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反逆
前衛の崩壊するとき
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ハルトがアドルの元へ向かいだしたその時、サンクレアの上空に花火が上がった。戦場でも使われる信号弾の一種で、その意味は「突撃セヨ」だ。
その信号弾が上がった瞬間、それまで緩慢な動きを見せていたユーライ国軍が一気に攻勢に出たのである。
そしてそれに合わせるように、神都内の後援部隊が再度爆発に巻き込まれ始めた。神都に潜んでいるユーライの斥候による仕業である。サンクレアでは存在すら認識していない斥候達が使用している透明薬は絶大な効果を発揮していた。
この状況にサンクレア騎士団は戸惑った。前から敵が来て、後援も襲われる。しかし一番頼りになるはずの聖騎士と聖女がいない。
後援部隊による満足いく支援あってこそ前衛は頑張れる。しかしその後援部隊が謎の襲撃を受け、支援どころではなくなると一気に混乱が伝染していった。
そしてそこに怒涛の勢いで押し寄せてくるユーライ国軍。一度祖国を蹂躙された彼らの士気は極めて高く、完全に気でサンクレア騎士団を圧倒していた。
勢いを持ったユーライ国軍は混乱するサンクレア騎士団を蹂躙する。
聖騎士も後援もない騎士団は、気が抜けたようにいつのもの調子を出すことが出来ず、次々とユーライ国軍によって葬られていった。
「ハルト様は一体どうしたんだ!?」
騎士達は叫ぶ。
頼りになる聖騎士が、いつだって自分達を引っ張っていってくれた。その頼りになる背中が今はない。
そしてユーライ国軍に一方的に押されているこの状況が、騎士達の心を不安で蝕み、士気をみるみる低下させていく。
「我々にはラビス様の加護がある!我々の負けはない!進め!!」
指揮官が勇ましく声を張り上げるが、効果はいまいちだった。
騎士達の脳裏には以前あった降臨の儀のときにあったことが思い出されている。そのときのカイの言葉が頭の中から拭い去れないのだ。
「まさか、本当に神都が滅ぶんじゃ・・・」
誰かがポツリと言った。
「馬鹿なこと言ってるんじゃない!!」
それを周囲の騎士が一喝するが、そこにその場にいた騎士達を戦慄させる言葉が耳に入ることになる。
「大変だ!聖女マーサ様が殺されたらしい!!」
その信号弾が上がった瞬間、それまで緩慢な動きを見せていたユーライ国軍が一気に攻勢に出たのである。
そしてそれに合わせるように、神都内の後援部隊が再度爆発に巻き込まれ始めた。神都に潜んでいるユーライの斥候による仕業である。サンクレアでは存在すら認識していない斥候達が使用している透明薬は絶大な効果を発揮していた。
この状況にサンクレア騎士団は戸惑った。前から敵が来て、後援も襲われる。しかし一番頼りになるはずの聖騎士と聖女がいない。
後援部隊による満足いく支援あってこそ前衛は頑張れる。しかしその後援部隊が謎の襲撃を受け、支援どころではなくなると一気に混乱が伝染していった。
そしてそこに怒涛の勢いで押し寄せてくるユーライ国軍。一度祖国を蹂躙された彼らの士気は極めて高く、完全に気でサンクレア騎士団を圧倒していた。
勢いを持ったユーライ国軍は混乱するサンクレア騎士団を蹂躙する。
聖騎士も後援もない騎士団は、気が抜けたようにいつのもの調子を出すことが出来ず、次々とユーライ国軍によって葬られていった。
「ハルト様は一体どうしたんだ!?」
騎士達は叫ぶ。
頼りになる聖騎士が、いつだって自分達を引っ張っていってくれた。その頼りになる背中が今はない。
そしてユーライ国軍に一方的に押されているこの状況が、騎士達の心を不安で蝕み、士気をみるみる低下させていく。
「我々にはラビス様の加護がある!我々の負けはない!進め!!」
指揮官が勇ましく声を張り上げるが、効果はいまいちだった。
騎士達の脳裏には以前あった降臨の儀のときにあったことが思い出されている。そのときのカイの言葉が頭の中から拭い去れないのだ。
「まさか、本当に神都が滅ぶんじゃ・・・」
誰かがポツリと言った。
「馬鹿なこと言ってるんじゃない!!」
それを周囲の騎士が一喝するが、そこにその場にいた騎士達を戦慄させる言葉が耳に入ることになる。
「大変だ!聖女マーサ様が殺されたらしい!!」
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