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終焉
神罰
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偽女神ラビスは信徒が築いた神都サンクレアを聖域とし、ここを世界の、いや、この世の中心とするべく考えていた。
そしてゆくゆくは聖域を拡大し、この世そのものを自分の物にしようとしたのである。
最大の障壁である魔族は滅ぼし、自分を信仰せぬ国はでもごく僅か。その国も滅ぼしてしまえば、この世には自分に逆らう人間がいなくなる。すなわち、自分は神になることができるのだと。
まさに神をも恐れぬ蛮行と言えた。
無論、それは明らかに堕天使としては分不相応の身勝手な行動であり、これには流石に本物の神より罰が与えられた。
『聖域縛り』。
ラビスはサンクレアより他の地へ出ることが出来ないように、体を縫い付けられてしまったのである。
そして人々の祈りの力によって得た力も、サンクレア内でのみでしか使えなくなったうえに、祈りによって得られるはずの力の供給も、サンクレア内からでしか得られなくなったのである。
つまりはラビスの世界はサンクレアという小さな括りの中のものでしかなくなったしまったのだ。
これが神がラビスにはめた「枷」であった。
-----
「私は確かにまだ神になり得ていない存在。だが、それも時間の問題だ。私にはこれまで捧げられてきた祈りの『力』がある。この力があれば、神になることが可能なのだ。もう既に神罰も直接私を裁くことは出来ぬ。それは私の力が大きくなり過ぎたからだ」
ラビスがそう言うと、彼女の体が強く光り始めた。
「愚かな人間の信心が弱まったようだが・・・今一度私の偉大さを見せつければ心は戻ってこよう。手始めに、このサンクレアの地に踏み込んでいる私を信奉せぬ土人どもを蹂躙してくれる」
ラビスは法王城の外に出て、外敵を殲滅するつもりだった。
圧倒的な力を見せつけ、敵を容赦なく蹂躙すればラビスの力を人々が認め、一度離れた信徒も戻ってくるだろう・・・そう考えていた。
ラビスの背中から光の翼が生えだした。それはまさに伝承にある天使の姿。
ラビスはこれより『神』として愚かな人間を裁こうとしていた。
「だーれがそれをやっていいって言ったよ!」
だが、カイの一刀がラビスの動きを止めた。
光の翼の片翼が真っ二つにされ、斬り落とされたのだ。
「お前はここで死ぬんだよ。ここに俺がいること、それがお前に下される神罰だ」
そしてゆくゆくは聖域を拡大し、この世そのものを自分の物にしようとしたのである。
最大の障壁である魔族は滅ぼし、自分を信仰せぬ国はでもごく僅か。その国も滅ぼしてしまえば、この世には自分に逆らう人間がいなくなる。すなわち、自分は神になることができるのだと。
まさに神をも恐れぬ蛮行と言えた。
無論、それは明らかに堕天使としては分不相応の身勝手な行動であり、これには流石に本物の神より罰が与えられた。
『聖域縛り』。
ラビスはサンクレアより他の地へ出ることが出来ないように、体を縫い付けられてしまったのである。
そして人々の祈りの力によって得た力も、サンクレア内でのみでしか使えなくなったうえに、祈りによって得られるはずの力の供給も、サンクレア内からでしか得られなくなったのである。
つまりはラビスの世界はサンクレアという小さな括りの中のものでしかなくなったしまったのだ。
これが神がラビスにはめた「枷」であった。
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「私は確かにまだ神になり得ていない存在。だが、それも時間の問題だ。私にはこれまで捧げられてきた祈りの『力』がある。この力があれば、神になることが可能なのだ。もう既に神罰も直接私を裁くことは出来ぬ。それは私の力が大きくなり過ぎたからだ」
ラビスがそう言うと、彼女の体が強く光り始めた。
「愚かな人間の信心が弱まったようだが・・・今一度私の偉大さを見せつければ心は戻ってこよう。手始めに、このサンクレアの地に踏み込んでいる私を信奉せぬ土人どもを蹂躙してくれる」
ラビスは法王城の外に出て、外敵を殲滅するつもりだった。
圧倒的な力を見せつけ、敵を容赦なく蹂躙すればラビスの力を人々が認め、一度離れた信徒も戻ってくるだろう・・・そう考えていた。
ラビスの背中から光の翼が生えだした。それはまさに伝承にある天使の姿。
ラビスはこれより『神』として愚かな人間を裁こうとしていた。
「だーれがそれをやっていいって言ったよ!」
だが、カイの一刀がラビスの動きを止めた。
光の翼の片翼が真っ二つにされ、斬り落とされたのだ。
「お前はここで死ぬんだよ。ここに俺がいること、それがお前に下される神罰だ」
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