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起死回生

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肉団子となった巨大なアリスを俺の魔術やディオを剣技で削り取るも、なんてことはない、アリスは蚊に刺されたほどのダメージもないらしく、平然としていた。


「やはり本体アリスをやらねば意味がないか」


いつもクールな態度を崩さないディオが、珍しく苦虫を噛み潰したような顔をする。
そう、巨大な肉団子になりつつも今だ上半身のみを露出しているアリスそのものを討つのが効率的とは最初から思っていたのだが、肉団子が膨れに膨れ魔王山より大きくなったその巨体のお陰で、今ではアリスの姿はこちらからは豆粒大以下にしか見えないほど離れてしまっている。
この状態ではアリスに近づこうにも簡単に近づけなかった。アリスに向かおうにも、肉団子となった魔族達はいまだに意思を有しているらしく、向かう俺達を熾烈な攻撃で阻もうとする。俺達は肉団子となった魔族を足場にして進まなければならないため、ただ魔物と戦いながらアリスの元に向かうのと違い、危険度が半端なく高くなっているのだ。


「まだ大きくなっているのか・・・!」


そして困ったことにアリスはまだ魔族を吸収するのをやめる気がないらしく、肉団子が今なお膨れ上がっていく。
魔族を足場にしてアリスに近づこうとしたときも、うっかり気を抜くと肉団子に俺達すら吸収されそうになるのだ。
肉団子はそれそのものが巨大な城なのではと思うほどに成長した。
俺達がどれだけ削ろうともそれ以上にアリスは魔物を取り込むのだ。それはろくに頭脳を持たない雑食の肥えた獣のようであった。
ていうかあんなキモイ姿になってでも生き延びたいかよ・・・幻滅だわ姫様。


「レイツォの魔術で焼き払えないか?」


ディオが珍しく俺の力を頼ってくる。それ自体珍しいことなので俺は口元を思わず綻ばせてしまったが、出てくる答えは渋いものだ。


「無理だ。大きすぎてどれだけ強大な魔術をぶつけたところで焼け石に水だろう。一か八かでアリスに突撃して、あれを直接打つしか・・・」


自分でそこまで言ってみて、俺は一つの可能性に気が付いた。
もしかしたら、肉団子を吹き飛ばすことくらいは出来るかもしれない、その可能性に。

いや、だが、それをやるべきなのか?他に手はないのか?俺は考える。
隣にいるディオを見る。
流石にまだディオには名案が思い浮かんでいないようで、どうにかアリス本体へ突っ込める隙を伺っていた。
なるほど、まだディオもこの状況をどうするか考えあぐねているか。

ならば、やるべきことは一つしかあるまい。俺はニヤリとほくそ笑んだ。
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