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反逆
絶対に負けない
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マーサが攻撃魔法として使っている『光の玉』は、防御に使われる元は魔法障壁である。
あらゆる物理攻撃も魔法攻撃も無効にして弾く特性を持つ魔法障壁についてマーサは考えた。
これだけの防御力を持つ障壁が作れるのなら、このエネルギーは形を変えれば攻撃用に転用できるのではないか?と。
マーサが聖女であるが、一から攻撃用の魔法を勉強し、使えるようになるにはどうしても難しいものがあった。
聖女は人を癒し、守り、神に祈るが職務であり、その貴重な魔力を攻撃魔法の研鑽などに使うなど以ての外。人知れず攻撃魔法を勉強することなど不可能であった。バレれば立場が危うくなり、下手をすると聖女の座を下ろされてしまうだろう。
だが、元より聖女の力として知られている魔法障壁の転用ならば、どうにか人に怪しまれることなく研究をすることができた。
そして周囲には魔法障壁の練習をしているように見せつつ、どうにかマーサは魔法障壁を転用した攻撃魔法を会得するに至ったのである。
元々はあらゆる脅威から身を守るための障壁。
発生するエネルギーは凄まじく、均等に展開するコントロールも難しい魔法であった。
それを思えば、任意の方向へ飛ばし、エネルギーを暴走させ爆散させて攻撃するというのはコツさえわかってしまえば難しくなかった。
マーサはこの自らアレンジして生み出した攻撃魔法を、機会あればイリスの殺害に使おうとずっと考えていた。
それが今、カイに向けられている。
「実戦で使うのは初めてだけど、こうしてみると中々に強力なものね」
マーサはボロボロになっていく礼拝堂を見渡しながら感嘆の声を上げた。
サンクレア中にある教会堂は有事の際には避難所として仕えるように、強固な作りと補助魔法がかけられてあり、普通の建物とは段違いの強度を誇っている。
その教会堂の中にある礼拝堂が己の魔法によってボロボロと崩れていくのを見て、マーサは自分の生み出したものの凄さに酔っていた。
「さぁて、そろそろ本気でいくわよ」
カイだけでなく、マーサとてあまり時間はかけられない。攻撃魔法を実際に使っているところを見られるのは後のマーサのイメージへの影響を鑑みるにあまり都合が良くなかった。
マーサは実験的に光の玉をカイに向けて打っていたが、いよいよもって本気でカイを殺そうと意識を向けた。
この攻撃魔法はまさに攻守一体。対人戦において隙なく相手を一方的に葬れる、マーサには絶対的な自信があった。
あらゆる物理攻撃も魔法攻撃も無効にして弾く特性を持つ魔法障壁についてマーサは考えた。
これだけの防御力を持つ障壁が作れるのなら、このエネルギーは形を変えれば攻撃用に転用できるのではないか?と。
マーサが聖女であるが、一から攻撃用の魔法を勉強し、使えるようになるにはどうしても難しいものがあった。
聖女は人を癒し、守り、神に祈るが職務であり、その貴重な魔力を攻撃魔法の研鑽などに使うなど以ての外。人知れず攻撃魔法を勉強することなど不可能であった。バレれば立場が危うくなり、下手をすると聖女の座を下ろされてしまうだろう。
だが、元より聖女の力として知られている魔法障壁の転用ならば、どうにか人に怪しまれることなく研究をすることができた。
そして周囲には魔法障壁の練習をしているように見せつつ、どうにかマーサは魔法障壁を転用した攻撃魔法を会得するに至ったのである。
元々はあらゆる脅威から身を守るための障壁。
発生するエネルギーは凄まじく、均等に展開するコントロールも難しい魔法であった。
それを思えば、任意の方向へ飛ばし、エネルギーを暴走させ爆散させて攻撃するというのはコツさえわかってしまえば難しくなかった。
マーサはこの自らアレンジして生み出した攻撃魔法を、機会あればイリスの殺害に使おうとずっと考えていた。
それが今、カイに向けられている。
「実戦で使うのは初めてだけど、こうしてみると中々に強力なものね」
マーサはボロボロになっていく礼拝堂を見渡しながら感嘆の声を上げた。
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その教会堂の中にある礼拝堂が己の魔法によってボロボロと崩れていくのを見て、マーサは自分の生み出したものの凄さに酔っていた。
「さぁて、そろそろ本気でいくわよ」
カイだけでなく、マーサとてあまり時間はかけられない。攻撃魔法を実際に使っているところを見られるのは後のマーサのイメージへの影響を鑑みるにあまり都合が良くなかった。
マーサは実験的に光の玉をカイに向けて打っていたが、いよいよもって本気でカイを殺そうと意識を向けた。
この攻撃魔法はまさに攻守一体。対人戦において隙なく相手を一方的に葬れる、マーサには絶対的な自信があった。
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