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反逆
得意なスタイル
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カイの目的のためには、聖騎士の存在は大きな障害であった。
だから、多少時間と手間をかけてでもより確実に排除できる方法を考える必要があった。
そして、今こうして聖騎士を各個撃破する格好の機会が訪れた。この機を逃すことはできない。
「一番厄介なお前の聖剣は、どうしても確実な方法で排除したくてな。手間取らせてもらった」
カイは剣に手をかけたまま、一歩を動くことなくクリスを見据える。
クリスは無防備に見えるようでいて、糸の形と取った聖剣を張り巡らせていた。
「あら♪ワタクシの事をそれだけ考えていてくれたんですの?愛されていますのねワタクシは」
お道化たようにそう言うクリスは、余裕の笑みを絶やさない。
カイの頬を緊張の汗が流れる。
「カイがそこまでワタクシのことを考えてくださいますように、ワタクシもまたカイのことをずっと考えておりますのよ」
フッと、周囲に張り巡らされたクリスの糸が消失した。
カイはその瞬間、顔は出さずともゾッとしていた。
「カイがワタクシに全力でぶつかってくると言うのなら、ワタクシもまた全力で応えるまでですわ♪」
そう言ってクリスは、先ほど地面に突き刺した大剣を手に取って上段に構える。
クリスが普段見せている、オーソドックスな戦闘スタイルであった。
「ウフフ♪ワタクシ、カイとは一度全力で殺し合ってみたいと思っていましたのよ。ワタクシが認める男は、ワタクシを殺せるほどの男でありませんとね♪」
「お前の気持ちは重すぎるわ。ちょっと応えられそうにねぇな」
ペロリと舌なめずりをするクリスと対峙するカイは、苦笑いを浮かべる。
「ワタクシの変幻自在なる聖剣・・・確かにこれはワタクシの強みですが、あくまでワタクシが得意なのはこの大剣スタイル。他の形態はあくまで奇襲など小手先の技に過ぎませんわ。ワタクシが本気を出せるのは・・・あくまでこれ」
ブゥンと、クリスは一度大剣を振る。
風圧で地面から土が舞い上がる。
「カイ。貴方はあくまで変幻自在の特性こそが脅威だと語り、ワタクシにそのスタイルで戦わせようと思ったのでしょうけど、残念ですわね・・・ワタクシは、貴方の考えていることでしたら誰よりも見通している自信がありますのよ♪」
「ちっ・・・可愛げのないやつだ」
カイはアテが外れたかと溜め息をつく。
大剣のスタイルさえ取らないクリスなら、すぐにでも斬り伏せられる自信があったが、あくまでクリスはそれには乗ってこなかった。
「さ、それでは焦らすのはこれまでにいたしましょう?ワタクシももう我慢ができませんわ」
恍惚な表情を浮かべながら、クリスは一歩踏み出した。
カイとクリスの戦いが始まった。
だから、多少時間と手間をかけてでもより確実に排除できる方法を考える必要があった。
そして、今こうして聖騎士を各個撃破する格好の機会が訪れた。この機を逃すことはできない。
「一番厄介なお前の聖剣は、どうしても確実な方法で排除したくてな。手間取らせてもらった」
カイは剣に手をかけたまま、一歩を動くことなくクリスを見据える。
クリスは無防備に見えるようでいて、糸の形と取った聖剣を張り巡らせていた。
「あら♪ワタクシの事をそれだけ考えていてくれたんですの?愛されていますのねワタクシは」
お道化たようにそう言うクリスは、余裕の笑みを絶やさない。
カイの頬を緊張の汗が流れる。
「カイがそこまでワタクシのことを考えてくださいますように、ワタクシもまたカイのことをずっと考えておりますのよ」
フッと、周囲に張り巡らされたクリスの糸が消失した。
カイはその瞬間、顔は出さずともゾッとしていた。
「カイがワタクシに全力でぶつかってくると言うのなら、ワタクシもまた全力で応えるまでですわ♪」
そう言ってクリスは、先ほど地面に突き刺した大剣を手に取って上段に構える。
クリスが普段見せている、オーソドックスな戦闘スタイルであった。
「ウフフ♪ワタクシ、カイとは一度全力で殺し合ってみたいと思っていましたのよ。ワタクシが認める男は、ワタクシを殺せるほどの男でありませんとね♪」
「お前の気持ちは重すぎるわ。ちょっと応えられそうにねぇな」
ペロリと舌なめずりをするクリスと対峙するカイは、苦笑いを浮かべる。
「ワタクシの変幻自在なる聖剣・・・確かにこれはワタクシの強みですが、あくまでワタクシが得意なのはこの大剣スタイル。他の形態はあくまで奇襲など小手先の技に過ぎませんわ。ワタクシが本気を出せるのは・・・あくまでこれ」
ブゥンと、クリスは一度大剣を振る。
風圧で地面から土が舞い上がる。
「カイ。貴方はあくまで変幻自在の特性こそが脅威だと語り、ワタクシにそのスタイルで戦わせようと思ったのでしょうけど、残念ですわね・・・ワタクシは、貴方の考えていることでしたら誰よりも見通している自信がありますのよ♪」
「ちっ・・・可愛げのないやつだ」
カイはアテが外れたかと溜め息をつく。
大剣のスタイルさえ取らないクリスなら、すぐにでも斬り伏せられる自信があったが、あくまでクリスはそれには乗ってこなかった。
「さ、それでは焦らすのはこれまでにいたしましょう?ワタクシももう我慢ができませんわ」
恍惚な表情を浮かべながら、クリスは一歩踏み出した。
カイとクリスの戦いが始まった。
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