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反逆
経験不足
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カイは再びマーサに突進するが、マーサは即座に迎撃の体制を取り、手から光の玉を放つ。
だが、それはカイの頬をかすめた程度で、直撃することはなかった。
すり抜けた光の玉は、礼拝堂の床にぶつかり、爆散して激しく飛び散った。
(凄い威力だ。一度でもまともにくらえばタダではすむまい)
シンプルゆえに強い。
カイはマーサの魔法の強さを認めていた。
(だが使い方が悪い)
マーサは時間をかけずにカイを倒そうと、100%の威力を持つ光の玉を放ち続けている。それ故にカイは僅かな時間なれど、マーサを観察していて気付いていた。マーサが魔力切れを警戒していることに。
光の玉の魔法は、強力な魔力の無駄遣いとも言える攻撃だった。それを攻守一体と言えるほどに攻撃にも防御にも展開するという行為は、多大なる魔力の浪費に他ならず、実質無尽蔵と言われた聖女の魔力でも一時的に枯渇するレベルである。
マーサは打ち止めを警戒し、僅か、ほんの僅かに光の玉の数を減らしていた。
(馬鹿なやつだ。光の玉の威力を弱めれば数を減らさないで済むものを)
光の玉は高威力だ。
だから100%の威力でなくても、例え半分ほどの威力のものに小さくしても、命中さえすればカイの動きを止めることは十分可能だった。
動きさえ止めてしまえば、後は悠々ととどめを刺すことも出来ただろう。
それを律儀に100%のものを毎回打ち続けているので、マーサの魔力は枯渇寸前にまでなっていた。
まだ実験段階の魔法だから、コントロールそのものがまだ難しいのかもしれない・・・とカイは最初考えたが、やはりそれ以上にカイが感じたのは「圧倒的な前衛としての経験不足」であるということだった。
マーサは聖女である。聖女は前衛として戦ってくれている聖騎士や騎士のサポートが勤めだ。
だから聖女であるマーサは自ら敵を攻撃するということを経験していない。ともなれば、実戦において必要となる駆け引きも知らない。
厄介だと思っていたマーサの攻略に、一筋の希望がカイには見えた。
(経験不足!となれば)
ここでカイは動きを一段階速くする。
マーサは一瞬だけ戸惑ったが、それでも先ほどまでカイと接戦を続けてきたお陰が、大分カイの動きには慣れて来ていた。
(そろそろ捉えられるっ)
マーサがカイへの攻撃が上手くいかなくて発狂しているふりをしていたが、実際には冷静に彼を動きを観察していた。
何度も攻撃をし、何パターンか動きを観察して、そしてようやくカイの動きに予想が立てられるようになっていた。
(次が勝負よ!)
マーサは光の玉を展開し、カイを仕留めるよう網を張ろうとする。
だが、そこでカイが見せたのは、マーサにとって予想だにしない動きであった。
だが、それはカイの頬をかすめた程度で、直撃することはなかった。
すり抜けた光の玉は、礼拝堂の床にぶつかり、爆散して激しく飛び散った。
(凄い威力だ。一度でもまともにくらえばタダではすむまい)
シンプルゆえに強い。
カイはマーサの魔法の強さを認めていた。
(だが使い方が悪い)
マーサは時間をかけずにカイを倒そうと、100%の威力を持つ光の玉を放ち続けている。それ故にカイは僅かな時間なれど、マーサを観察していて気付いていた。マーサが魔力切れを警戒していることに。
光の玉の魔法は、強力な魔力の無駄遣いとも言える攻撃だった。それを攻守一体と言えるほどに攻撃にも防御にも展開するという行為は、多大なる魔力の浪費に他ならず、実質無尽蔵と言われた聖女の魔力でも一時的に枯渇するレベルである。
マーサは打ち止めを警戒し、僅か、ほんの僅かに光の玉の数を減らしていた。
(馬鹿なやつだ。光の玉の威力を弱めれば数を減らさないで済むものを)
光の玉は高威力だ。
だから100%の威力でなくても、例え半分ほどの威力のものに小さくしても、命中さえすればカイの動きを止めることは十分可能だった。
動きさえ止めてしまえば、後は悠々ととどめを刺すことも出来ただろう。
それを律儀に100%のものを毎回打ち続けているので、マーサの魔力は枯渇寸前にまでなっていた。
まだ実験段階の魔法だから、コントロールそのものがまだ難しいのかもしれない・・・とカイは最初考えたが、やはりそれ以上にカイが感じたのは「圧倒的な前衛としての経験不足」であるということだった。
マーサは聖女である。聖女は前衛として戦ってくれている聖騎士や騎士のサポートが勤めだ。
だから聖女であるマーサは自ら敵を攻撃するということを経験していない。ともなれば、実戦において必要となる駆け引きも知らない。
厄介だと思っていたマーサの攻略に、一筋の希望がカイには見えた。
(経験不足!となれば)
ここでカイは動きを一段階速くする。
マーサは一瞬だけ戸惑ったが、それでも先ほどまでカイと接戦を続けてきたお陰が、大分カイの動きには慣れて来ていた。
(そろそろ捉えられるっ)
マーサがカイへの攻撃が上手くいかなくて発狂しているふりをしていたが、実際には冷静に彼を動きを観察していた。
何度も攻撃をし、何パターンか動きを観察して、そしてようやくカイの動きに予想が立てられるようになっていた。
(次が勝負よ!)
マーサは光の玉を展開し、カイを仕留めるよう網を張ろうとする。
だが、そこでカイが見せたのは、マーサにとって予想だにしない動きであった。
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