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反逆
崩壊の中章
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サンクレア軍とユーライ国軍がそろそろ接敵するというそのとき、神都では局地的に爆発が起きていた。
なんてことはない、以前あったときと同じ・・・爆炎魔術の符によるものとみえる物によるものだった。
再三に渡り爆炎符による被害を受けておきながら、サンクレアは今回もこれに出し抜かれることになっていた。
しかしそれも無理もない。
王都を散策し、いかに憲兵の見回りに気付かれずにいわれるかを念い入りに調べ、巧妙にカモフラージュされた爆炎符を見つけ切ることは難しい。カイはこういった工作は得意であった。
以前にカイが封魔殿を襲撃する際に起こした爆炎符による爆発は、人が近くにいると時間が来ても発動しないという仕掛けになっていたので人的被害はなかった。
だが、今回は違った。
神都に点在しているサンクレア軍の後援隊が、その爆発の犠牲になっていたのだ。
丁度サンクレア軍がいるところだけが爆発し、一般人にこそ犠牲はなかったが、それでも神都は大混乱に陥った。
後方から戦を見守っているだけだったはずの神都が、まさかの戦をするはずの騎士団よりも恐怖と混乱に支配されてしまっていた。この動揺がユーライ国軍を迎え撃とうとしているサンクレア軍に伝染しないはずもなく・・・
「報告します!神都に点在している後援部隊の三分の一が謎の爆発による被害を受けている模様です!今現在もある程度時間をおいて爆発は続いているとのことです!犠牲者の数は不明ですが、死者はかなりの数に上るだろうとのことです!!」
伝令兵は半狂乱に近いような声でハルトに向かってそう叫んだ。
「攪乱か・・・?」
何度も何度も同じ手を食らってしまうことに歯がゆさを感じるが、爆炎符によって起きたことだと種さえわかれば、ハルトもそこまでは驚かない。サンクレア軍を攪乱するために、神都内にあらかじめ仕掛けておいた爆炎符を発動させたのか、ハルトはそう考えて歯ぎしりをする。
「神都内についてのことは、アドル騎士団長がまとめてくれるはずだ。僕たちはここを動かず、ユーライ国軍を迎え撃つのみ!」
自分達が神都に戻ったとて、出来ることは何もない。そう自分に言い聞かせ、ハルトは当初の作戦を遂行することに決めた。
だが、そこへやってきた別の伝令兵からの言葉により、ハルトはまたも思考が停止することになる。
「報告します!アドル騎士団長はつい先ほど、神都での現場指揮から外れました!今は代理で副団長が指揮をしております!」
なんてことはない、以前あったときと同じ・・・爆炎魔術の符によるものとみえる物によるものだった。
再三に渡り爆炎符による被害を受けておきながら、サンクレアは今回もこれに出し抜かれることになっていた。
しかしそれも無理もない。
王都を散策し、いかに憲兵の見回りに気付かれずにいわれるかを念い入りに調べ、巧妙にカモフラージュされた爆炎符を見つけ切ることは難しい。カイはこういった工作は得意であった。
以前にカイが封魔殿を襲撃する際に起こした爆炎符による爆発は、人が近くにいると時間が来ても発動しないという仕掛けになっていたので人的被害はなかった。
だが、今回は違った。
神都に点在しているサンクレア軍の後援隊が、その爆発の犠牲になっていたのだ。
丁度サンクレア軍がいるところだけが爆発し、一般人にこそ犠牲はなかったが、それでも神都は大混乱に陥った。
後方から戦を見守っているだけだったはずの神都が、まさかの戦をするはずの騎士団よりも恐怖と混乱に支配されてしまっていた。この動揺がユーライ国軍を迎え撃とうとしているサンクレア軍に伝染しないはずもなく・・・
「報告します!神都に点在している後援部隊の三分の一が謎の爆発による被害を受けている模様です!今現在もある程度時間をおいて爆発は続いているとのことです!犠牲者の数は不明ですが、死者はかなりの数に上るだろうとのことです!!」
伝令兵は半狂乱に近いような声でハルトに向かってそう叫んだ。
「攪乱か・・・?」
何度も何度も同じ手を食らってしまうことに歯がゆさを感じるが、爆炎符によって起きたことだと種さえわかれば、ハルトもそこまでは驚かない。サンクレア軍を攪乱するために、神都内にあらかじめ仕掛けておいた爆炎符を発動させたのか、ハルトはそう考えて歯ぎしりをする。
「神都内についてのことは、アドル騎士団長がまとめてくれるはずだ。僕たちはここを動かず、ユーライ国軍を迎え撃つのみ!」
自分達が神都に戻ったとて、出来ることは何もない。そう自分に言い聞かせ、ハルトは当初の作戦を遂行することに決めた。
だが、そこへやってきた別の伝令兵からの言葉により、ハルトはまたも思考が停止することになる。
「報告します!アドル騎士団長はつい先ほど、神都での現場指揮から外れました!今は代理で副団長が指揮をしております!」
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