めるとするか。
「賠償金に関しましては、遺憾ながら誓約書通りに即金で支払われました。これにて公爵家に支払う賠償金に関しては終わりです。ですが・・・」
ここではーっと、溜め息をつく。
「額が額なので領地運営に影響が出ることは必至です。生半可な罰では示しがつきませんので、兄上には重い処罰を与えなければなりません」
こうならないためにもリュートには動くなと言ったのだが、彼自身がそれをフイにした。自業自得だ。
「なんだって・・・?」
リュートが目を見張る。
何だってじゃねーよ軽い罰かと思ったのかよ。
我が辺境伯家は決して財政は余裕があると言えない状態だ。その金庫に大穴空けといてタダで済むと思うなよ。
俺は淡々とオミトと話合って決めたリュートの処罰の内容を告げた。
リュートも母もそれはもう盛大に噛みついてきたが最後には黙らせた。リュートにとっては重い罰になるだろうが、それ以上にこちらは多大な損失と迷惑を被ったのだ。
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「はーっ・・・」
俺は執務室の椅子にどっかりと腰を掛け、本日またまた何度目かわからない盛大な溜め息をつく。
ようやく、ようやく一つの難関が終わったという解放感でドッと体に疲れが襲ってきた。
「お疲れ様でした、若」
そう言って侍女が煎れたての紅茶を俺の目の前に置いてくれた。
「処分を言い渡してから・・・2時間だっけか?大分粘られたな」
時計を見ながら俺は呟くように言った。こうしていても俺にしがみついてくるリュートの姿が今でも脳裏に思い浮かんでしまう。
「1か月の謹慎並びに1年間の社交界への参加の禁止。王都の別邸の改築計画の白紙。賠償金の一部を月々一定額返済。これらを一度でも破った場合はルーデル家から追放とし、2度とルーデルの名を名乗らせない。重いと言いつついくらか軽く済ませましたな」
オミトが言ったのは俺がリュートに突きつけた処罰の内容だ。
彼はそう言うが、プライドが高いリュートにしてみれば苦痛で仕方がないはずだ。実際にどうにか譲歩できないかと俺にしつこく長時間に渡り迫ってきた。もちろん一切譲歩せず跳ねのけたが。
謹慎はもちろん、社交界への参加の1年間の禁止・・・これはリュートのためでもある。彼の婚約破棄については既に社交界ですっかり話が広まりきってしまっているので、当面は姿を隠してほとぼりが冷めるのを待つほうがいいだろう。
リュートが「私に社交界で孤立しろというのか!?」と、わけのわからないことを言っていた。
A.公爵家と揉めた段階でもう既にほとんど孤立してるんだよなぁ・・・なお今社交界に参加しようものなら悪化する模様。
またリュートは王都にあるルーデル家の別邸に住んでいるが、そこを近々改築したいと言われていた。
母は俺が家督を継いだらこの家を離れ、その別邸に住む予定だったので母も乗り気だった。
知人を呼んでパーティーをする際にも恥ずかしくないようにと、実にいい金額の見積もりを突きつけられて俺も難色を示していたのだが、無論今回のことで白紙にすることにした。改築にかかるはずだった費用を賠償金の一部に充てるためだ。それでも全然全く足りないけど。
リュートは「既に友人に自慢してしまっているのだぞ!」と、わけのわからないことを言っていた。
A.今のリュートの招待を受けてくれるような友人がいるのか?
・・・で、あとは当然ながら賠償金の一部をリュートの生涯をかけて月々返済していただく。これにより今回しでかしたことを忘れずに、常に初心に戻る気持ちでいてもらいたいということだ。
これについてもリュートは「私にずっとこの屈辱を覚えていろと言うのか!?」と、わけのわからないことを言っていた。
A.そうだよ!
リュートはそのどれも耐えがたいだったようだ。
最後にはオミトの圧もあって渋々頷いたが、俺を睨むその目はまるで親の仇を見るようなそれであった。
俺だって実際に実兄を処罰するなんてことしたくなかったわ。
本当はそれをしなくてもいいように立ち回るはずだった。
実はリュートと婚約していたルフト公爵令嬢は、男性関係にやや奔放であるという情報を俺は遥か前から掴み、実際に証拠も手に入れていた。リュートが粗相をして婚約破棄になる可能性(まぁ実際にそうなったが)を考え、賠償金の減額の交渉材料にするための備えであった。
だが、その備えはリュートの勇み足によって効果を発揮することなく使う機会を失った。賠償金について公爵家が請求するだけの金額を支払う旨について誓約書を書いてしまった上に、噂も広まりきってしまった後では公爵令嬢のスキャンダルの証拠を突きつけて撤回させるのには相当に骨が折れる。その過程で泥沼合戦となれば必要以上に公爵家との摩擦を生んでしまう可能性が高い。
結局リュート本人のせいとはいえ、彼の尻ぬぐいをしつつ盛大に正面から実兄と衝突するという貧乏くじを引くはめになった。
別に必要以上にリュートと仲良くしようとは思わないが、それでも実母や実兄と禍根を残したくもなかったのに。
だがまぁいい、今は他に考えるべきことがある。
「とりあえずリュートについては話今日は終わったが、アレについては一応調査は続けてくれるかい?気になって仕方がねーや」
そう言って俺は紅茶に口を付ける。
「はい、若。今のところはまだ見つかってはいませんが、全力でやらせています」
俺はオミトの返事を聞きながら、なんとなく窓の外に視線を移す。
「リュートと寝たはずの町娘が行方不明・・・ねぇ」
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誰もパーティを組んでくれないのなら、多少遠回りになるが、育て上げた新人とパーティを組みSランクを目指そう。
そう思い提案を受け、新人とパーティを組み心機一転を図るアンリ。だが彼の元に来た新人は。
モンスターに追いかけ回されて泣き出すタンク。
拳に攻撃魔法を乗せて戦う殴りマジシャン。
ケガに対して、気合いで治せと無茶振りをする体育会系ヒーラー。
どいつもこいつも一癖も二癖もある問題児に頭を抱えるアンリだが、彼は持ち前の万能っぷりで次々と問題を解決し、仲間たちとSランクを目指してランクを上げていった。
彼が新人教育に頭を抱える一方で、彼を追放したパーティは段々とパーティ崩壊の道を辿ることになる。彼らは気付いていなかった、アンリが近接、遠距離、補助、“それ以外”の全てを1人でこなしてくれていた事に。
※ 人間、エルフ、獣人等の複数ヒロインのハーレム物です。
※ 小説家になろうさんでも投稿しております。面白いと感じたらそちらもブクマや評価をしていただけると励みになります。
※ イラストはどろねみ先生に描いて頂きました。
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
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《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
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