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反逆
抑えきれない怒り
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「そんなことが・・・」
カイは戦闘形態こそ解いていないが、大きく衝撃を受けているように声を震わせていた。
そんなカイを前にして、クリスは満面を笑みを浮かべる。
「イリスさえいなくなれば、カイをワタクシのモノに出来ると思いましたが、まさか反逆者になってまで彼女を救おうとするなんて思いませんでしたわぁ。流石ワタクシの認めた男、カイ・・・簡単には思い通りにはならないのですわね♪」
まるで悪びれもせずそう言うクリスに、カイは怒りに顔を歪ませた。
「お前が・・・全部お前が・・・!」
『最後の抵抗』の際、カイを含めた東の防衛隊は激戦を極めていた。
顔も名前も知っている騎士達が何人も魔物に潰され、食われ、切り裂かれて死ぬのを見て来た。ただただ地獄を生き抜きたい一心で剣を振るっていたが、結局最後には最愛の人にしてパートナーである聖女イリスが死の呪いにかかり、カイは打ちひしがれたのだ。
それが全て、クリスの意志によるものだと言うことを知り、カイは呆然とした。
「そんなくだらないことのために仲間はっ!イリスはっ!」
先ほどまでと違い、カイは憎しみのこもった目でクリスを睨みつける。その視線に射られた者は心の臓を突き抜かれて殺すとばかりの鋭い殺気が溢れている。
戦闘時も心を押し殺し、あくまで冷静なスタイルを崩さないカイが、怒りを露わにして今にもクリスに斬りかからんとばかりにしている。そんなカイをクリスは楽しそうに見ていた。
忍耐と冷静が売りであるカイが、自分によって心を揺さぶられているーー この事実が彼女の気分を高揚させていた。
そして、見るだけで殺されそうなほどの殺意のこもったその目で見られること自体にも、クリスは喜びを感じていた。
自分の頭の中にあるカイに関する記憶…アルバムがまた一つ埋まるような、コレクションが増えるような…そんな喜び。
恐らく、怒りに身を焦がしたカイは持ち味を活かせることなく簡単に倒せるだろうとクリスは考えていた。
カイを自らの手で斬り伏せ、自分の中で彼を永遠のものにする…
クリスはそう考え、身震いし、舌舐めずりをする。
刹那、カイが殺気を爆発させながら、クリスの思惑通りに真正面から突っ込んできた。
カイは戦闘形態こそ解いていないが、大きく衝撃を受けているように声を震わせていた。
そんなカイを前にして、クリスは満面を笑みを浮かべる。
「イリスさえいなくなれば、カイをワタクシのモノに出来ると思いましたが、まさか反逆者になってまで彼女を救おうとするなんて思いませんでしたわぁ。流石ワタクシの認めた男、カイ・・・簡単には思い通りにはならないのですわね♪」
まるで悪びれもせずそう言うクリスに、カイは怒りに顔を歪ませた。
「お前が・・・全部お前が・・・!」
『最後の抵抗』の際、カイを含めた東の防衛隊は激戦を極めていた。
顔も名前も知っている騎士達が何人も魔物に潰され、食われ、切り裂かれて死ぬのを見て来た。ただただ地獄を生き抜きたい一心で剣を振るっていたが、結局最後には最愛の人にしてパートナーである聖女イリスが死の呪いにかかり、カイは打ちひしがれたのだ。
それが全て、クリスの意志によるものだと言うことを知り、カイは呆然とした。
「そんなくだらないことのために仲間はっ!イリスはっ!」
先ほどまでと違い、カイは憎しみのこもった目でクリスを睨みつける。その視線に射られた者は心の臓を突き抜かれて殺すとばかりの鋭い殺気が溢れている。
戦闘時も心を押し殺し、あくまで冷静なスタイルを崩さないカイが、怒りを露わにして今にもクリスに斬りかからんとばかりにしている。そんなカイをクリスは楽しそうに見ていた。
忍耐と冷静が売りであるカイが、自分によって心を揺さぶられているーー この事実が彼女の気分を高揚させていた。
そして、見るだけで殺されそうなほどの殺意のこもったその目で見られること自体にも、クリスは喜びを感じていた。
自分の頭の中にあるカイに関する記憶…アルバムがまた一つ埋まるような、コレクションが増えるような…そんな喜び。
恐らく、怒りに身を焦がしたカイは持ち味を活かせることなく簡単に倒せるだろうとクリスは考えていた。
カイを自らの手で斬り伏せ、自分の中で彼を永遠のものにする…
クリスはそう考え、身震いし、舌舐めずりをする。
刹那、カイが殺気を爆発させながら、クリスの思惑通りに真正面から突っ込んできた。
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