聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

最後の始まり

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「・・・ところで、これからどうされるのですかな?」


食事の後、休憩もそこそこに法王は本当にまたの相手を呼び情交を済ませると、煙草で一服しながらカイにそう問う。つくづく聖職者のトップというイメージとかけ離れた俗物だと呆れつつも、カイは聖職者の上位にいる者ほどこういった俗を捨てきれていないものだということを知っている。
ラビス教のみならず、どの宗教のトップもカイが知る限り似たようなものであった。


「さぁてな。まぁ、邪魔さえしなければアンタの秘密だけは最後までばらさないでいてやるよ」


質問にこそ答えなかったが、あくまで秘密はばらさないでいてくれるというカイの言質を取った法王は、むしろ満足そうに頷いていた。自分のことさえ公にならないのであれば他はどうでもいいらしいその態度に、思わずカイは苦笑いしそうになる。


(とはいえ、タイミング的には今はばっちりか・・・そろそろやるときだな)


法王のところに入った報告によれば、法王城の神殿騎士はカイ探しを実質中断し、警戒レベルを下げるということであった。これによって、カイは法王城の中をこれまでより比較にならないほど動き回りやすくなるということになる。
食事は美味いが、これ以上老人と寝食を共にするのも、好事を間近で疲労されるのも勘弁願いたいところだった。

カイの最終目標はサンクレアの心臓である。
だが、そこを目指すには順序というものがあった。
サンクレアの心臓手前まで行っておきながら、わざわざ引き返してあれこれ移動していたのもそのためである。


「さて・・・それじゃあ、そろそろ始めるとしますか」


カイは部屋の窓から城下を見下ろして言った。
そこには彼がが見えていた。
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