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反逆
不可解な襲撃
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降臨の儀から数日経過し、ユーライに再度侵攻する準備がサンクレアでは整いつつあった。
元よりユーライに駐在していた騎士団は、既にほぼ全てが殲滅されたという報告が上がり、再攻撃も念入りに準備がなされた。
一度占領したはずの地が奪還され、挙句に国の大事な大事な神事を妨害されてしまったのだ・・・サンクレアとしては威厳が落ちるところまで落ち、もう後はないと言わんばかりの窮地であるといえた。故に、次の侵攻では徹底的にユーライを蹂躙し、反乱に加担したという理由で場合によっては非戦闘員の国民すらも切り伏せる・・・それだけの殺気を持ってユーライ再攻撃に挑もうとしていた。
そんな折、ユーライ国軍がサンクレアの国境に迫ったとの報が入る。
「馬鹿なことを・・・本当に来たのか?」
最初に報告を受けた部隊長は、信じられないとばかりに目を見開いた。
降臨の儀の際、ユーライによる反撃について仄めかされてはいたが、実際に来ることになるとは騎士団のほとんどの人間が考えていなかった。ブラフであると決めつけ、疑うことすらなかった。
なぜならサンクレアとユーライでは数倍以上と、元の戦力差が極めて大きいからである。しかも最初に制圧した際、ユーライはサンクレアよりも多くの戦力を喪失したはずなのでその差はなおのこと開いているはずだった。
そんなユーライの現状で、いかに勢いに乗っているとは言っても物理的に埋めがたい戦力差がある以上、宣言通りに本当に攻めてくることなどあり得るはずもないーーー そう考えられていた。
ところが、上層部の反応は違った。
「全軍に通達!ただちに戦闘準備!一人残らず殲滅せよ!」
ヒステリックなまでに反応し、国境付近に出現したユーライ国軍を殲滅せよと命令が下った。
自分達の威厳を損なわれたことによる怒り、そしてユーライ駐在騎士団が一瞬で駆逐されてしまったことへの恐怖からの過剰反応だった。
「まさか実際にユーライが攻めてくるとは・・・となると」
騎士団長室にてアドルが口角を上げ、呟いた。
「カイがいる・・・ということですね」
ハルトがそれに続く。
圧倒的戦力差がある中での攻撃・・・カイによるサポートがなければ考えられないことであった。
「すぐに出ましょう!」
ハルトはこれまでに溜まっていた鬱憤を晴らしてやると言わんばかりに、やる気に満ちていた。
元よりユーライに駐在していた騎士団は、既にほぼ全てが殲滅されたという報告が上がり、再攻撃も念入りに準備がなされた。
一度占領したはずの地が奪還され、挙句に国の大事な大事な神事を妨害されてしまったのだ・・・サンクレアとしては威厳が落ちるところまで落ち、もう後はないと言わんばかりの窮地であるといえた。故に、次の侵攻では徹底的にユーライを蹂躙し、反乱に加担したという理由で場合によっては非戦闘員の国民すらも切り伏せる・・・それだけの殺気を持ってユーライ再攻撃に挑もうとしていた。
そんな折、ユーライ国軍がサンクレアの国境に迫ったとの報が入る。
「馬鹿なことを・・・本当に来たのか?」
最初に報告を受けた部隊長は、信じられないとばかりに目を見開いた。
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なぜならサンクレアとユーライでは数倍以上と、元の戦力差が極めて大きいからである。しかも最初に制圧した際、ユーライはサンクレアよりも多くの戦力を喪失したはずなのでその差はなおのこと開いているはずだった。
そんなユーライの現状で、いかに勢いに乗っているとは言っても物理的に埋めがたい戦力差がある以上、宣言通りに本当に攻めてくることなどあり得るはずもないーーー そう考えられていた。
ところが、上層部の反応は違った。
「全軍に通達!ただちに戦闘準備!一人残らず殲滅せよ!」
ヒステリックなまでに反応し、国境付近に出現したユーライ国軍を殲滅せよと命令が下った。
自分達の威厳を損なわれたことによる怒り、そしてユーライ駐在騎士団が一瞬で駆逐されてしまったことへの恐怖からの過剰反応だった。
「まさか実際にユーライが攻めてくるとは・・・となると」
騎士団長室にてアドルが口角を上げ、呟いた。
「カイがいる・・・ということですね」
ハルトがそれに続く。
圧倒的戦力差がある中での攻撃・・・カイによるサポートがなければ考えられないことであった。
「すぐに出ましょう!」
ハルトはこれまでに溜まっていた鬱憤を晴らしてやると言わんばかりに、やる気に満ちていた。
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