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反逆
サンクレアの恥
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アドルとミカエルの確執は長い。呆れるほど長い。
専ら食って掛かっているのはミカエルだが、それでもアドルがやり返すときもある。最初からそうというわけではなかったが、今となっては二人はまさに犬猿の仲であった。
二人は共に騎士学校の成績優秀で騎士団に入団したが、剣術は常にアドルが一歩先を行っている腕前だった。
剣と策の天才と評され、聖騎士となるのはほぼ確実だろうとさえアドルだったが、ライバルであったミカエルは歪んでいた。正面からアドルに勝つことをやめ、アドルを追い越すのではなく、アドルを引きずり降ろそうと考えるようになっていた。
順当に行けば、アドルは聖騎士になれるはずだった。
だが、それを妨害したのはミカエルである。
ミカエルは剣術や人望で自分ではアドルに勝てないと判断し、政治力を付ける方向に方針転換をした。
教会の重鎮の娘に取り入り、婚約者となることでその重鎮を間接的にコントロールし、聖騎士候補になっていたアドルをその座から引きずり降ろさせたのである。
逆にミカエルは重鎮に引き上げられて神殿騎士となり、エリートコースを歩むことになった。
これにより、少なくとも社会的にはミカエルはアドルを越える。ミカエルはそれで満足したが、それでもアドルはその挫折で絶望して躍進が止まるようなことはなかった。
結局アドルは聖騎士にこそなれなかったが、実力で騎士団で上り詰め、騎士団長にまでなり、名声を得ることになった。
身勝手な話だが、それがまたミカエルは気に入らない。妨害までしたというのに、実力でのし上がられてはミカエルの立場がない。
立場的にも政治的にも、サンクレアではミカエルの方がアドルの上であるにも関わらず、ミカエルは永遠にアドルに対してコンプレックスを抱き続けてきた。
ミカエルにとって最大の不幸は、何があっても真の意味で勝つことの出来ないアドルが存在すること。
アドルにとって最大の不幸は、執念深く一方的に絡んでくる歪な男に目を付けられてしまったこと。
サンクレアの恥部とも言える、実に情けない二大騎士団の長達の実態であった。
専ら食って掛かっているのはミカエルだが、それでもアドルがやり返すときもある。最初からそうというわけではなかったが、今となっては二人はまさに犬猿の仲であった。
二人は共に騎士学校の成績優秀で騎士団に入団したが、剣術は常にアドルが一歩先を行っている腕前だった。
剣と策の天才と評され、聖騎士となるのはほぼ確実だろうとさえアドルだったが、ライバルであったミカエルは歪んでいた。正面からアドルに勝つことをやめ、アドルを追い越すのではなく、アドルを引きずり降ろそうと考えるようになっていた。
順当に行けば、アドルは聖騎士になれるはずだった。
だが、それを妨害したのはミカエルである。
ミカエルは剣術や人望で自分ではアドルに勝てないと判断し、政治力を付ける方向に方針転換をした。
教会の重鎮の娘に取り入り、婚約者となることでその重鎮を間接的にコントロールし、聖騎士候補になっていたアドルをその座から引きずり降ろさせたのである。
逆にミカエルは重鎮に引き上げられて神殿騎士となり、エリートコースを歩むことになった。
これにより、少なくとも社会的にはミカエルはアドルを越える。ミカエルはそれで満足したが、それでもアドルはその挫折で絶望して躍進が止まるようなことはなかった。
結局アドルは聖騎士にこそなれなかったが、実力で騎士団で上り詰め、騎士団長にまでなり、名声を得ることになった。
身勝手な話だが、それがまたミカエルは気に入らない。妨害までしたというのに、実力でのし上がられてはミカエルの立場がない。
立場的にも政治的にも、サンクレアではミカエルの方がアドルの上であるにも関わらず、ミカエルは永遠にアドルに対してコンプレックスを抱き続けてきた。
ミカエルにとって最大の不幸は、何があっても真の意味で勝つことの出来ないアドルが存在すること。
アドルにとって最大の不幸は、執念深く一方的に絡んでくる歪な男に目を付けられてしまったこと。
サンクレアの恥部とも言える、実に情けない二大騎士団の長達の実態であった。
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