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終焉

反動

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それは突然に起こった。


「むっ、な、なんだ一体・・・!」


神都を囲むユーライ国軍は、突然やってきた地震に驚いた。
神都は、いやサンクレアの国土は少なくとも歴史上ただの一度とて地震が起きたという記録はなかった。
地震に限らずあらゆる天災とは無縁で、それゆえに「神の加護がある地」として世界中から人が集うようになったのだ。

だから突然に神都周域で発生した地震に、ユーライ国軍のみならず神都にいる人間が誰もが驚愕し、悲鳴を上げて地面に伏せだした。


「一体何があったというのだ!神は、神の加護はっ!?」


神都にいる信徒達は、今は亡きものとなっている女神ラビスに祈りをささげた。
しかし、そんなことをしても地震が収まるはずもない。むしろ地震は激しさを増していき、ついには地割れが起き始めた。


「さ、下がれ!下がれぇぇ!!」


神都を囲んでいたユーライ国軍は、地割れに巻き込まれまいと神都から距離を取った。
不思議なことに地割れは神都の中でのみ起き、神都の外ではヒビ一つ入らない。

地震は更に続き、最後には神都だけが100メートルほど地盤沈下するまでに至った。周辺の地には特にそういったことは起きず、実に不可解な出来事である。


「・・・反動だ」


ユーライ国軍の兵の、誰かが呟いた。


「サンクレアの神は恐らくカイ様によって滅んだんだ。だから、これまで国を支えていた加護が失われて、反動で厄が起きているんじゃないか!?」



兵の発言は、特に根拠のある話ではない。
まだカイの姿を彼らは見ていないし、法王城で何が起きているのかを知る者などいるはずもないからだ。

だが、誰もが自然と兵のその言葉の通りのことが起きたのではないかと考えた。
サンクレアの覇道を許していた邪神は滅んだのだと。報いを受けるときがきたのだと。誰もが願ってやまなかったことが起きたのだと。
そう思わずにはいられなかった。


そして愚鈍にもただただ神の意思のままに覇道を進み続けた民が、国が、罰を受けるときがやってきた。

ここにサンクレアの終焉が始まった。
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