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反逆
大好きな目
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「お前のスタイルさ、完全にハルトとかぶってんじゃん。もうちょっと捻って見ろよ」
カイは軽口を叩きつつ、ジリ・・・と半歩踏み出す。
「あら?ハルトと同じタイプというのならば、カイにとっては御しやすい相手ではなくて?ウフフ」
カイが踏み出した分、クリスは同じだけ後ろに下がる。
・・・と思いきや
「っ!」
僅かに下がったと見えたそれが助走だったと言わんばかりに、クリスはまるで弾丸のように一瞬でカイに詰め寄る。
大剣を振り回すではなく、突き刺しに来る攻撃。ギリギリのところで躱したカイは、まるで突風のように通り過ぎていったクリスに対する反撃の機会を伺う。
カイが何度か斬りつけた浅い傷は、アルマが回復したようで既に完治していた。
聖女の回復魔法は、深手の傷でなければある程度距離が空いていても効果がある。もちろん近くで治療するのと違ってロスはあるので、回復速度に開きが出るのだが、それでも浅い傷程度なら少し時間があれば十分に治療可能だ。
アルマは障壁の中から動くことなく、遠隔でクリスの回復役に徹しているようだった。
(どこかハルトと同じだよ。全然違うね)
カイの頬を冷や汗が流れる。
クリスの大剣はハルトの持つ聖剣とは破壊力が全然違う。一度でもくらってしまえば戦闘不能どころか即死しかねない。
(そんな大剣を二刀流?馬鹿馬鹿しすぎる。普通やらんわ)
しかし悲しいかな、クリスの二刀流は決して酔狂からの付け焼き刃ではなかった。それなりにその型で鍛錬しているようで、まるで隙を見せない。片方で攻撃し、片方で防御をしたと思ったら、両方で攻撃してくることもある・・・恐らくハルトの剣術をベースにしているのであろうが、カイからすればハルトより比較にならないほど恐ろしい相手であった。
「あらあら?ワタクシばっかり動かしちゃって、カイはマグロ?萎えますわぁ・・・もっと動いてくださいまし!」
またも横なぎに斬撃を仕掛けてくるクリス。
カイは地面スレスレに身をかがめ、反撃の太刀を振るう。が、攻撃していないほうの大剣でしっかりとブロックされてしまう。
そして次の瞬間には頭上から大剣から振り下ろされ、それをギリギリで後ろに下がって躱すと、カイがいなくなったその場で地面に叩きつけられた大剣の切っ先が土煙を大量に巻き上がらせた。
ドォォォォン
轟音とともに地面に大穴が空く。
「ったく、二対一で戦うのって、こうも大変だとはなぁ」
カイはお道化たように独り言ちる。
カイは一度クリスの攻撃をまともの食らえば恐らく終わりである。
対して、クリスは多少カイが削ったところで少し時間が経過すれば回復してしまうのだ。
普通に考えれば、絶対的に不利な状況であった。だが、カイは諦めない。まっすぐにクリスを見つめ、闘志を絶やさない。
「あぁ・・・その目ですわ」
カイと睨みあうクリスが、うっとりとした表情で呟いた。
「その目、他の誰もがワタクシに向けないその目が・・・ワタクシ本当に大好きなんですの」
カイは軽口を叩きつつ、ジリ・・・と半歩踏み出す。
「あら?ハルトと同じタイプというのならば、カイにとっては御しやすい相手ではなくて?ウフフ」
カイが踏み出した分、クリスは同じだけ後ろに下がる。
・・・と思いきや
「っ!」
僅かに下がったと見えたそれが助走だったと言わんばかりに、クリスはまるで弾丸のように一瞬でカイに詰め寄る。
大剣を振り回すではなく、突き刺しに来る攻撃。ギリギリのところで躱したカイは、まるで突風のように通り過ぎていったクリスに対する反撃の機会を伺う。
カイが何度か斬りつけた浅い傷は、アルマが回復したようで既に完治していた。
聖女の回復魔法は、深手の傷でなければある程度距離が空いていても効果がある。もちろん近くで治療するのと違ってロスはあるので、回復速度に開きが出るのだが、それでも浅い傷程度なら少し時間があれば十分に治療可能だ。
アルマは障壁の中から動くことなく、遠隔でクリスの回復役に徹しているようだった。
(どこかハルトと同じだよ。全然違うね)
カイの頬を冷や汗が流れる。
クリスの大剣はハルトの持つ聖剣とは破壊力が全然違う。一度でもくらってしまえば戦闘不能どころか即死しかねない。
(そんな大剣を二刀流?馬鹿馬鹿しすぎる。普通やらんわ)
しかし悲しいかな、クリスの二刀流は決して酔狂からの付け焼き刃ではなかった。それなりにその型で鍛錬しているようで、まるで隙を見せない。片方で攻撃し、片方で防御をしたと思ったら、両方で攻撃してくることもある・・・恐らくハルトの剣術をベースにしているのであろうが、カイからすればハルトより比較にならないほど恐ろしい相手であった。
「あらあら?ワタクシばっかり動かしちゃって、カイはマグロ?萎えますわぁ・・・もっと動いてくださいまし!」
またも横なぎに斬撃を仕掛けてくるクリス。
カイは地面スレスレに身をかがめ、反撃の太刀を振るう。が、攻撃していないほうの大剣でしっかりとブロックされてしまう。
そして次の瞬間には頭上から大剣から振り下ろされ、それをギリギリで後ろに下がって躱すと、カイがいなくなったその場で地面に叩きつけられた大剣の切っ先が土煙を大量に巻き上がらせた。
ドォォォォン
轟音とともに地面に大穴が空く。
「ったく、二対一で戦うのって、こうも大変だとはなぁ」
カイはお道化たように独り言ちる。
カイは一度クリスの攻撃をまともの食らえば恐らく終わりである。
対して、クリスは多少カイが削ったところで少し時間が経過すれば回復してしまうのだ。
普通に考えれば、絶対的に不利な状況であった。だが、カイは諦めない。まっすぐにクリスを見つめ、闘志を絶やさない。
「あぁ・・・その目ですわ」
カイと睨みあうクリスが、うっとりとした表情で呟いた。
「その目、他の誰もがワタクシに向けないその目が・・・ワタクシ本当に大好きなんですの」
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