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反逆
決起の時は近い
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「長官!街中にこのような紙が多数貼られております!!」
部下の報告を聞き、ジーミルは眉を顰める。
「見せてみよ」
部下からひったくるように紙に目を通したジーミルは、怒りのあまり一瞬でその紙をバラバラにしてしまった。
『決起の時は近い。その瞬間を見逃すな』
紙にはそうとだけ書いてあった。
「悪戯にしては度が越しているな。生き残った旧国王の仕業だろうな」
忌々しそうにジーミルは顔を歪める。
ジワジワと追い詰め、あと半月もしないうちに抵抗勢力は潰せるだろう・・・そう考えていたジーミルだったが、まさかの行動に驚きを隠せない。
「今すぐ剥がして回れ!こんなものをここの土人どもに見せれば、奴ら勘違いして面倒なことを起こすに決まっている!」
サンクレアの進駐軍に対し、反旗を翻すーーー
現地民だけがここで反乱を起こしたとて、出来ることはたかが知れている。騎士と平民の力の差は言うまでもなく大きく隔てられている。一日もかからず暴動を鎮圧することができるだろう。だが、それがユーライ国全土に感染すると面倒なことになる。ジーミルの責任問題にも発展するだろう事態に、ジーミルは火消しのためにすぐさま行動に移そうと命令を下す。
「長官、それが・・・現在も次々と紙は街中に貼られていて、全てが処理し切れていません」
部下はジーミルの命令に対し、申し訳なさそうにそう返した。
「何だと!?犯人をすぐに見つけて殺せ!そんなことも言われなければできないのか!」
激昂するジーミルに、部下は更に言う。
「もちろん我々も全力で対応に当たっていますが、何分この都は広い上に、犯人も神出鬼没でしてどれだけ監視を目を広げても見つけられていません・・・」
「神出鬼没・・・だと?そんなバカなことがあるか!必ず見つけ出せ!!」
ジーミルは血管が切れそうなほど怒りながらも、大声で部下を怒鳴りつける。
結局この日、街中で紙は貼られ続け、聖騎士達の首についても噂が広がった。首を晒したのも、紙を貼ったのも結局騎士団は犯人の姿を見る事すら出来なかった。
犯人は、ベルスから貰った透明薬を使って姿を消していたカイだったとは誰も気づけるはずもない。
そしてこの騒動から更に二日後、更に進駐軍を震撼させる出来事があるのであった。
部下の報告を聞き、ジーミルは眉を顰める。
「見せてみよ」
部下からひったくるように紙に目を通したジーミルは、怒りのあまり一瞬でその紙をバラバラにしてしまった。
『決起の時は近い。その瞬間を見逃すな』
紙にはそうとだけ書いてあった。
「悪戯にしては度が越しているな。生き残った旧国王の仕業だろうな」
忌々しそうにジーミルは顔を歪める。
ジワジワと追い詰め、あと半月もしないうちに抵抗勢力は潰せるだろう・・・そう考えていたジーミルだったが、まさかの行動に驚きを隠せない。
「今すぐ剥がして回れ!こんなものをここの土人どもに見せれば、奴ら勘違いして面倒なことを起こすに決まっている!」
サンクレアの進駐軍に対し、反旗を翻すーーー
現地民だけがここで反乱を起こしたとて、出来ることはたかが知れている。騎士と平民の力の差は言うまでもなく大きく隔てられている。一日もかからず暴動を鎮圧することができるだろう。だが、それがユーライ国全土に感染すると面倒なことになる。ジーミルの責任問題にも発展するだろう事態に、ジーミルは火消しのためにすぐさま行動に移そうと命令を下す。
「長官、それが・・・現在も次々と紙は街中に貼られていて、全てが処理し切れていません」
部下はジーミルの命令に対し、申し訳なさそうにそう返した。
「何だと!?犯人をすぐに見つけて殺せ!そんなことも言われなければできないのか!」
激昂するジーミルに、部下は更に言う。
「もちろん我々も全力で対応に当たっていますが、何分この都は広い上に、犯人も神出鬼没でしてどれだけ監視を目を広げても見つけられていません・・・」
「神出鬼没・・・だと?そんなバカなことがあるか!必ず見つけ出せ!!」
ジーミルは血管が切れそうなほど怒りながらも、大声で部下を怒鳴りつける。
結局この日、街中で紙は貼られ続け、聖騎士達の首についても噂が広がった。首を晒したのも、紙を貼ったのも結局騎士団は犯人の姿を見る事すら出来なかった。
犯人は、ベルスから貰った透明薬を使って姿を消していたカイだったとは誰も気づけるはずもない。
そしてこの騒動から更に二日後、更に進駐軍を震撼させる出来事があるのであった。
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