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災難 ~ウラエヌス目線~
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失うものがありながらも魔王を倒してきた我々は一先ず報告のためにルーチェ城へやってきた。
国王は報告を聞いて微妙な表情を浮かべたが、それでもわしらを気遣い城で休めと言ってくれた。ディオは騎士団と話合い、明日には姫の捜索をするようだ。魔王がいないのなら、ディオもついていることだし捜索隊にわしが加わるまでもあるまい。また元の生活に戻るとしようか。
わしはそんなことを考えながら与えられた客室の上等なベッドで横になっていた。
しかし尿意が近いわしはトイレを探しに部屋を出る。歳をとるといかんのぅ~ 10年ほど前にまだ冒険者をやっていた頃は年甲斐もなくパーティーの若い子をバンバン頂いちゃったりして「ウラエヌスさん凄い~全然まだ若い~」などと言わせていたものなのだが。
「ファッ!?」
トイレを済ませ、少しばかり部屋に戻るのに迷っていると、そこでわしはとんでもないものを見つけてしまった。
それは玉座の間でディオが国王を斬り伏している場面だった。うぇぇ、モロに見てしまったわい気持ち悪い。
国王を見ると腸をぶちまけて床に血だまりを作って動かなくなっている。完全に死んでいるのがわかった。わしでも治すことの出来ぬ即死だった。
「一体どうしたんじゃディオ!」
わしに襲い掛かってこないよね?恐る恐る近づいてディオに呼びかける。ディオは何やら放心していて持つ剣を床に落としていた。明らかに普通の状態ではなかった。てっきり最初は義父である国王と仲が悪いのかのぅなどと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
そこでわしは聞いた。魔王がいたと。すぐそこに魔王がいて、それを倒したら一瞬で姿を消し、そこには代わりに国王の死体があったと。
「幻覚魔術か?」
わしも知っている高度で禁忌なる魔術が頭に思い浮かんだ。昔怖いもの知らずだったわしも、女の子にちょっと悪戯したくて覚えようとしたことがあった。だが、あまりに高度であり消費する魔力量も莫大であるために使いこなせる気がしなかったので諦めたのだった。
ディオは恐らくその幻覚魔術にかかっていたのではないかとわしは推理した。しかし誰が?
そんな風に考えを巡らせているとき、衛兵がやってきた。わしは慌てて起きたことを説明しようとすると
「貴様らが王を殺したのか!」
早とちりした兵がわしも共犯だと決めつけた。
馬鹿な!やったのはディオだけじゃ!わしは無関係じゃと説明したが聞く耳を持たず、わしは拘束されてしまった。寝ぼけた老人のふりをして無関係を装おうとしたが駄目だった。
こうしてわしはディオと仲良く牢にぶち込まれてしまった。
国王は報告を聞いて微妙な表情を浮かべたが、それでもわしらを気遣い城で休めと言ってくれた。ディオは騎士団と話合い、明日には姫の捜索をするようだ。魔王がいないのなら、ディオもついていることだし捜索隊にわしが加わるまでもあるまい。また元の生活に戻るとしようか。
わしはそんなことを考えながら与えられた客室の上等なベッドで横になっていた。
しかし尿意が近いわしはトイレを探しに部屋を出る。歳をとるといかんのぅ~ 10年ほど前にまだ冒険者をやっていた頃は年甲斐もなくパーティーの若い子をバンバン頂いちゃったりして「ウラエヌスさん凄い~全然まだ若い~」などと言わせていたものなのだが。
「ファッ!?」
トイレを済ませ、少しばかり部屋に戻るのに迷っていると、そこでわしはとんでもないものを見つけてしまった。
それは玉座の間でディオが国王を斬り伏している場面だった。うぇぇ、モロに見てしまったわい気持ち悪い。
国王を見ると腸をぶちまけて床に血だまりを作って動かなくなっている。完全に死んでいるのがわかった。わしでも治すことの出来ぬ即死だった。
「一体どうしたんじゃディオ!」
わしに襲い掛かってこないよね?恐る恐る近づいてディオに呼びかける。ディオは何やら放心していて持つ剣を床に落としていた。明らかに普通の状態ではなかった。てっきり最初は義父である国王と仲が悪いのかのぅなどと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
そこでわしは聞いた。魔王がいたと。すぐそこに魔王がいて、それを倒したら一瞬で姿を消し、そこには代わりに国王の死体があったと。
「幻覚魔術か?」
わしも知っている高度で禁忌なる魔術が頭に思い浮かんだ。昔怖いもの知らずだったわしも、女の子にちょっと悪戯したくて覚えようとしたことがあった。だが、あまりに高度であり消費する魔力量も莫大であるために使いこなせる気がしなかったので諦めたのだった。
ディオは恐らくその幻覚魔術にかかっていたのではないかとわしは推理した。しかし誰が?
そんな風に考えを巡らせているとき、衛兵がやってきた。わしは慌てて起きたことを説明しようとすると
「貴様らが王を殺したのか!」
早とちりした兵がわしも共犯だと決めつけた。
馬鹿な!やったのはディオだけじゃ!わしは無関係じゃと説明したが聞く耳を持たず、わしは拘束されてしまった。寝ぼけた老人のふりをして無関係を装おうとしたが駄目だった。
こうしてわしはディオと仲良く牢にぶち込まれてしまった。
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